オリックス・バファローズは10月5日、2023年のパ・リーグ首位打者・頓宮裕真捕手(29)と来季の契約を結ばないと発表した。球団は育成契約を打診しているとみられる。同日には支配下の阿部翔太投手(33)も構想外となり、育成の香月一也、寿賀弘都、芦田丈飛、村上喬一朗の4選手も含めて計6選手が対象となった。
2022年・2023年とリーグ連覇を達成したチームの中核にいた選手たちが並んだ今回の発表。プロ野球のシーズン終了後に行われる戦力外通告の中でも、主力経験者が多く含まれた大きな動きだ。ここでは6選手それぞれの経歴と今季の成績を、1軍・2軍の数字を交えながら振り返っていく。
今回の対象6選手一覧
| 選手 | ポジション | 区分 | 今季1軍 | 今季2軍 | 通告内容 |
|---|---|---|---|---|---|
| 頓宮裕真 | 捕手 | 支配下 | 出場なし | 5試合・打率.308 | 育成契約を打診 |
| 阿部翔太 | 投手 | 支配下 | 13試合・防御率10.13 | 38試合・防御率2.91 | 構想外 |
| 香月一也 | 内野手 | 育成 | 出場なし | 41試合・打率.310 | 構想外(引退の意向) |
| 寿賀弘都 | 投手 | 育成 | 出場なし | 8試合・防御率2.31 | 構想外(現役続行希望) |
| 芦田丈飛 | 投手 | 育成 | 出場なし | 14試合・防御率1.37 | 構想外(現役続行希望) |
| 村上喬一朗 | 捕手 | 育成 | 出場なし | 25試合・打率.310 | 構想外(現役続行希望) |
頓宮裕真(捕手)―首位打者からの右膝手術、育成打診へ
頓宮は1996年11月17日生まれ。2019年に1軍デビューを果たすと、2020年以降は少しずつ出場機会を増やしていった。2022年は81試合で打率.226・11本塁打にとどまったが、2023年には113試合に出場して打率.307・16本塁打・49打点を記録し、パ・リーグの首位打者を獲得した。それまで打率.226だった選手が、変化球への対応力を大きく改善させた結果だった。このシーズンはベストナインにも初めて選ばれ、オリックスの連覇を支える主軸の一人となった。
しかし、その後は苦しいシーズンが続いた。2024年は81試合に出場して打率.197・7本塁打・30打点。2025年は自己最多の129試合に出場し、打率.249・13本塁打・54打点という数字を残している。打撃の好不調の波がはっきりと現れた3年間だった。
今季は、今春キャンプ中に右膝の後十字靱帯を損傷したことが大きく響いた。7月7日には千葉県内の病院で、右膝半月板の再建術、高位脛骨骨切り術、骨軟骨柱移植術を受けるなど、実戦復帰まで最短1年を要する大手術となった。約1カ月半の入院を経て、大阪・舞洲の球団施設でリハビリを続けており、プロ野球選手として前例のない大怪我からの復帰を目指している最中だった。
それでも2軍では5試合・14打席に立ち、13打数4安打、打率.308・長打率.538という数字を残した。1軍での出場はなかったが、復帰に向けて打撃感覚は失っていなかったことがうかがえる。来季の支配下契約は結ばれず、育成契約での再出発を打診されるとみられるが、膝の状態と回復の度合いが今後の鍵を握る。
頓宮裕真の年度別成績
| 年度 | 試合数 | 打数 | 安打数 | HR | 打点 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | 28 | 91 | 18 | 3 | 10 | .198 |
| 2020 | 12 | 32 | 10 | 2 | 5 | .313 |
| 2021 | 46 | 112 | 26 | 5 | 14 | .232 |
| 2022 | 81 | 234 | 53 | 11 | 34 | .226 |
| 2023 | 113 | 401 | 123 | 16 | 49 | .307 |
| 2024 | 81 | 249 | 49 | 7 | 30 | .197 |
| 2025 | 129 | 473 | 118 | 13 | 54 | .249 |
阿部翔太(投手)―2022年、2023年の連覇を支えたリリーフ右腕
阿部翔太は1992年11月3日生まれ、2020年ドラフト6位でオリックスに入団した右腕だ。2021年は4試合の登板にとどまったが、2022年は44試合に登板して1勝0敗・22ホールド・3セーブ、防御率0.61という好成績を残した。リーグ優勝と日本一に貢献し、ブルペンの重要な一員として存在感を示した。
2023年も49試合に登板して3勝5敗・21ホールド・1セーブ、防御率2.70。リーグ3連覇に欠かせないリリーフとして、接戦の終盤を任される場面が続いた。しかし2024年は17試合、2025年は16試合と登板数が減り、勝ちパターンからは外れていった。
今季は1軍で13試合に登板したが、10回2/3で12失点、防御率10.13と結果を残せなかった。2軍では38試合に登板して34回を投げ、防御率2.91、26奪三振、与四球12。K/9は6.88、BB/9は3.18と、2軍の舞台では一定の奪三振能力を示したものの、1軍の舞台では再び結果を出すことができなかった。
通算では143試合に登板し、4勝6敗・47ホールドという成績を残している。戦力外通告を受けた阿部は、「すごく幸せな6年間だった」と感謝の言葉を口にしたと報じられている。今後の進路については「家族と相談」するとして、未定の状態だ。
香月一也(内野手)―元ドラフト候補の引退、「自分の中で財産」
香月一也は大阪桐蔭高時代に全国制覇を経験した内野手。2014年のドラフトでロッテに指名されてプロ入りした。2020年にはトレードで巨人へ移籍し、2021年には21試合に出場して3本塁打を記録したが、1軍定着には至らなかった。
2024年にオリックスの育成選手として入団し、3シーズン目となった今季は2軍で41試合に出場。99打席で打率.310・出塁率.394・長打率.379の成績を残しており、育成の立場で最後まで打撃での結果を出し続けた。巨人時代を含めた1軍通算では33安打・4本塁打という数字になる。
香月は戦力外通告を受けた後、現役引退の意向を示した。「自分の中でも踏ん切りがついた。3球団全部楽しかったし、いい経験をさせてもらった」とすがすがしい表情で語り、「自分の中で財産」と振り返っている。ロッテ・巨人・オリックスの3球団を渡り歩いた12年間のプロ生活にひと区切りをつける形となった。
寿賀弘都(投手)―若手右腕、2軍で防御率2点台も制球に課題
寿賀弘都は2005年6月16日生まれの育成選手。英明高出身の若手右腕で、今季は2軍で8試合に登板した。11回2/3を投げて防御率2.31。失点は抑えたものの、与四球9と四球が多く、BB/9は6.94と制球面に課題を残したシーズンだった。
1軍での登板はなく、今回の構想外は、まだ支配下を目指す途中での判断となった。寿賀は現役続行を希望しており、他球団での再起を目指すことになる。
芦田丈飛(投手)―独立リーグ出身、2軍で防御率1点台
芦田丈飛は千葉英和高から国士舘大を経て、社会人のアルフロンティア、独立リーグの埼玉武蔵ヒートベアーズでプレーした後、オリックスの育成選手となった26歳の右腕だ。
今季は2軍で14試合に登板し、19回2/3で1勝0敗・2セーブ、防御率1.37。奪三振は17、与四球は5で、K/9は7.78、BB/9は2.29と、2軍の投手としては高い水準の数字を残した。ブルペンの一角として安定した内容を見せたが、1軍での登板機会を得られず、今回の対象となった。芦田も現役続行を希望している。
村上喬一朗(捕手)―東福岡から法政大へ、2軍で出塁の力
村上喬一朗は東福岡高から法政大を経て、捕手としてオリックスの育成選手となった25歳の若手捕手だ。
今季は2軍で25試合に出場し、37打席で29打数9安打、打率.310・出塁率.394。四球4を選び、捕手としての守備負担を抱えながらも出塁能力で存在感を示した。正捕手争いの競争が激しい中で、1軍での出場機会をつかむことはできなかった。村上も現役続行を希望している。
戦力外通告と育成契約の仕組み
プロ野球の戦力外通告には、シーズン終了後に球団が選手へ通告する第1次の期間(今季は2軍公式戦の全日程終了翌日から、クライマックスシリーズ前日まで)と、第2次の期間(CS終了翌日から10月末まで)がある。通告を受けた選手は、他球団との交渉や自由契約、引退などの道を選ぶことになる。
今回の頓宮のように、支配下選手に対して育成契約を打診するケースは珍しくない。育成選手は支配下登録を目指す立場で、背番号は3桁となり、年俸や出場資格の面で支配下選手と差がある。ただし、育成からの支配下復帰を果たした選手も少なくなく、再起の道として残されている。
また、支配下のまま出場機会に恵まれない選手は、現役ドラフトで他球団に移籍する可能性もある。今オフの6選手の中で、他球団からの獲得に動く球団が出てくるかは注目点の一つになるだろう。
2軍成績から読み取れること
今回の6選手のうち、阿部翔太は2軍で34回を投げて奪三振26、K/9は6.88と、2軍の舞台では一定の奪三振能力を見せていた。与四球12からBB/9は3.18で、制球もそれほど大きく崩れていない。1軍で防御率10.13と打ち込まれたのは、登板の機会や場面によるものが大きいと考えられ、2軍成績との差が大きな課題として残った。
芦田丈飛は2軍で19回2/3を投げ、K/9は7.78、BB/9は2.29。独立リーグ出身の右腕として、1軍の投手陣の中で通用するかを試す機会が限られていた。寿賀弘都はBB/9が6.94と制球面の課題が目立ったが、若手として伸びしろのある数字といえる。
打者では、香月一也が2軍41試合で打率.310、村上喬一朗は25試合で打率.310・出塁率.394を残した。いずれも育成の立場で出場機会を得ながら、最後まで打撃での結果を出し続けた。1軍の壁を越えるまでには至らなかったが、2軍のシーズンを通じた数字は、今後の支配下復帰を目指す上での土台になりうる。
今回の戦力外から見えること
今回の6選手には、それぞれ異なる背景がある。頓宮は大怪我からの復帰を目指す途中での育成打診、阿部は連覇を支えたリリーフながら1軍での結果が続かなかったケース、香月は3球団を経て引退を決めた元ドラフト候補、寿賀・芦田・村上は若手として出場機会を求める途中での構想外だ。
育成契約の打診という形が注目されるのは、頓宮の処遇だ。支配下選手から育成選手への切り替えは、実質的に1軍での出場機会を一度リセットして再起を図る道であり、背番号や年俸、立場が大きく変わる。2023年の首位打者という実績を持つ選手が、どこまで回復して育成契約からはい上がれるかは、今オフの大きな注目点となる。
また、阿部の今後や、若手投手陣の動向にも引き続き注目したい。戦力外通告を受けた選手の多くは、現役続行の意思を示している。今後どの球団が手を挙げるのか、各選手のこれからを追っていきたい。
まとめ
2023年の首位打者から、大怪我からの復帰を目指す頓宮裕真。2022年・2023年の連覇を支えた阿部翔太。元ドラフト候補として現役引退を決めた香月一也。若手として再起を誓う寿賀弘都、芦田丈飛、村上喬一朗。6選手の戦力外は、それぞれの野球人生の節目であり、来季以降の動向を注視したい。