2026年のセ・リーグ クライマックスシリーズ ファイナルステージで、リーグ連覇の阪神がDeNAに4連敗し、アドバンテージの1勝を含めた1勝4敗で敗退した。球団史上初のセ・リーグ連覇を果たしながら、日本シリーズへの道は甲子園で絶たれた。
最大の敗因は打線だ。第1戦から第3戦まで3試合連続の無得点で、27イニング連続無得点はCS史上ワースト。三冠王の佐藤輝明と35本塁打の森下翔太が欠場し、1番の近本光司は4試合で1本も安打が出なかった。この記事では、4試合の個人成績と各試合の内容を振り返り、敗因を掘り下げる。
CSファイナル全4試合の結果
| 試合 | 日付 | スコア | 阪神の安打 | 阪神先発 | DeNA勝利投手 | 阪神敗戦投手 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1戦 | 10月14日 | ●0-2 | 7 | 村上(6回2失点) | 平良 | 村上 |
| 第2戦 | 10月15日 | ●0-1 | 2 | 髙橋(8回1失点) | 馬場 | 髙橋 |
| 第3戦 | 10月16日 | ●0-4 | 2 | 才木(5回3失点) | 片山 | 才木 |
| 第4戦 | 10月17日 | ●5-8 | 14 | 大竹(4回3失点) | 馬場 | 工藤 |
| 通算 | 0勝4敗(アドバンテージ込み1勝4敗) | 25 |
4試合の総得点は5点で、そのすべてが第4戦に記録されたものだ。一方、投手陣の失点は第1戦から第3戦までの3試合で計7点。先発陣は試合を作っており、打線が1点でも返していれば展開は違っていた。
各試合の振り返り
第1戦(10月14日)阪神0-2DeNA―7安打も無得点
DeNAに初回、宮﨑敏郎の適時打で先制され、6回には佐野恵太にソロ本塁打を浴びた。先発の村上頌樹は6回2失点と試合を作ったが、打線はDeNA先発の平良拳太郎に5回2/3を無失点に抑えられた。
DeNAの3安打を上回る7安打を放ちながら、2回、5回、6回、7回、9回と5度にわたって得点圏に走者を進め、すべて無得点。9回も1死二、三塁と攻めたが、近本が遊飛、中野拓夢が二ゴロに倒れた。1番から4番までの4人は合わせて16打数無安打だった。
第2戦(10月15日)阪神0-1DeNA―佐藤輝明がベンチ外、わずか2安打
佐藤がコンディション不良でベンチを外れた。先発の髙橋遥人は8回5安打1失点の力投を見せたが、8回2死から牧秀悟に決勝のソロ本塁打を浴びた。
打線はDeNAの7投手の継投の前に、初回の中野と9回の髙寺望夢の投手への内野安打2本だけ。9回は1死一、二塁から重盗で二、三塁としたが、木浪聖也が空振り三振、伏見寅威が二ゴロに倒れた。さらに6回には、二ゴロで一塁を駆け抜けた森下が右太もも裏付近を痛め、7回の守備から退いた。
第3戦(10月16日)阪神0-4DeNA―主軸2人を欠き、CS史上初の3試合連続零封
佐藤と森下がそろってスタメンを外れ、ドラフト1位ルーキーの立石正広を「1番・三塁」、近本を「3番・中堅」に置く苦心のオーダーで臨んだ。しかし初回1死一、二塁で大山悠輔が遊ゴロ併殺打に倒れると、2回には「5番・左翼」で先発した前川右京が左手首に死球を受けて負傷交代。打線はまたも2安打に終わった。
DeNAのルーキー片山皓心に7回2安打無失点、8奪三振と抑え込まれ、7回に代打で出場した森下も中飛。先発の才木浩人は3回に佐野に3ラン本塁打を浴び、5回3失点で降板した。藤川球児監督は「3点はちょっと重かったかなというのはありますね」と振り返った。
第4戦(10月17日)阪神5-8DeNA―主軸復帰で打線は目覚めるも、9回に逆転負け
佐藤と森下がスタメンに戻ると、打線は14安打と息を吹き返した。初回に大山の適時打で、このシリーズ初得点を挙げると、森下が5回、7回と2打席連続のソロ本塁打。7回は佐藤の二塁打、大山の右前打で好機を作り、伏見の犠飛で5-3とリードを広げた。
しかし8回に木下里都が宮﨑に適時打を許して1点差に迫られ、9回は工藤泰成が2死二、三塁から三森大貴に中前への逆転2点適時打を浴びた。さらに2点を失って5-8。その裏も1死満塁の好機を作ったが、髙寺と代打の木浪が連続三振に倒れ、試合終了となった。藤川監督は「応援していただいた皆さんに申し訳ない。その一言です」「本当にこちらの責任ですね」と語った。
野手の個人成績
| 選手 | 試合 | 打席 | 打数 | 安打 | 二塁打 | 本塁打 | 打点 | 四死球 | 三振 | 打率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中野 | 4 | 18 | 18 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | .167 |
| 近本 | 4 | 18 | 17 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | .000 |
| 大山 | 4 | 17 | 15 | 6 | 1 | 0 | 1 | 2 | 3 | .400 |
| 髙寺 | 4 | 16 | 14 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | .214 |
| 森下 | 4 | 13 | 10 | 3 | 0 | 2 | 2 | 3 | 1 | .300 |
| 伏見 | 3 | 10 | 5 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | .000 |
| 佐藤 | 2 | 9 | 9 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | .222 |
| 木浪 | 4 | 8 | 7 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | .143 |
| 熊谷 | 2 | 7 | 6 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | .333 |
| 元山 | 3 | 5 | 5 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | .200 |
| 立石 | 2 | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | .000 |
| 坂本 | 1 | 4 | 4 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .500 |
| 前川 | 3 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | .500 |
| 梅野 | 1 | 3 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .000 |
| 福島 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | .000 |
| 小幡 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .000 |
| 岡城 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | .000 |
| 濱田 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
4試合のチーム打率は.192。130打数で25安打、39三振。本塁打は第4戦の森下の2本だけだった。
投手の個人成績
| 区分 | 投手 | 登板 | 防御率 | 勝 | 敗 | H | 投球回 | 安打 | 本塁打 | 四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 先発 | 村上 | 1 | 3.00 | 0 | 1 | 0 | 6 | 3 | 1 | 2 | 5 | 2 | 2 |
| 先発 | 髙橋 | 1 | 1.12 | 0 | 1 | 0 | 8 | 5 | 1 | 1 | 6 | 1 | 1 |
| 先発 | 才木 | 1 | 5.40 | 0 | 1 | 0 | 5 | 7 | 1 | 1 | 6 | 3 | 3 |
| 先発 | 大竹 | 1 | 6.75 | 0 | 0 | 0 | 4 | 5 | 1 | 0 | 3 | 3 | 3 |
| 中継ぎ | 及川 | 2 | 0.00 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| 中継ぎ | セベリーノ | 2 | 3.00 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 |
| 中継ぎ | 神宮 | 2 | 0.00 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 |
| 中継ぎ | 工藤 | 2 | 13.50 | 0 | 1 | 0 | 2 2/3 | 2 | 0 | 2 | 3 | 4 | 4 |
| 中継ぎ | 岩崎 | 1 | 0.00 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
| 中継ぎ | 木下 | 1 | 9.00 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1 |
| 中継ぎ | ドリス | 1 | 0.00 | 0 | 0 | 0 | 1/3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
先発陣は、村上が6回2失点、髙橋が8回1失点と好投した。才木の5回3失点、大竹耕太郎の4回3失点も、打線が援護していれば十分に勝負になる内容だった。救援陣も、及川雅貴、神宮、岩崎優が無失点。第4戦の終盤に工藤らがつかまったものの、それまでの3試合は投手陣がDeNA打線を最少失点に抑えていた。
敗因の分析
1. 3試合連続無得点の打線
敗因の第一は、間違いなく打線だ。第1戦から第3戦までの3試合で、阪神は1点も奪えなかった。27イニング連続無得点はCS史上ワーストで、3試合連続の零封負けもCS史上初。第1戦は7安打を放ちながら得点圏で凡退を重ね、第2戦と第3戦はわずか2安打ずつに終わった。
投手陣が3試合で7失点に抑えていたことを考えれば、打線が1試合に2、3点を返していれば、少なくとも1勝、2勝は挙げられていた計算になる。
2. 佐藤輝明・森下翔太の欠場
シーズン39本塁打、106打点で三冠王に輝いた佐藤と、35本塁打の森下。2人で74本塁打、190打点を挙げた主軸がそろって欠けた影響は計り知れない。佐藤はコンディション不良で第2戦と第3戦を欠場し、森下も第2戦で右太もも裏を痛めて第3戦はスタメンを外れた。
2人がそろってスタメンに名を連ねた第4戦は、14安打5得点。森下は2打席連続本塁打を放ち、佐藤も二塁打で得点に絡んだ。主軸が戻った途端に打線が機能したことが、逆に2人への依存度の高さを示している。
3. 近本光司の17打数無安打
1番の近本は、4試合で17打数無安打に終わった。シーズンでは打率.306、出塁率の高さとスピードで打線に勢いをつけてきたリードオフマンが、1本の安打も出ないまま敗退した。第1戦と第4戦は5度ずつ打席に立ち、第1戦の9回1死二、三塁でも遊飛に倒れている。
先頭打者が出塁できなければ、中軸の前に走者をためることもできない。佐藤と森下が欠場した第2戦と第3戦は、近本の出塁がより重要だっただけに、その不振は痛かった。
4. 1〜5番と6番以降の大きな差
今季の阪神打線は、1番・近本、2番・中野、3番・森下、4番・佐藤、5番・大山の1〜5番が強力だった。しかし、6番以降の打者との力の差があまりにも大きかった。
| 区分 | 打席 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 本塁打 | 打点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主力5人(近本・中野・森下・佐藤・大山) | 2816 | .295 | .371 | .473 | .845 | 99 | 315 |
| それ以外の野手 | 2311 | .205 | .273 | .276 | .548 | 26 | 174 |
主力5人の合計はOPS.845。一方、それ以外の野手は、打率.205、OPS.548にとどまる。チームの本塁打125本のうち99本を主力5人が打っており、それ以外の野手全員で26本だった。
| 選手 | 試合 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 森下翔太 | 143 | 616 | .292 | 35 | 84 | .951 |
| 佐藤輝明 | 143 | 614 | .306 | 39 | 106 | .992 |
| 大山悠輔 | 141 | 591 | .285 | 20 | 85 | .819 |
| 中野拓夢 | 143 | 581 | .287 | 0 | 23 | .660 |
| 近本光司 | 90 | 414 | .306 | 5 | 17 | .766 |
| 髙寺望夢 | 128 | 385 | .219 | 3 | 24 | .592 |
| 坂本誠志郎 | 97 | 319 | .197 | 10 | 36 | .606 |
| 前川右京 | 76 | 214 | .218 | 5 | 20 | .660 |
| 元山飛優 | 57 | 186 | .240 | 0 | 7 | .577 |
| 熊谷敬宥 | 80 | 181 | .211 | 0 | 13 | .485 |
| 木浪聖也 | 64 | 163 | .211 | 1 | 17 | .508 |
| 福島圭音 | 71 | 154 | .228 | 0 | 4 | .596 |
| 伏見寅威 | 54 | 149 | .221 | 0 | 16 | .542 |
| 立石正広 | 38 | 127 | .192 | 2 | 10 | .461 |
| 小幡竜平 | 40 | 113 | .206 | 0 | 4 | .502 |
レギュラー格の髙寺はOPS.592、正捕手の坂本誠志郎は.606、前川は.660。控えの木浪(.508)、熊谷敬宥(.485)、元山飛優(.577)、小幡竜平(.502)らも、主力との差は歴然としている。CSでも6番から9番の打者は52打数で21三振、本塁打は0本だった。
5. 控え野手層の薄さ
もう一つの大きな課題が、控え野手の層の薄さだ。1〜5番が強力だったぶん、シーズンを通して打順はほぼ固定された。その結果、控えの選手を試す機会は限られ、主力に代わる選手が育たなかった。
象徴的なのが、近本の離脱だ。近本は今季、故障で143試合中90試合の出場にとどまったが、その間に外野の定位置をつかむ選手は現れなかった。CSで佐藤と森下が抜けた第2戦と第3戦も、代わりに起用された選手が流れを変えることはできなかった。第3戦では立石を1番に据えたが、4打数無安打3三振。代打陣も、第4戦の9回1死満塁で木浪が見逃し三振に倒れるなど、終盤に一打で試合を動かせる選手がいなかった。
主力に何かあったとき、その穴を埋める選手がいない。リーグ連覇のチームが短期決戦で崩れた背景には、この層の薄さがあった。
まとめ
- 阪神はDeNAに4連敗し、アドバンテージを含め1勝4敗でCSファイナル敗退
- 第1戦から第3戦まで3試合連続無得点、27イニング連続無得点はCS史上ワースト
- 佐藤輝明・森下翔太の欠場が響き、2人が戻った第4戦は14安打5得点
- 1番の近本は4試合で17打数無安打
- 主力5人のOPS.845に対し、それ以外の野手は.548。6番以降との差が大きすぎた
- 打順が固定されたぶん控えが育たず、主力の穴を埋める選手がいなかった
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出典
・NPB.jp 2026年10月14日 阪神vsDeNA 投打成績
・NPB.jp 2026年10月15日 阪神vsDeNA 投打成績
・NPB.jp 2026年10月16日 阪神vsDeNA 投打成績
・NPB.jp 2026年10月17日 阪神vsDeNA 投打成績
・NPB.jp 2026年度 阪神タイガース 個人打撃成績
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