10月22日のプロ野球ドラフト会議に向けて、中日は10月9日のスカウト会議で指名候補を約60人に絞り込んだ。井上一樹監督が率いた今季は60勝81敗2分で最下位。来季からは工藤公康新監督のもとで再建を目指す。
先発投手陣は5人が防御率2点台と健闘した一方、チーム打率.228はリーグ5位。この記事では、中日の今季の成績、投手・野手の年齢構成、ポジション別のスタメン出場回数を表で確認し、チームの弱点を踏まえたドラフト戦略を考える。
今季の成績―先発は好投も打線が低迷
| 項目 | 成績 | リーグ順位 |
|---|---|---|
| 順位 | 6位 | - |
| 勝敗 | 60勝81敗2分 | - |
| 勝率 | .426 | 6位 |
| 得点 | 478 | 4位 |
| 失点 | 494 | 3位 |
| チーム打率 | .228 | 5位 |
| 本塁打 | 121 | 3位 |
| 盗塁 | 52 | 5位 |
| チーム防御率 | 3.28 | 4位 |
中日は首位の阪神から19ゲーム差の最下位に終わった。チーム本塁打121本はリーグ3位と長打は一定数出たものの、チーム打率.228はリーグ5位、盗塁52もリーグ5位。得点478はリーグ4位にとどまった。
投手陣は、チーム防御率3.28がリーグ4位。ただし、先発の柳裕也(2.34)、大野雄大(2.45)、髙橋宏斗(2.62)、マラー(2.69)、金丸夢斗(2.91)と、100イニング以上を投げた先発5人がそろって防御率2点台を記録した。先発陣は計算できる一方、打線の援護が少なく、金丸は防御率2.91ながら5勝12敗と負け越している。
年齢・ポジション別の戦力構成
投手
| 年齢 | 投手(右) | 投手(左) |
|---|---|---|
| 〜20 | 有馬 | 高橋幸佑 |
| 21 | 篠﨑 | 福田 |
| 22 | ||
| 23 | 中西・櫻井・松木平 | 金丸 |
| 24 | 髙橋 | 吉田 |
| 25 | 草加・仲地 | |
| 26 | 根尾・伊藤・松山 | |
| 27 | 梅野・清水 | 牧野 |
| 28 | 藤嶋・森博人 | 橋本・近藤 |
| 29 | 勝野・メヒア | マラー |
| 30 | 宮内 | 齋藤 |
| 31 | アブレウ | |
| 32 | 柳 | |
| 33 | ||
| 34 | 杉浦 | |
| 35〜 | 涌井 | 大野・松葉 |
| 人数 | 22 | 11 |
野手
| 年齢 | 捕手 | 内野(右打) | 内野(左打) | 外野(右打) | 外野(左打) |
|---|---|---|---|---|---|
| 〜20 | 森駿太 | 能戸 | |||
| 21 | |||||
| 22 | |||||
| 23 | 味谷 | 新保 | 花田 | ||
| 24 | ロドリゲス | 土田 | 岡林 | ||
| 25 | 石川 | 村松 | |||
| 26 | 石伊・石橋 | 田中 | |||
| 27 | 福元・鵜飼 | ||||
| 28 | 樋口 | 細川 | |||
| 29 | |||||
| 30 | 福永 | ||||
| 31 | 上林 | ||||
| 32 | 高橋周平・板山 | ||||
| 33 | 宇佐見 | サノー・山本 | ボスラー・川越 | ||
| 34 | 加藤 | カリステ | |||
| 35〜 | 木下 | 阿部 | 大島 | ||
| 人数 | 6 | 8 | 7 | 4 | 6 |
支配下選手を今季の年齢とポジション(投手は右左、野手は打席の右左)で分けたのが上の2つの表だ。投手は20代前半から中盤の右投手が多いが、先発の柱の大野と涌井秀章は35歳以上、柳も32歳。また、22歳の選手が1人もおらず、高卒4年目・大卒1年目にあたる世代が空白になっている。
野手の課題―細川に続く右の強打者
主な野手の今季成績
| 選手 | 年齢 | 守備・打席 | 試合 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 細川成也 | 28 | 外野・右 | 143 | 604 | .226 | 25 | 71 | 3 | .771 |
| 村松開人 | 25 | 内野・左 | 126 | 530 | .258 | 6 | 43 | 4 | .710 |
| 福永裕基 | 30 | 内野・右 | 114 | 442 | .280 | 10 | 34 | 15 | .750 |
| 石伊雄太 | 26 | 捕手 | 112 | 397 | .264 | 7 | 31 | 0 | .697 |
| 石川昂弥 | 25 | 内野・右 | 103 | 389 | .249 | 11 | 42 | 1 | .712 |
| サノー | 33 | 内野・右 | 95 | 358 | .220 | 23 | 52 | 0 | .755 |
| 岡林勇希 | 24 | 外野・左 | 90 | 345 | .231 | 3 | 19 | 2 | .592 |
| ボスラー | 33 | 外野・左 | 88 | 271 | .187 | 8 | 20 | 0 | .559 |
| 田中幹也 | 26 | 内野・右 | 84 | 254 | .241 | 1 | 12 | 9 | .611 |
| 板山祐太郎 | 32 | 内野・左 | 78 | 202 | .235 | 6 | 24 | 1 | .706 |
| 鵜飼航丞 | 27 | 外野・右 | 54 | 175 | .235 | 5 | 22 | 1 | .635 |
| 花田旭 | 23 | 外野・右 | 47 | 159 | .242 | 4 | 12 | 1 | .673 |
| 阿部寿樹 | 35〜 | 内野・右 | 76 | 143 | .254 | 3 | 23 | 0 | .754 |
| 高橋周平 | 32 | 内野・左 | 60 | 121 | .250 | 0 | 5 | 0 | .612 |
打線の中心は、全143試合に出場して25本塁打を放った細川成也と、23本塁打のサノーだ。福永裕基(OPS.750)、石川昂弥(.712)、村松開人(.710)も一定の数字を残した。
一方、細川は打率.226、サノーも打率.220と確実性に欠け、サノーは33歳だ。中堅の岡林勇希はOPS.592と苦しみ、外国人のボスラーも打率.187、OPS.559に終わった。本塁打を期待できる打者は細川とサノーの2人に限られ、2人に続く強打者がいない。
ポジション別のスタメン出場回数
| ポジション | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 捕手 | 石伊(101) | 加藤(24) | 木下(18) |
| 一塁 | サノー(84) | ボスラー(26) | 阿部(20) |
| 二塁 | 田中(60) | 福永(60) | 山本(11) |
| 三塁 | 石川昂(90) | 福永(35) | 高橋周(13) |
| 遊撃 | 村松(124) | 土田(7) | 山本(5) |
| 左翼 | 細川(142) | 板山(1) | |
| 中堅 | 岡林(75) | 花田(30) | 大島(15) |
| 右翼 | ボスラー(33) | 鵜飼(32) | 板山(30) |
| 指名打者 | サノー(5) | 福永(2) | 阿部・細川(各1) |
今季143試合のスタメンをポジション別に集計した。カッコ内はスタメンでの出場試合数だ。
- 固定できたポジション:左翼の細川(142試合)、遊撃の村松(124試合)、捕手の石伊雄太(101試合)、三塁の石川昂(90試合)、一塁のサノー(84試合)
- 右翼:ボスラー(33試合)、鵜飼航丞(32試合)、板山祐太郎(30試合)と3人がほぼ同じ数で並び、レギュラー不在
- 中堅:岡林が75試合で最多だが、花田旭(30試合)、大島洋平(15試合)らとの併用が続いた
- 二塁:田中幹也と福永が60試合ずつで、併用だった
打順では、4番は細川(68試合)とサノー(61試合)が分け合った。最も手薄なのは外野で、細川以外の2つのポジションでレギュラーを固定できなかった。右翼に入った選手の打撃は、ボスラーがOPS.559、鵜飼が.635と物足りない。来季からはセ・リーグでもDH制が導入されるため、外野やDHで長打を期待できる打者の補強が急務だ。
捕手―石伊が正捕手に定着
| 捕手 | 年齢 | 試合 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 石伊雄太 | 26 | 112 | 397 | .264 | 7 | 31 | .697 |
| 加藤匠馬 | 34 | 35 | 77 | .147 | 0 | 2 | .392 |
| 木下拓哉 | 35〜 | 27 | 67 | .266 | 0 | 3 | .601 |
| 味谷大誠 | 23 | 4 | 4 | .250 | 0 | 0 | .500 |
| 石橋康太 | 26 | 4 | 3 | .000 | 0 | 0 | .000 |
捕手は26歳の石伊が112試合に出場し、打率.264、7本塁打とスタメンの7割を占める正捕手に定着した。加藤匠馬は34歳、木下拓哉は35歳以上と、2番手以降はベテランが中心。23歳の味谷大誠らの育成と並行して、石伊とともに次の世代を担う捕手の獲得も検討に値する。報道では、中日も青山学院大の渡部海捕手を1位候補の一人に挙げている。
投手の課題―先発の世代交代と救援の厚み
| 投手 | 投 | 年齢 | 登板 | 勝 | 敗 | S | H | 投球回 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 金丸夢斗 | 左 | 23 | 25 | 5 | 12 | 0 | 0 | 160.2 | 2.91 |
| 柳裕也 | 右 | 32 | 24 | 7 | 5 | 0 | 0 | 150 | 2.34 |
| 大野雄大 | 左 | 35〜 | 22 | 10 | 7 | 0 | 0 | 143 | 2.45 |
| 髙橋宏斗 | 右 | 24 | 19 | 5 | 7 | 0 | 0 | 123.2 | 2.62 |
| マラー | 左 | 29 | 19 | 7 | 8 | 0 | 0 | 120.1 | 2.69 |
| 涌井秀章 | 右 | 35〜 | 12 | 4 | 3 | 0 | 0 | 64.1 | 3.92 |
| 櫻井頼之介 | 右 | 23 | 14 | 2 | 5 | 0 | 2 | 57.2 | 5.31 |
| 吉田聖弥 | 左 | 24 | 52 | 1 | 4 | 0 | 27 | 48 | 2.44 |
| 齋藤綱記 | 左 | 30 | 53 | 4 | 3 | 0 | 13 | 43 | 2.93 |
| 松山晋也 | 右 | 26 | 45 | 1 | 4 | 31 | 4 | 42.1 | 1.70 |
| 藤嶋健人 | 右 | 28 | 45 | 3 | 2 | 0 | 7 | 39.2 | 3.86 |
| 橋本侑樹 | 左 | 28 | 45 | 4 | 4 | 0 | 18 | 39.1 | 4.58 |
| 中西聖輝 | 右 | 23 | 8 | 2 | 4 | 0 | 0 | 38 | 6.39 |
先発は12球団でも上位の陣容だが、柳(32歳)、大野、涌井(ともに35歳以上)と30代の投手が多い。23歳の金丸、24歳の髙橋宏斗に続く若い先発の台頭が、今後の課題になる。昨年のドラフト1位の中西聖輝(防御率6.39)、櫻井頼之介(5.31)は、まだ結果を残せていない。
救援は、抑えの松山晋也が31セーブ、防御率1.70、左の吉田聖弥(27ホールド)、齋藤綱記(13ホールド)が勝ちパターンを支えた。ただ、橋本侑樹は防御率4.58、藤嶋健人は3.86と、松山につなぐ投手の安定感には課題が残った。
スカウト会議で挙がった1位候補
10月9日のスカウト会議では、1位指名の候補として次の4人を軸に名前が挙がった。
- 鈴木泰成(青山学院大・投手)
- 渡辺和大(慶應大・投手)
- 織田翔希(横浜高・投手):堀中スカウト部長は「今回のドラフトの中で、トップの評価をしています」と話したが、その後メジャー挑戦を表明したため、指名の対象からは外れる
- 菰田陽生(山梨学院高・投手/内野手):身長195センチ、体重103キロ、最速152キロ、高校通算39本塁打の二刀流
このほか、渡部海捕手(青山学院大)、宮原廉投手(近畿大)、王子の樋口新投手、柴崎聖人外野手らも上位候補としてリストアップされている。堀中スカウト部長は「投手はもちろんですが、捕手や野手、全体的なチームのバランスを考えてドラフトに臨むことになります」と話している。工藤新監督は指名選手の要望を問われ「ないです」と答え、ドラフト戦略は編成・スカウト陣に委ねられている。
中日のドラフト戦略
ここまでの分析を踏まえると、中日のドラフト戦略は次のように整理できる。
1位:投打の柱になれる素材か、即戦力の先発
スカウト会議で軸となった4人のうち、メジャー挑戦を表明した織田を除くと、鈴木泰成と渡辺和大が投手、菰田が二刀流だ。先発の世代交代を考えれば、鈴木泰成や渡辺和大の即戦力投手を1位で狙う方針は理にかなっている。一方、打線の強化を重視するなら、高校通算39本塁打の長打力を持つ菰田は、打者としても魅力的な選択肢になる。
織田がメジャー挑戦を表明したため、1位は鈴木泰成、渡辺和大、菰田の3人を軸に決めることになる。21日に予定されている最終のスカウト会議で、どの選手に絞り込むかが注目される。
2〜3位:外野を守れる長打力のある野手
打線の課題を考えれば、2位以降では外野の強打者を優先したい。右翼はレギュラー不在で、細川とサノーに続く長距離打者もいない。12球団のドラフト戦略の記事でも挙げたように、右打ちの外野手では東京ガスの藤澤涼介、大阪商業大の春山陽登、高校生では九州国際大付の牟禮翔らが候補になる。社会人では、リストアップされた王子の柴崎聖人も即戦力の外野手だ。
中位以降:22歳世代の補充と救援
22歳の選手が1人もいない年齢構成を考えれば、大卒1年目にあたる大学生の指名は世代の空白を埋めることにもつながる。救援も、松山につなぐ投手の底上げが必要で、社会人の樋口新のような即戦力左腕も選択肢になる。
まとめ
- 中日は60勝81敗2分の最下位。チーム打率.228はリーグ5位
- 先発5人がそろって防御率2点台だが、柳・大野・涌井が30代と世代交代が課題
- 本塁打を期待できるのは細川(25本)とサノー(23本)の2人だけ。右翼はレギュラー不在
- 捕手は26歳の石伊が正捕手に定着
- 22歳の選手がおらず、世代の空白がある
- 1位候補の軸は鈴木泰成、渡辺和大、菰田陽生。織田翔希はメジャー挑戦を表明し、指名の対象から外れる
- 2位以降は外野の強打者、中位以降で世代の空白と救援を補いたい
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出典
・中日がスカウト会議、指名候補を約60人に絞り込み|ドラフト会議ホームページ
・中日のドラフト1位候補、青学大の渡部海捕手に岡野スカウト「勝てるキャッチャー」と評価|ドラフト会議ホームページ
・工藤公康新監督、指名要望は「ないです」|ドラフト会議ホームページ
・ドラフト会議2026年中日ドラゴンズ指名予想|球歴.com
・2026年 中日ドラゴンズ|スタメンデータベース
・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム勝敗表
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