オリックスが、DeNAを戦力外となった藤浪晋太郎投手(32)の獲得調査に乗り出していることが分かった。スポーツ報知が10月10日に報じた。2年ぶりのBクラスとなる4位に終わったオリックスは、先発陣の強化を来季の最大の課題に掲げており、160キロを超える剛速球と豊富な経験を持つ藤浪に注目している。11月のトライアウト後の交渉解禁に向けて、動向を追っていく方針だという。
獲得が実現すれば、大阪桐蔭時代に甲子園春夏連覇を果たした森友哉とのバッテリーが復活する。この記事では、まずオリックスの今季の先発陣の成績を確認し、そのうえで藤浪獲得調査の背景と、獲得した場合の期待と課題を整理する。
オリックス2026年の主な先発投手成績
まずはオリックスの今季の主な先発投手の成績を見ていく。
| 選手 | 試合 | 防御率 | 勝敗 | 投球回 | 奪三振 | 与四球 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 九里亜蓮 | 27 | 3.19 | 9勝12敗 | 163 2/3 | 150 | 65 | 1.24 |
| エスピノーザ | 23 | 2.71 | 13勝6敗 | 149 1/3 | 136 | 33 | 1.01 |
| ジェリー | 21 | 3.38 | 3勝10敗 | 112 | 90 | 29 | 1.30 |
| 髙島泰都 | 23 | 4.98 | 7勝6敗 | 99 1/3 | 74 | 34 | 1.67 |
| 曽谷龍平 | 14 | 4.14 | 5勝8敗 | 78 1/3 | 73 | 15 | 1.20 |
| 田嶋大樹 | 18 | 5.89 | 2勝5敗 | 62 2/3 | 44 | 16 | 1.40 |
規定投球回に到達したのは九里亜蓮とエスピノーザの2人だけだった。エスピノーザは13勝6敗、防御率2.71、WHIP1.01と安定した投球を続け、13勝で初の最多勝のタイトルを獲得した。九里も9勝12敗と負けが先行したものの、チーム最多の163回2/3を投げて防御率3.19と、ローテーションを1年間守り抜いた。
一方、3番手以降は苦しい数字が並ぶ。ジェリーは防御率3.38とまずまずの内容だったが、援護に恵まれず3勝10敗。髙島泰都は先発20試合を含む23試合で7勝を挙げたものの、防御率4.98、WHIP1.67と走者を背負う場面が多かった。田嶋大樹も先発12試合を含む18試合で2勝5敗、防御率5.89と不本意なシーズンに終わった。
先発不足が深刻なオリックスの事情
オリックスが先発投手の補強を急ぐ背景には、主力の相次ぐ離脱がある。エースの宮城大弥は左肘、山下舜平大は右肘の手術を受けて長期離脱中で、来季の復帰は後半戦になるのが現実的とされる。宮城は今季わずか3試合の登板にとどまった。
さらに、曽谷龍平もシーズン終盤に左肘の違和感で離脱。今季チームの勝ち頭となったエスピノーザには、他球団が関心を寄せていると報じられている。宮城、山下、曽谷の左右の柱がそろって来季開幕に間に合わず、エスピノーザまで流出するようなことになれば、計算できる先発は九里くらいしか残らない。報知によれば、オリックスは国内外を問わず候補となる投手をリストアップしており、その中心の一人が藤浪だという。
就任3年目となる岸田護監督は「本当にこのままではいけない。そこを当然、目指してやります」と4年ぶりの優勝を誓っている。先発の頭数をそろえることは、その第一歩となる。
藤浪晋太郎のプロフィールと経歴
- 生年月日:1994年4月12日(32歳)
- 出身:大阪府
- 経歴:大阪桐蔭高-阪神(2013~22年)-アスレチックス、オリオールズなど(23~25年)-DeNA(25年7月~26年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:197センチ、98キロ
- ドラフト:2012年ドラフト1位(阪神)
- 主なタイトル:最多奪三振(2015年)
- NPB通算:198登板 58勝55敗11ホールド 防御率3.46
- MLB通算:64登板 7勝8敗 防御率7.18
- 今季年俸:8000万円(推定)
藤浪は大阪桐蔭3年時に甲子園春夏連覇を達成し、2012年のドラフト1位で阪神に入団した。プロ1年目の2013年から3年連続で2ケタ勝利を挙げ、2015年には最多奪三振のタイトルを獲得。2017年にはWBC日本代表にも選ばれた。
その後は制球難などに苦しみ、2022年オフにポスティングシステムでアスレチックスへ移籍。オリオールズなどを経て、2025年7月にDeNAに入団してNPBに復帰した。しかし今季は1軍登板が3試合にとどまり、9月末に来季の構想外となったことが明らかになった。藤浪本人は「(シーズンの)最後の方は自分らしい投球を取り戻せていたんじゃないか、と。NPBでプレーさせてもらえたら」と、国内でのプレー続行を希望している。
森友哉と「大阪桐蔭バッテリー」再結成なるか
オリックスへの移籍が実現すれば、大きな話題となりそうなのが森友哉とのバッテリー復活だ。2012年の大阪桐蔭は、藤浪と1学年下の森がバッテリーを組み、甲子園で春夏連覇を成し遂げた。
同年春のセンバツでは、藤浪が4試合に先発、1試合に救援で登板し、すべて森とのバッテリーで5勝を挙げて全国制覇。夏の甲子園でも、沢田圭佑(現ロッテ)が完投した3回戦の済々黌戦を除く4試合を藤浪が1人で投げ抜き、準決勝の明徳義塾戦、決勝の光星学院戦はいずれも完封勝利だった。森は全試合に「1番・捕手」でフル出場し、エースを支えた。
プロ入り後も2人は合同で野球教室を開くなど関係を深めてきた。森は西武からFA移籍して4年目の今季を終えたが、8月に左手首を手術しており、来季は捕手としての完全復活を期す立場にある。地元・大阪の京セラドームで「黄金バッテリー」が再結成されれば、ファンにとってはたまらない光景になるだろう。
藤浪獲得の期待と課題
期待―160キロの剛速球と故障の少なさ
藤浪の最大の魅力は、今なお衰えない160キロ超の剛速球だ。キャリアを通じて大きな故障による離脱がないことも、故障者が続出しているオリックスにとっては心強い。阪神時代に3年連続で2ケタ勝利を挙げた実績があり、MLBでも64試合に登板した経験は、若い投手が多いオリックスの投手陣にとっても財産になり得る。
また、藤浪にとってはオリックスに加われば初めてのパ・リーグとなる。対戦経験の少ない打者が多い環境は、心機一転の再出発にはプラスに働く可能性もある。
課題―制球難の克服
一方で、ここ数年の藤浪を苦しめてきたのは制球難だ。今季の1軍登板は3試合にとどまり、先発ローテーションの一角として計算できるかどうかは未知数と言わざるを得ない。オリックスの先発陣を見ると、エスピノーザ(与四球33)や曽谷(同15)のように四球の少ない投手が結果を残している。藤浪が先発として機能するには、四球で自滅しない投球を取り戻せるかが最大のポイントになる。
森とのバッテリーで、高校時代のような安定した投球を引き出せるかどうか。獲得が実現した場合には、その点が大きな注目点になりそうだ。
まとめ
オリックスは今季、規定投球回に到達した先発がエスピノーザと九里の2人だけにとどまり、宮城・山下の長期離脱、曽谷の故障離脱も重なって、先発の駒不足が深刻になっている。そこで白羽の矢を立てたのが、DeNAを戦力外となった藤浪晋太郎だ。
160キロ超の剛速球と豊富な経験は大きな魅力である一方、制球難の克服という課題も抱える。交渉が解禁される11月のトライアウト後、オリックスが正式に獲得へ動くのか。実現すれば、森友哉との「大阪桐蔭バッテリー」再結成にも大きな注目が集まりそうだ。
出典
・スポーツ報知(Yahoo!ニュース)|オリックス、DeNA戦力外の藤浪晋太郎を獲得調査
・NPB公式|2026年度 オリックス・バファローズ 個人投手成績