2026年のJERA クライマックスシリーズ セ・ファーストステージで、レギュラーシーズン2位の巨人は3位のDeNAに2連敗を喫し、今季の戦いを終えた。2試合の得点はわずか2点。シーズン途中から指揮を執った橋上秀樹監督代行は「私自身のかじ取りというものがうまくいかなかった。それに尽きる」と肩を落とした。
巨人がCSでDeNAに敗れるのは3年連続で、CSでの対戦は通算4度すべて敗退となった。この記事では、2試合の内容を振り返りながら、巨人がCSで敗れた原因をデータから分析していく。
CSファーストステージの結果
| 試合 | 日付 | スコア | 勝利投手 | 敗戦投手 | 本塁打 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1戦 | 10月10日 | 巨人 1-2 DeNA | 浜地(D) | マルティネス(G) | 牧(D)、度会(D) |
| 第2戦 | 10月11日 | 巨人 1-4 DeNA | 石田裕(D) | 竹丸(G) | 度会(D)、ダルベック(G)、牧(D) |
第1戦は先発の井上温大が8回3安打1失点、10奪三振と好投したが、打線が1回の1点しか奪えず、9回に守護神マルティネスが度会隆輝に勝ち越しソロを浴びて1-2で敗れた。第2戦は先発の竹丸和幸が1回に度会の先頭打者本塁打と佐野恵太の適時打で2点を失い、打線は4回のダルベックのソロ本塁打による1点のみ。1-4で敗れ、ファイナルステージ進出を逃した。
敗因①得点圏で14打数1安打
2試合を通じて最大の敗因となったのは、得点圏での決定力不足だ。巨人は2試合で得点圏に走者を置いた場面で14打数1安打、打率.071に終わった。
| 試合 | 回 | 状況 | 打者 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 第1戦 | 1回 | 一死三塁 | 泉口 | 一ゴロ(打点1) |
| 第1戦 | 3回 | 一死二塁 | 吉川 | 遊直 |
| 第1戦 | 3回 | 二死二塁 | 松本 | 遊ゴロ |
| 第1戦 | 6回 | 一死二塁 | 泉口 | 中飛 |
| 第1戦 | 6回 | 二死二塁 | ダルベック | 中飛 |
| 第1戦 | 9回 | 一死三塁 | ダルベック | 一飛 |
| 第1戦 | 9回 | 二死三塁 | 大城 | 左飛 |
| 第2戦 | 1回 | 無死二塁 | 松本 | 三ゴロ |
| 第2戦 | 1回 | 一死二塁 | 泉口 | 左安 |
| 第2戦 | 1回 | 一死一三塁 | 大城 | 一併打 |
| 第2戦 | 2回 | 二死一二塁 | 佐々木(代打) | 空三振 |
| 第2戦 | 3回 | 二死二塁 | 大城 | 左飛 |
| 第2戦 | 7回 | 二死二塁 | 平山 | 空三振 |
| 第2戦 | 8回 | 二死一二塁 | 坂本(代打) | 左飛 |
第1戦は1回に吉川尚輝の二塁打と送りバントで一死三塁とし、泉口友汰の一塁ゴロの間に1点を奪った。しかし、その後は3回、6回にいずれも一死二塁の好機をつくりながら後続が倒れた。1点を追う9回にも、松本剛の二塁打と泉口の送りバントで一死三塁と一打同点の場面をつくったが、ダルベックが一塁フライ、大城卓三がレフトフライに倒れた。
第2戦はさらに深刻だった。1回は吉川の二塁打、泉口のヒットで一死一、三塁と絶好の先制機を迎えたが、大城が一塁への併殺打。2回の二死一、二塁では代打の佐々木俊輔が空振り三振に倒れ、8回の二死一、二塁でも代打の坂本勇人がレフトフライに終わった。得点圏で唯一の安打となった1回の泉口のヒットも、走者が三塁止まりで得点にはつながっていない。
2試合で巨人が奪った2点は、内野ゴロの間の1点とソロ本塁打の1点。適時打は1本も出なかった。サンケイスポーツは、第2戦の攻撃について「再三の得点圏で決定打を欠く今季を象徴する攻撃が続き」と伝えている。
敗因②打線全体の不振
| 選手 | 打数 | 安打 | 打点 | 本塁打 | 三振 | 四球 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 吉川尚輝 | 7 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | .571 |
| 泉口友汰 | 6 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 | .333 |
| 平山功太 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | .250 |
| 松本剛 | 7 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .143 |
| ダルベック | 7 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | .143 |
| 大城卓三 | 7 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | .143 |
| 丸佳浩 | 6 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | .167 |
| リチャード | 6 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | .000 |
| 中山礼都 | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .000 |
| その他 | 5 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | .000 |
| チーム計 | 59 | 11 | 2 | 1 | 9 | 5 | .186 |
2試合の巨人のチーム打率は.186。59打数で11安打しか放てず、そのうち長打は吉川の二塁打2本、松本の二塁打1本、ダルベックの本塁打1本の計4本だけだった。1番の吉川が7打数4安打と1人で気を吐いたものの、2番以降の打者がつながらなかった。
4番を務めたダルベックは7打数1安打、5番の大城も7打数1安打と、中軸が機能しなかった。橋上監督代行はCS開幕前、坂本、松本、ダルベックについて「コンディションがよくなかった」と話しており、主力の状態が万全でなかったことも影響したとみられる。
第2戦では、DeNAの投手陣に7つの三振を奪われた。9回はレイノルズの前にダルベック、中山礼都、リチャードが3者連続三振。最後まで反撃の糸口をつかめないまま、試合は終わった。
敗因③本塁打の差
| 試合 | 投手 | 投球回 | 被安打 | 被本塁打 | 奪三振 | 与四球 | 失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1戦 | 井上温大 | 8 | 3 | 1 | 10 | 0 | 1 |
| 第1戦 | マルティネス(敗) | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 |
| 第2戦 | 竹丸和幸(敗) | 2 | 3 | 1 | 3 | 0 | 2 |
| 第2戦 | 代木大和 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 第2戦 | 中川皓太 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| 第2戦 | 田中瑛斗 | 2/3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 第2戦 | 森田駿哉 | 1 1/3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 1 |
| 第2戦 | マルティネス | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 |
投手陣は2試合で18イニングを投げて6失点、防御率に直せば3.00と、決して崩れたわけではない。しかし、6失点のうち4点はDeNAの本塁打によるものだった。牧秀悟と度会がそれぞれ2試合連続で本塁打を放ち、2試合でDeNAは4本塁打。巨人はダルベックの1本だけで、長打力の差がそのまま得点差となった。
特に痛かったのは、第1戦の9回だ。8回まで1失点と好投した井上に代えて、今季42セーブで最多セーブのタイトルを獲得したマルティネスを投入したが、度会にカウント3-1からの152キロのストレートを右中間スタンドに運ばれた。第2戦も、竹丸が1回に度会に先頭打者本塁打を浴びて先制を許し、8回には森田駿哉が牧にダメ押しのソロを打たれている。
敗因④第2戦の早い継投と攻撃の空回り
第2戦では、チームトップの11勝を挙げた竹丸を2回で降板させる早めの決断を下した。2回裏、二死一、二塁の好機で竹丸に代打の佐々木を送ったが、佐々木は空振り三振。2点を追う状況で何としても追いつきたいという采配だったが、結果的に得点にはつながらなかった。
2番手の代木大和は3回を1安打無失点、中川皓太も1回無失点と、リリーフ陣はその後の反撃に望みをつないだ。しかし、5回には一死から出塁した吉川が盗塁に失敗し、7回の二死二塁、8回の二死一、二塁もものにできなかった。攻撃で流れを引き寄せられないまま、7回と8回に1点ずつを追加され、勝負は決した。
今季を象徴した得点力不足
CSでの敗退は、レギュラーシーズンから続いていた課題の延長線上にある。今季のセ・リーグ各球団の成績を見てみる。
| 順位 | 球団 | 勝 | 敗 | 分 | 得点 | 失点 | 打率 | 本塁打 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 阪神 | 79 | 62 | 2 | 518 | 439 | .246 | 125 | 2.79 |
| 2 | 巨人 | 76 | 64 | 3 | 486 | 444 | .234 | 103 | 2.80 |
| 3 | DeNA | 71 | 69 | 3 | 557 | 512 | .246 | 125 | 3.27 |
| 4 | 広島 | 61 | 78 | 4 | 431 | 520 | .223 | 91 | 3.39 |
| 5 | ヤクルト | 61 | 80 | 2 | 449 | 568 | .236 | 83 | 3.68 |
| 6 | 中日 | 60 | 81 | 2 | 478 | 494 | .228 | 121 | 3.28 |
巨人のチーム防御率は2.80で、優勝した阪神(2.79)とほぼ同じリーグ2位の数字だった。失点444も阪神に次ぐ少なさで、投手陣はリーグ屈指の安定感を誇った。一方で、チーム打率.234はリーグ4位、本塁打103本もリーグ4位にとどまり、総得点486は1試合平均3.40点。リーグ最多得点のDeNA(557点)とは71点の差があった。
投手陣が少ない失点に抑え、打線がわずかな得点で逃げ切る。今季の巨人はそうした戦い方で2位を確保したが、短期決戦で相手投手陣に抑え込まれると、跳ね返す力が足りなかった。CSの2試合は、まさに今季の巨人の長所と短所がそのまま表れた試合だったといえる。
CSで4度目のDeNA戦敗退
| 年度 | ステージ | 巨人の順位 | 対戦成績 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 2016 | ファースト | 2位 | 1勝2敗 | 敗退 |
| 2024 | ファイナル | 1位 | 2勝4敗 | 敗退 |
| 2025 | ファースト | 3位 | 0勝2敗 | 敗退 |
| 2026 | ファースト | 2位 | 0勝2敗 | 敗退 |
巨人がCSでDeNAと対戦するのは今回が4度目で、そのすべてで敗退している。2016年のファーストステージ、2024年のファイナルステージ、2025年のファーストステージに続き、今季も壁を破れなかった。CSでのDeNA戦の通算成績は3勝10敗となった。
レギュラーシーズンでは、今季の巨人はDeNAに13勝12敗と勝ち越している。得失点もほぼ互角で、シーズンを通して力の差があったわけではない。それでも短期決戦になると、DeNAの長打力と勢いに屈する展開が続いている。来季以降、CSでDeNAを破ることが、巨人にとっての新たなテーマになりそうだ。
来季に向けた課題
今回のCS敗退で浮き彫りになったのは、得点力の向上という明確な課題だ。投手陣は井上、竹丸の若い左腕が台頭し、リリーフ陣も田中瑛斗やマルティネスらが安定した成績を残した。一方で打線は、チャンスで1本が出ない試合が続き、短期決戦でも同じ課題を克服できなかった。
巨人は今オフ、橋上監督代行の退任に伴う新監督の選考に加え、広島の森下暢仁、床田寛樹、オリックスのエスピノーザといった先発投手の調査も進めていると報じられている。投手陣のさらなる強化はもちろん重要だが、CSの敗因を考えれば、打線の得点力をどう上げていくかが来季の最大のポイントになるだろう。
まとめ
巨人はCSファーストステージでDeNAに2連敗し、今季の戦いを終えた。得点圏で14打数1安打と決定打を欠き、2試合で奪ったのはわずか2点。DeNAの4本塁打に対して巨人は1本と、長打力の差もそのまま勝敗を分けた。
リーグ屈指の投手陣を持ちながら、得点力不足で勝ち切れない。今季を通じて抱えていた課題が、最後の短期決戦でも表れた形だ。CSで4度目となるDeNA戦での敗退を糧に、新体制の下で巨人がどのようなチームをつくっていくのか注目したい。