10月22日のプロ野球ドラフト会議を前に、広島は10月9日のスカウト会議で、5年ぶりに1位指名の事前公表を見送った。新井貴浩監督のもとで戦った今季は61勝78敗4分の4位。チーム打率.223、得点431はいずれもリーグ最下位で、打線の立て直しが急務になっている。
さらに10月1日には、昨季の首位打者・小園海斗、2024年に遊撃手でゴールデングラブ賞を受賞した矢野雅哉ら4選手を戦力外とした。この記事では、広島の今季の成績、投手・野手の年齢構成、ポジション別のスタメン出場回数を表で確認し、チームの弱点を踏まえたドラフト戦略を考える。
今季の成績―打率と得点がリーグ最下位
| 項目 | 成績 | リーグ順位 |
|---|---|---|
| 順位 | 4位 | - |
| 勝敗 | 61勝78敗4分 | - |
| 勝率 | .439 | 4位 |
| 得点 | 431 | 6位 |
| 失点 | 520 | 5位 |
| チーム打率 | .223 | 6位 |
| 本塁打 | 91 | 5位 |
| 盗塁 | 73 | 4位 |
| チーム防御率 | 3.39 | 5位 |
広島は首位の阪神から17ゲーム差の4位に終わった。最大の課題は打線で、チーム打率.223、得点431はリーグ最下位、本塁打91本もリーグ5位。投手陣もチーム防御率3.39がリーグ5位と、投打ともに数字を落とした。
年齢・ポジション別の戦力構成
投手
| 年齢 | 投手(右) | 投手(左) |
|---|---|---|
| 〜20 | 菊地 | |
| 21 | ||
| 22 | 髙木快大・斉藤・日髙 | 辻 |
| 23 | 齊藤・工藤・赤木 | |
| 24 | 岡本 | 佐藤柳之介 |
| 25 | 常廣・杉田 | 髙・滝田・玉村 |
| 26 | ||
| 27 | 松本・遠藤 | 黒原 |
| 28 | 益田・ターノック・アドゥワ | 森浦・森・高橋・長谷部 |
| 29 | 森下・鈴木 | 塹江 |
| 30 | 栗林・島内 | |
| 31 | ケムナ | 床田 |
| 32 | ハーン | |
| 33 | ||
| 34 | 中﨑 | |
| 35〜 | 大瀬良 | |
| 人数 | 22 | 13 |
野手
| 年齢 | 捕手 | 内野(右打) | 内野(左打) | 外野(右打) | 外野(左打) |
|---|---|---|---|---|---|
| 〜20 | 西川 | ||||
| 21 | 仲田 | ||||
| 22 | 清水 | 内田 | 平川 | ||
| 23 | 髙木翔斗 | 勝田 | |||
| 24 | 佐々木・渡邉・二俣 | ||||
| 25 | 持丸 | 佐藤啓介 | |||
| 26 | 辰見 | 林 | 久保・名原 | 中村貴浩 | |
| 27 | 中村奨成 | ||||
| 28 | 坂倉・石原 | モンテロ | ファビアン | ||
| 29 | |||||
| 30 | 末包 | 大盛 | |||
| 31 | |||||
| 32 | |||||
| 33 | 野間 | ||||
| 34 | |||||
| 35〜 | 會澤 | 堂林・菊池 | 秋山 | ||
| 人数 | 6 | 9 | 4 | 6 | 4 |
支配下選手を今季の年齢とポジション(投手は右左、野手は打席の右左)で分けたのが上の2つの表だ。戦力外となった小園、矢野、前川誠太、田村俊介は表から除いている。投手は20代の左腕が多い一方、野手は二塁の菊池涼介が35歳以上となり、内野の世代交代が課題になる。
野手の課題―二遊間と打線の長打力
主な野手の今季成績
| 選手 | 年齢 | 守備・打席 | 試合 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 坂倉将吾 | 28 | 捕手 | 140 | 576 | .251 | 15 | 74 | 3 | .725 |
| 菊池涼介 | 35〜 | 内野・右 | 133 | 540 | .234 | 7 | 39 | 3 | .634 |
| 佐々木泰 | 24 | 内野・右 | 121 | 421 | .254 | 6 | 26 | 3 | .644 |
| 小園海斗※ | 26 | 内野・左 | 101 | 401 | .257 | 1 | 23 | 4 | .631 |
| ファビアン | 28 | 外野・右 | 102 | 364 | .223 | 16 | 37 | 0 | .695 |
| 大盛穂 | 30 | 外野・左 | 120 | 348 | .222 | 6 | 23 | 12 | .585 |
| モンテロ | 28 | 内野・右 | 124 | 334 | .232 | 13 | 42 | 0 | .723 |
| 持丸泰輝 | 25 | 捕手 | 102 | 299 | .183 | 6 | 18 | 0 | .583 |
| 勝田成 | 23 | 内野・左 | 109 | 295 | .203 | 0 | 10 | 5 | .515 |
| 名原典彦 | 26 | 外野・右 | 83 | 285 | .247 | 3 | 16 | 6 | .627 |
| 秋山翔吾 | 35〜 | 外野・左 | 76 | 195 | .276 | 3 | 16 | 0 | .670 |
| 中村奨成 | 27 | 外野・右 | 58 | 194 | .241 | 4 | 13 | 0 | .668 |
| 石原貴規 | 28 | 捕手 | 70 | 155 | .199 | 1 | 8 | 0 | .505 |
| 佐藤啓介 | 25 | 内野・左 | 70 | 150 | .203 | 5 | 16 | 1 | .572 |
| 野間峻祥 | 33 | 外野・左 | 54 | 109 | .202 | 0 | 4 | 4 | .526 |
| 平川蓮 | 22 | 外野・右 | 29 | 109 | .186 | 1 | 11 | 0 | .486 |
※小園海斗は10月1日に戦力外通告を受けた
100打席以上に立った野手で、OPSが最も高かったのは坂倉将吾の.725。.800を超えた打者はおらず、2桁本塁打もファビアン(16本)、坂倉(15本)、モンテロ(13本)の3人だけだった。外野で最も多く出場した大盛穂はOPS.585、捕手の持丸泰輝は打率.183と、打線全体で得点力が不足している。
ポジション別のスタメン出場回数
| ポジション | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 捕手 | 持丸(76) | 石原(50) | 坂倉(16) |
| 一塁 | モンテロ(66) | 坂倉(56) | 佐藤啓(16) |
| 二塁 | 菊池(125) | 勝田(17) | 辰見(1) |
| 三塁 | 坂倉(65) | 佐々木(57) | 小園(21) |
| 遊撃 | 小園(74) | 勝田(52) | 矢野(15) |
| 左翼 | ファビアン(83) | 秋山(16) | 佐藤啓(12) |
| 中堅 | 大盛(74) | 名原(22) | 平川(21) |
| 右翼 | 名原(35) | 佐々木(31) | 野間(17) |
| 指名打者 | モンテロ(7) | 前川(1) | 林(1) |
今季143試合のスタメンをポジション別に集計した。カッコ内はスタメンでの出場試合数だ。
- 遊撃:最多の小園(74試合)と、15試合の矢野がともに戦力外となった。残るのは52試合に出場した勝田成(23歳)だが、OPS.515と打撃は課題が多い
- 二塁:菊池が125試合に出場したが、35歳以上でOPS.634。後継は育っていない
- 一塁・三塁:坂倉が三塁(65試合)、一塁(56試合)を兼ね、佐々木泰(三塁57試合)、モンテロ(一塁66試合)と併用された
- 外野:左翼のファビアン(83試合)、中堅の大盛(74試合)が最多で、右翼は名原典彦の35試合が最多。外野の3ポジションとも、定位置を固めた選手はいない
最も深刻なのは遊撃だ。今季の遊撃の先発の6割以上を担った小園と矢野が抜け、二遊間はほぼゼロからの再編になる。4番は坂倉が121試合を務めたが、坂倉の後ろを打つ長距離打者もいない。来季からはセ・リーグでもDH制が導入されるため、長打力のある野手の補強も欠かせない。
捕手―持丸・石原の打撃が課題
| 捕手 | 年齢 | 試合 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 坂倉将吾 | 28 | 140 | 576 | .251 | 15 | 74 | .725 |
| 持丸泰輝 | 25 | 102 | 299 | .183 | 6 | 18 | .583 |
| 石原貴規 | 28 | 70 | 155 | .199 | 1 | 8 | .505 |
| 清水叶人 | 22 | 2 | 4 | .000 | 0 | 0 | .250 |
捕手のスタメンは持丸(25歳)が76試合、石原貴規(28歳)が50試合、坂倉が16試合。坂倉は一塁、三塁での出場が中心となり、捕手としての出場は限られた。持丸は打率.183、石原は.199と、マスクをかぶる捕手の打撃が課題だ。20代前半の捕手も少なく、スカウト会議で捕手が補強ポイントの一つに挙がったのもうなずける。
投手―先発の柱にFAの動き
| 投手 | 投 | 年齢 | 登板 | 勝 | 敗 | S | H | 投球回 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 床田寛樹 | 左 | 31 | 23 | 8 | 6 | 0 | 0 | 143.1 | 2.76 |
| 森下暢仁 | 右 | 29 | 23 | 7 | 11 | 0 | 0 | 137.2 | 3.60 |
| 栗林良吏 | 右 | 30 | 19 | 7 | 6 | 0 | 0 | 121.1 | 2.89 |
| 岡本駿 | 右 | 24 | 26 | 7 | 7 | 0 | 4 | 101.2 | 4.25 |
| 森翔平 | 左 | 28 | 19 | 3 | 6 | 0 | 0 | 94 | 3.54 |
| 玉村昇悟 | 左 | 25 | 16 | 2 | 6 | 0 | 0 | 85.1 | 2.64 |
| 鈴木健矢 | 右 | 29 | 35 | 3 | 2 | 0 | 2 | 68.1 | 2.50 |
| 森浦大輔 | 左 | 28 | 62 | 5 | 2 | 27 | 12 | 60.2 | 2.37 |
| 遠藤淳志 | 右 | 27 | 60 | 5 | 2 | 0 | 23 | 59.2 | 2.26 |
| ターノック | 右 | 28 | 24 | 0 | 7 | 0 | 8 | 56.2 | 3.81 |
| 髙太一 | 左 | 25 | 56 | 3 | 2 | 0 | 24 | 52 | 1.90 |
| ハーン | 左 | 32 | 37 | 2 | 2 | 1 | 26 | 35.1 | 1.53 |
| 斉藤優汰 | 右 | 22 | 7 | 2 | 3 | 0 | 0 | 33.2 | 4.54 |
| 辻大雅 | 左 | 22 | 36 | 2 | 2 | 0 | 6 | 32.2 | 4.68 |
| 塹江敦哉 | 左 | 29 | 28 | 1 | 2 | 0 | 0 | 31.1 | 3.45 |
先発は床田寛樹(31歳、防御率2.76)、栗林良吏(30歳、2.89)、森下暢仁(29歳、3.60)が中心で、玉村昇悟(25歳)も防御率2.64と台頭した。救援は抑えの森浦大輔(27セーブ)、髙太一(防御率1.90)、ハーン(1.53)の左腕に、遠藤淳志(23ホールド、2.26)らがそろう。
ただ、床田は国内FA権を取得し、阪神が獲得調査に乗り出すと報じられている。床田、森下、坂倉の3人は、巨人のFA補強の対象としても名前が挙がっている。先発の柱と4番打者の流出の可能性を考えれば、ドラフトでの戦力補充はより重要になる。
報道されている1位候補
広島は1位を公表していないが、報道では次の選手が1位候補に挙がっている。
- 鈴木泰成(青山学院大・投手)
- 渡部海(青山学院大・捕手)
- 宮原廉(近畿大・投手):広島出身の右腕
田村恵スカウト部長は9月の会議後、「鈴木くんも宮原くんも素晴らしい投手ですし、渡部くんは捕手としての能力、試合をコントロールする能力が素晴らしい」と評価。10月の会議後には「投手なのか野手なのかについてもこれから」と話し、ドラフト前日と当日にも会議を開いて最終決定する方針を示した。
広島のドラフト戦略
ここまでの分析を踏まえると、広島のドラフト戦略は次のように整理できる。
1位:即戦力の捕手か投手
1位候補に挙がる3人は、いずれも1年目から戦力になれる大学生だ。捕手の打撃が課題となっている現状を考えれば、強打の捕手・渡部は補強ポイントに合う。ただし阪神も渡部を1位候補の最有力に挙げており、競合は避けられない。床田、森下のFA流出に備えるなら、鈴木や、広島出身の宮原を1位で確保する選択肢もある。
2〜3位:即戦力の二遊間
小園と矢野が抜けた遊撃は、上位で即戦力の内野手を確保できるかが焦点になる。12球団のドラフト戦略の記事でも触れたように、今年の候補で1年目から二遊間のレギュラーを争える大学生・社会人の内野手は多くない。1位で投手か捕手を指名した場合、2位で二遊間の内野手を最優先で狙いたい。
中位以降:長打力のある外野手と先発候補
外野は3ポジションとも定位置が空いており、長打力のある外野手の補強も必要だ。12球団の記事で挙げた大阪商業大の春山陽登、九州国際大付の牟禮翔のような長打力のある外野手を中位以降で狙いたい。投手も、FAの動向次第では先発候補の追加が必要になる。
まとめ
- 広島は61勝78敗4分の4位。チーム打率.223、得点431はリーグ最下位
- 遊撃の先発の大半を担った小園と矢野が戦力外となり、二遊間の再編が急務
- 二塁の菊池は35歳以上。外野も3ポジションとも定位置が空いている
- 捕手は持丸・石原の打撃が課題
- 床田は国内FA権を取得し、森下・坂倉にも他球団の関心が報じられている
- 1位候補は鈴木泰成、渡部海、宮原廉。2位以降で二遊間と長打力のある外野手を補強したい
あわせて読みたい
- 【2026ドラフト】DeNAのドラフト戦略|東に続く左の先発と宮﨑・筒香の後継が補強ポイント
- 青学大バッテリー・鈴木泰成&渡部海がプロ志望届 4年連続ドラ1輩出、30年ぶりの投手・捕手W1位もあるか
- 2026ドラフト候補|宮原廉(近畿大)の最速154キロと評価
- 2026ドラフト候補|牟禮翔(九州国際大付)の長打力と俊足
- 阪神、8年ぶりFA補強へ|床田寛樹・太田光・中川圭太・上林誠知の4人を調査
- 【2026ドラフト】12球団のドラフト戦略を徹底分析|ポジション別・年齢別の戦力表で見る補強ポイント
- 【2026ドラフト】中日のドラフト戦略|外野の強打者と先発の世代交代が補強ポイント
出典
・広島がスカウト会議、1位公表見送り|ドラフト会議ホームページ
・広島がスカウト会議、大学・社会人の候補70人をリストアップ|ドラフト会議ホームページ
・広島、小園や矢野らを戦力外に|秋田魁新報(共同通信)
・巨人ドラ1候補に明大・榊原七斗選手が急浮上(FA補強の対象)|ドラフト会議ホームページ
・阪神 広島・床田&楽天・太田を獲得調査へ|デイリースポーツ
・ドラフト会議2026年広島東洋カープ指名予想|球歴.com
・2026年 広島東洋カープ|スタメンデータベース
・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム勝敗表
・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム打撃成績
・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム投手成績
・NPB.jp 2026年度 広島東洋カープ 個人打撃成績