中日ドラゴンズの次期監督人事をめぐり、工藤公康氏が有力候補として報じられている。井上一樹監督が9月30日に辞任を表明して以降、後任を外部から招くのかOBから選ぶのかが注目されてきたが、ここにきて「優勝請負人」と呼ばれた工藤氏の名前が最も強く伝えられている。この記事では、工藤氏のソフトバンク監督時代の成績を振り返りながら、中日の監督として何が期待され、何が課題になるのかを整理する。
なお、この記事をまとめている時点では、球団からの正式な発表は確認できていない。報道ベースの情報であることを前提に読んでほしい。
工藤公康氏とはどんな指導者か
工藤公康氏は、現役時代に西武、福岡ダイエーホークス、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズと渡り歩き、通算200勝を超える左腕として名球会入りを果たした投手だ。長く一線級で活躍した経験は、投手育成における説得力につながっている。
現役引退後はソフトバンクの投手コーチなどを経て、2015年に監督に就任した。選手としての実績に加えて、勝負どころでの経験の深さが、監督としての采配にも生きたと評価されている。
ソフトバンク監督時代の成績―5年間で4度の日本一
工藤氏は2015年に監督に就任し、2021年まで7年間指揮を執った。年度別の成績は次の通りだ。
・2015年:90勝49敗4分(勝率.647)1位、日本一
・2016年:83勝54敗6分(勝率.606)2位
・2017年:94勝49敗0分(勝率.657)1位、日本一
・2018年:82勝60敗1分(勝率.577)2位、日本一
・2019年:76勝62敗5分(勝率.551)2位、日本一
・2020年:73勝42敗5分(勝率.635)1位、日本一
・2021年:60勝62敗21分(勝率.492)4位
7年間でリーグ優勝は2015年、2017年、2020年の3回。日本一は2015年、2017年、2018年、2019年、2020年の5回に達した。2017年から2020年までは4年連続で日本一に輝いており、パ・リーグの順位が2位だった年でも、CS(クライマックスシリーズ)を勝ち上がって頂点に立つパターンを繰り返した。
最後の2021年は60勝62敗21分、勝率.492の4位に終わり、工藤政権で唯一のBクラスとなった。主力の高齢化や故障者の増加が響いたとされ、工藤氏はこのシーズンを最後に監督を退任した。
監督通算成績―7年間で日本一5度、Aクラス6度
工藤氏は2021年まで7年間ソフトバンクの指揮を執り、通算978試合で558勝378敗42分、勝率.596を記録した。この間、日本一5回、リーグ優勝3回、Aクラス6回、Bクラス1回という成績を残している。
特筆すべきは、ポストシーズンでの勝率の高さだ。2019年のCSファーストステージ第2戦から16連勝、2018年の日本シリーズ第3戦からは12連勝を記録したと伝えられている。短期決戦に強い指揮官として「優勝請負人」の異名を得たのも、この圧倒的な連勝記録が背景にある。
監督退任後の歩み
工藤氏は2021年10月27日に福岡市内で退任会見を行い、ソフトバンクの監督を離れた。在任中の2020年には筑波大学大学院人間総合科学研究科体育学専攻を修了し、体育学修士の学位を取得している。現場を離れた期間も、指導者としての学びを続けてきたことがうかがえる。
退任からは一定の年月が経っており、現場を離れていた期間にNPBの戦い方やデータ活用がどう変化したかに、どこまで対応できるかも注目点になるだろう。
なぜ中日の候補に挙がるのか
中日は近年、投手陣の再建が大きな課題とされてきた。工藤氏は投手出身であり、ソフトバンク時代にも投手の起用と継投の判断に定評があった。投手力を立て直したいという球団の意向と、工藤氏の得意分野が一致していることが、候補として名前が挙がる大きな理由になっているとみられる。
また、短期決戦に強いという実績は、クライマックスシリーズのようなポストシーズンでの戦い方を、チームに植え付けられる可能性を感じさせる。優勝を知る指揮官が持つ独特の緊張感の作り方は、若い選手にとって大きな経験になるはずだ。
中日で指揮を執る場合の課題
一方で、懸念もある。工藤氏がソフトバンクで指揮を執った当時のチームは、すでに完成度の高い戦力を抱えた強豪だった。若手の底上げから始めなければならない現在の中日とは、置かれている状況が大きく異なる。
勝者のチームを率いてきた指揮官が、育成段階のチームでどのように若手を鍛えながら結果を求めていくのか。ソフトバンク時代とは異なる難しさに直面する可能性がある。
また、現場を離れていた期間の長さも気になる点だ。近年のプロ野球は、データ活用や投手の球数管理など、現場の考え方が速いペースで変化している。工藤氏がどのようなコーチ陣を招き、最新の潮流をどう取り入れるかが、就任後の早い時期に問われることになるだろう。
まとめ
工藤公康氏は、ソフトバンクで5年のうち4度日本一に輝き、通算でも日本一5回、Aクラス6回という実績を残した「優勝請負人」だ。投手出身としての手腕と、短期決戦への強さは、投手陣の再建を目指す中日にとって大きな魅力になる。
一方で、完成されたチームを率いた経験と、育成段階のチームを率いる難しさは異なるテーマだ。正式な発表がなされた際には、どのようなコーチングスタッフを組み、どんな方針でチームを立て直していくのかに注目したい。
出典
・週刊女性PRIME|中日次期監督をめぐる報道
・Baseball King|工藤公康 ソフトバンク時代の実績
・日刊ゲンダイ|工藤公康 監督通算成績