阪神が今オフ、他球団の国内FA権取得選手の獲得調査に乗り出すと報じられた。デイリースポーツによると広島の床田寛樹投手と楽天の太田光捕手、スポーツ報知によるとオリックスの中川圭太内野手と中日の上林誠知外野手が候補に挙がっている。実現すれば、2018年オフの西勇輝以来、8年ぶりのFA補強となる。
リーグ連覇を果たしながら、CSファイナルステージではDeNAに4連敗で敗退した阪神。この記事では、報道された4人の成績を表で確認し、阪神の補強ポイントとどう合致するのかを分析する。
報道された4人の候補
| 選手 | 所属 | 年齢 | 守備 | 投打 | 2026年成績 |
|---|---|---|---|---|---|
| 床田寛樹 | 広島 | 31 | 投手 | 左投 | 23試合 8勝6敗 防御率2.76 |
| 太田光 | 楽天 | 30 | 捕手 | 右打 | 100試合 打率.202 3本塁打 |
| 中川圭太 | オリックス | 30 | 内野手(外野・一塁) | 右打 | 113試合 打率.252 6本塁打 |
| 上林誠知 | 中日 | 31 | 外野手 | 左打 | 25試合 打率.230 2本塁打 |
10月18日付の報道によると、阪神はFA権を持つ自軍の選手全員と残留交渉を進めたうえで、他球団のFA選手の動向も注視していく方針だ。海外FA権を持つ伏見寅威捕手(36)には複数年契約を提示し、全力で慰留するという。粟井球団社長はリーグ優勝時、8年ぶりのFA補強について「あくまでもフロントとして一つの見解」としたうえで「全く否定はしない」と話していた。
背景には、来季の戦力構想に関わる2つの事情がある。一つは、今季三冠王の佐藤輝明にメジャー移籍の可能性があること。もう一つは、リーグ3連覇がかかる来季から、セ・リーグでもDH制が導入されることだ。
床田寛樹(広島)―4年連続規定投球回の本格派左腕
| 年度 | 球団 | 登板 | 勝 | 敗 | 投球回 | 防御率 | 奪三振 | WHIP |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | 広島 | 25 | 7 | 6 | 139.2 | 2.96 | 101 | 1.28 |
| 2020 | 広島 | 15 | 5 | 8 | 76.2 | 4.93 | 56 | 1.62 |
| 2021 | 広島 | 16 | 5 | 4 | 87.1 | 3.19 | 80 | 1.32 |
| 2022 | 広島 | 17 | 8 | 6 | 114 | 2.84 | 74 | 1.01 |
| 2023 | 広島 | 24 | 11 | 7 | 156 | 2.19 | 86 | 1.10 |
| 2024 | 広島 | 26 | 11 | 9 | 167 | 2.48 | 95 | 1.31 |
| 2025 | 広島 | 26 | 9 | 12 | 171.1 | 3.15 | 102 | 1.17 |
| 2026 | 広島 | 23 | 8 | 6 | 143.1 | 2.76 | 84 | 1.23 |
| 通算 | 175 | 65 | 59 | 1072.2 | 2.96 | 694 | 1.23 |
床田は31歳の左腕。2023年と2024年に2年連続で2桁勝利を挙げ、2023年から今季まで4年連続で規定投球回に到達した。今季も23試合に先発して8勝6敗、防御率2.76。通算でも防御率2.96と安定しており、4年連続で140イニング以上を投げてきた耐久性が最大の魅力だ。
阪神の今季の先発陣は、村上頌樹、才木浩人、髙橋遥人の3人がそろって2桁勝利を挙げた。一方で、4番手以降は大竹耕太郎の7勝が最多で、3本柱に続く先発の台頭は来季の課題とされている。
| 投手 | 球団 | 登板 | 勝 | 敗 | 投球回 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 村上頌樹 | 阪神 | 27 | 10 | 9 | 180.1 | 1.85 |
| 髙橋遥人 | 阪神 | 23 | 16 | 3 | 159 | 1.87 |
| 才木浩人 | 阪神 | 25 | 10 | 5 | 154 | 2.51 |
| 大竹耕太郎 | 阪神 | 18 | 7 | 9 | 101.2 | 2.74 |
| 伊藤将司 | 阪神 | 12 | 2 | 3 | 58 | 3.10 |
| 床田寛樹 | 広島 | 23 | 8 | 6 | 143.1 | 2.76 |
床田の今季143回1/3は、阪神の先発で言えば才木の154回に迫る数字だ。3本柱に床田が加われば、規定投球回を投げられる先発が4人そろう。国内の複数球団が獲得に興味を示しているとされ、争奪戦になる可能性もある。
太田光(楽天)―2年連続100試合出場の捕手
| 年度 | 球団 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | 楽天 | 107 | .188 | 4 | 23 | 1 | .260 | .254 | .515 |
| 2022 | 楽天 | 71 | .214 | 3 | 18 | 1 | .325 | .303 | .629 |
| 2023 | 楽天 | 104 | .243 | 3 | 14 | 1 | .356 | .329 | .686 |
| 2024 | 楽天 | 94 | .196 | 2 | 23 | 2 | .244 | .291 | .535 |
| 2025 | 楽天 | 111 | .176 | 1 | 12 | 0 | .281 | .250 | .531 |
| 2026 | 楽天 | 100 | .202 | 3 | 18 | 0 | .255 | .265 | .520 |
| 通算 | 709 | .202 | 19 | 130 | 6 | .283 | .282 | .566 |
太田は30歳の捕手。昨季から2年連続で100試合以上に出場し、2025年にはリーグトップの盗塁阻止率.383を記録した。今季も100試合に出場している。
今季の阪神は、坂本誠志郎、伏見、梅野隆太郎の3人を併用して戦った。
| 捕手 | 球団 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 坂本誠志郎 | 阪神 | 97 | .197 | 10 | 36 | .606 |
| 梅野隆太郎 | 阪神 | 27 | .219 | 1 | 4 | .572 |
| 伏見寅威 | 阪神 | 54 | .221 | 0 | 16 | .542 |
| 太田光 | 楽天 | 100 | .202 | 3 | 18 | .520 |
打撃面では、太田の今季打率.202、OPS.520は、阪神の3人を上回るものではない。通算でもOPS.566と、打力が売りの捕手ではない。それでも獲得調査の対象となるのは、守備力と年齢だろう。伏見は36歳で、3人の併用は経験豊富な捕手に頼る形だった。強肩の太田は30歳と若く、捕手陣の世代交代を見据えた補強になる。伏見の残留交渉の結果も、太田への動き方を左右しそうだ。
中川圭太(オリックス)―「無敵の中川」と呼ばれた好打者
| 年度 | 球団 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021 | オリックス | 61 | .212 | 1 | 7 | 1 | .259 | .263 | .522 |
| 2022 | オリックス | 110 | .283 | 8 | 51 | 11 | .326 | .441 | .767 |
| 2023 | オリックス | 135 | .269 | 12 | 55 | 5 | .334 | .417 | .751 |
| 2024 | オリックス | 60 | .231 | 2 | 16 | 3 | .273 | .315 | .588 |
| 2025 | オリックス | 119 | .284 | 12 | 53 | 10 | .314 | .432 | .746 |
| 2026 | オリックス | 113 | .252 | 6 | 33 | 3 | .314 | .338 | .653 |
| 通算 | 754 | .261 | 46 | 260 | 45 | .310 | .378 | .688 |
中川は30歳の右打者。休部中の名門・PL学園出身の最後のプロ野球選手で、オリックスのリーグ3連覇に貢献し、中嶋聡前監督に「無敵の中川」と言わしめた。昨季は119試合でリーグ3位の打率.284、12本塁打。今季は終盤に左脇腹を痛めたこともあり、打率.252、OPS.653と数字を落としたが、通算打率は.261。バットコントロールに優れ、外野と一塁を守れる。
阪神にとって魅力的なのは、右打者であることだ。今季の主力のうち、近本光司、中野拓夢、佐藤、髙寺望夢、前川右京は左打者で、右の主力は森下翔太と大山悠輔の2人だけだった。CSの敗退後には、評論家から「特に右の代打がいない」という指摘も出ている。外野、一塁、そして来季から導入されるDHと、中川には複数の起用法が考えられる。
上林誠知(中日)―2025年に17本塁打、27盗塁の左打者
| 年度 | 球団 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | ソフトバンク | 134 | .260 | 13 | 51 | 12 | .302 | .434 | .736 |
| 2018 | ソフトバンク | 143 | .270 | 22 | 62 | 13 | .315 | .488 | .803 |
| 2019 | ソフトバンク | 99 | .194 | 11 | 31 | 10 | .254 | .360 | .614 |
| 2020 | ソフトバンク | 69 | .181 | 6 | 20 | 8 | .250 | .331 | .581 |
| 2021 | ソフトバンク | 39 | .191 | 2 | 11 | 2 | .222 | .324 | .546 |
| 2022 | ソフトバンク | 33 | .301 | 1 | 12 | 2 | .337 | .409 | .745 |
| 2023 | ソフトバンク | 56 | .185 | 0 | 9 | 1 | .216 | .239 | .456 |
| 2024 | 中日 | 46 | .191 | 1 | 3 | 0 | .248 | .255 | .503 |
| 2025 | 中日 | 134 | .270 | 17 | 52 | 27 | .303 | .434 | .737 |
| 2026 | 中日 | 25 | .230 | 2 | 4 | 2 | .288 | .361 | .649 |
| 通算 | 807 | .246 | 77 | 262 | 77 | .289 | .412 | .702 |
上林は31歳の左打ちの外野手。ソフトバンク時代の2018年に22本塁打を放ち、2024年に中日へ移籍した。移籍2年目の昨季は134試合で打率.270、17本塁打、52打点、27盗塁と復活した。今季は右膝の故障で25試合の出場にとどまったが、強肩堅守の外野守備は広い甲子園でも生きる。
今季の年俸は4600万円で、人的補償の必要がないCランクという点も、獲得を目指すうえでは大きな利点だ。ただ、デイリースポーツは、阪神がシーズン中から上林の動向を見守ってきたものの「方針転換したとみられる」と報じており、報道によって温度差がある。
阪神の補強ポイントと4人の関係
CSファイナルの敗退では、主力以外の打者の力不足と、控え野手層の薄さが浮き彫りになった。今季、近本、中野、森下、佐藤、大山の主力5人がOPS.845を記録したのに対し、それ以外の野手はOPS.548にとどまった。近本が故障で90試合の出場にとどまった間も、外野で定位置をつかむ選手は現れなかった。
- 先発投手:床田が加われば、3本柱に続く4番手が埋まる
- 捕手:太田は守備力と若さで、ベテラン中心の捕手陣の世代交代を担える
- 右打者・DH:中川は左打者に偏る打線のバランスを改善し、DHや代打でも起用できる
- 外野:上林は近本の故障時の穴埋めや、主力以外の外野手の底上げにつながる
特に野手の2人は、今季の阪神の「主力以外の野手」と比べれば、通算成績で上回る。中川の通算OPS.688、上林の通算OPS.702は、主力以外の野手の今季OPS.548を大きく上回る数字だ。佐藤のメジャー移籍となれば、打線の穴はさらに大きくなる。8年ぶりのFA補強に踏み切るのか、阪神のオフの動きに注目したい。
まとめ
- 阪神が他球団の国内FA選手4人の獲得調査へ。実現すれば2018年オフの西勇輝以来8年ぶりのFA補強
- 床田寛樹は4年連続規定投球回の左腕。3本柱に続く先発候補
- 太田光は2025年にリーグトップの盗塁阻止率.383。捕手陣の世代交代候補
- 中川圭太は右打者で、外野・一塁・DHをこなせる
- 上林誠知は2025年に17本塁打、27盗塁。人的補償のないCランク
- 海外FA権を持つ伏見寅威には、複数年契約を提示して慰留へ
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出典
・阪神 広島・床田&楽天・太田を獲得調査へ 西勇以来の8年ぶりFA補強|デイリースポーツ
・【阪神】8年ぶりのFA補強へ オリックス・中川圭太&中日・上林誠知を調査|スポーツ報知
・阪神まさかの敗退だが…《暗黒時代の再来》回避へ|中日スポーツ
・床田寛樹 成績|スポーツナビ
・太田光 成績|スポーツナビ
・中川圭太 成績|スポーツナビ
・上林誠知 成績|スポーツナビ
・NPB.jp 2026年度 阪神タイガース 個人打撃成績