秋季高校野球関東大会は10月27日に上毛新聞敷島球場で決勝が行われ、横浜(神奈川2位)が健大高崎(群馬1位)を10-6で破り、2年ぶり5回目の優勝を果たした。横浜は明治神宮大会に出場する。来春のセンバツに向けては、4強に入った横浜、健大高崎、慶応、帝京三の4校が当確となった。関東・東京の一般選考枠は6校で、関東から4校、東京から1校が選ばれ、残る1校を関東の5番手と東京の2番手で比べる。関東の枠は実質「4.5枠」だ。この記事では、決勝の流れと4強各校の戦いぶりを振り返り、最後の1枠の行方を考える。
2026年秋季関東大会 全試合結果
| 回戦 | 日付 | 勝利校 | スコア | 敗退校 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1回戦 | 10/17 | 霞ヶ浦 | 7-0 | 習志野 | 7回コールド |
| 1回戦 | 10/17 | 山梨学院 | 2-1 | 山村学園 | |
| 1回戦 | 10/17 | 慶応 | 2-1 | 佐野日大 | |
| 1回戦 | 10/18 | 横浜 | 12-2 | 西武台 | 6回コールド |
| 1回戦 | 10/18 | 樹徳 | 3-2 | 作新学院 | |
| 1回戦 | 10/18 | 帝京三 | 13-5 | 専大松戸 | 8回コールド |
| 1回戦 | 10/18 | 水城 | 2-1 | 桐生第一 | |
| 準々決勝 | 10/19 | 健大高崎 | 7-0 | 霞ヶ浦 | 8回コールド |
| 準々決勝 | 10/19 | 慶応 | 2-1 | 山梨学院 | 延長10回サヨナラ |
| 準々決勝 | 10/20 | 横浜 | 9-2 | 樹徳 | 7回コールド |
| 準々決勝 | 10/20 | 帝京三 | 3-1 | 水城 | |
| 準決勝 | 10/25 | 健大高崎 | 5-4 | 慶応 | 延長10回タイブレーク |
| 準決勝 | 10/25 | 横浜 | 2-0 | 帝京三 | |
| 決勝 | 10/27 | 横浜 | 10-6 | 健大高崎 |
健大高崎は群馬1位のシード校として準々決勝から登場した。横浜と帝京三はともに県2位からの4強入りとなった。準々決勝4試合のうち2試合がコールド、1試合が延長と、勝ち上がった4校と敗れた4校の差がはっきり分かれた大会でもあった。
決勝:横浜 10-6 健大高崎
| チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 健大高崎 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 6 | 10 | 1 |
| 横浜 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | 0 | 2 | X | 10 | 13 | 3 |
健大高崎は1回表、萩原雄大(2年)の左前適時打で先制した。しかしその裏、横浜は先発の左腕・則永大輔からアウトを1つも取らせずに攻め立てた。阿部龍之介(2年)と河内景虎(2年)の中前適時打などで3点を奪って逆転し、則永は降板した。
健大高崎は4回に岩井由来の適時打で1点を返し、5回には神崎翔斗(2年)の左中間本塁打で3-3の同点に追いついた。それでも横浜はその裏、脇山魁音(2年)の左中間3ランで再び突き放す。6回に失策も絡んで1点差に迫られたが、直後に元木瑛介の二塁打と川上慧(2年)の三塁打で2点を加えた。8回には田島陽翔(2年)の左中間三塁打で10点目を奪い、試合を決めた。
決勝の投手成績
| チーム | 投手 | 投球回 | 球数 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 失点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 横浜 | 小林鉄三郎 | 4 2/3 | 77 | 7 | 5 | 2 | 2 |
| 横浜 | 中嶋海人 | 2/3 | 27 | 1 | 1 | 3 | 3 |
| 横浜 | 福井那留 | 3 2/3 | 59 | 2 | 6 | 1 | 1 |
| 健大高崎 | 則永大輔 | 0 | 17 | 2 | 0 | 2 | 3 |
| 健大高崎 | 大橋叡刀 | 5 | 59 | 5 | 3 | 1 | 3 |
| 健大高崎 | 北田莉玖 | 3 | 53 | 6 | 1 | 2 | 4 |
両チーム2桁安打の乱打戦で、横浜は13安打で10点を奪った。田島は4打数3安打2打点、河内も4打数3安打と、上位から下位まで当たりが出た。健大高崎は3投手の継投で、準決勝まで投げてきたエースの石垣聡志(2年)はこの試合に登板していない。
優勝・横浜:投手戦もコールドも乱打戦も制した4勝
| 回戦 | 相手 | スコア | 試合の展開 | 主な投手 |
|---|---|---|---|---|
| 1回戦 | 西武台(埼玉1位) | 12-2 | 6回コールド | 福井 5回1失点9奪三振 |
| 準々決勝 | 樹徳(群馬2位) | 9-2 | 7回コールド | 小林 |
| 準決勝 | 帝京三(山梨2位) | 2-0 | 投手戦・1安打完封リレー | 福井 6回無失点→小林 3回無安打 |
| 決勝 | 健大高崎(群馬1位) | 10-6 | 乱打戦 | 小林→中嶋→福井 |
横浜の4試合は勝ち方がすべて違った。1回戦は埼玉1位の西武台を12-2の6回コールドで下し、準々決勝も群馬2位の樹徳に9-2の7回コールドで快勝した。準決勝の帝京三戦は一転して2-0の投手戦となり、2投手で1安打完封リレーを決めた。そして決勝は健大高崎との打ち合いを10-6で制している。
大量点で押し切る試合も、少ない点を守り切る試合も、打ち合いを競り勝つ試合もある。どの展開になっても勝ち切れるのが、この秋の横浜の強さだ。神奈川大会は決勝で慶応に敗れて2位だったように、チームはまだ完成された段階ではない。決勝でも3つの失策があった。それでも関東の頂点に立った今の時点で、冬を越えてさらに伸びる余地を多く残している。センバツでは優勝候補の一角に挙がるだろう。
福井那留と小林鉄三郎の2枚看板
投手陣の柱は2年生の2人だ。U-18日本代表にも選ばれたエース左腕の小林鉄三郎は、準決勝で3回を無安打に抑えた一方、決勝は先発して4回2/3で7安打を浴び、2失点で降板した。準々決勝の樹徳戦ではテンポのいい投球を見せていたが、大会を通して本来の力を出し切れたとは言い切れない。
その分、存在感を示したのが福井那留だ。1回戦の西武台戦では初回に先頭から6者連続三振を奪い、5回9奪三振1失点。準決勝の帝京三戦は先発で6回を1安打無失点に抑え、決勝でも6回途中から救援して3回2/3を2安打1失点、6奪三振で試合を締めた。小林が本調子でなくても、福井で試合を作れる。2人とも1年生のときから公式戦で投げてきた経験がある。連戦になる甲子園で、この2枚看板は大きな武器になる。
準優勝・健大高崎:夏の準優勝メンバーが残り、センバツでも優勝候補
健大高崎は準々決勝で霞ヶ浦(茨城2位)に7-0の8回コールド勝ちを収めた。エースの石垣聡志が8回を3安打無失点に抑える完封だった。準決勝の慶応戦は、延長10回タイブレークで1点を勝ち越された直後に、萩原雄大の2点適時打でサヨナラ勝ちしている。
決勝では敗れたが、石垣は登板しておらず、エースを温存した上での敗戦だ。今夏の甲子園で準優勝したチームから、甲子園を経験したメンバーも多く残っている。決勝の大量失点だけでチームの力を測るのは早い。全国の舞台での経験と石垣を中心にした投手陣を考えれば、センバツでも横浜と並ぶ優勝候補に挙がるはずだ。
4強・慶応:激戦ブロックを勝ち上がり、健大高崎と互角の戦い
慶応は秋の神奈川大会決勝で横浜を1点差で破って関東大会に出場した。関東大会では1回戦で佐野日大に2-1、準々決勝で山梨1位の山梨学院に延長10回2-1のサヨナラ勝ちと、接戦を2つ勝ち抜いた。準決勝は健大高崎に延長10回タイブレークの末4-5で逆転サヨナラ負けしたが、7回に3点を奪って逆転し、10回表にも勝ち越すなど、最後まで互角に渡り合った。
エース右腕の湯本琢心(2年)は、山梨学院戦で10回を1失点に抑える好投を見せた。打線には主軸の渡辺らが並び、準決勝では延末遵太(2年)のスクイズ、矢口翔大(2年)の2点適時打と、小技と長打の両方で得点を奪った。矢口は山梨学院戦でもサヨナラ打を放っている。
今の2年生は、慶応が2023年夏の甲子園で107年ぶりの優勝を果たしたのを見たあとに入学した世代だ。その影響もあって戦力は充実している。神奈川大会で横浜に勝ち、関東大会で健大高崎と互角に戦った実績は、センバツの優勝候補と言える内容だ。2023年夏以来の甲子園で、どこまで勝ち上がるか注目したい。
4強・帝京三:校名変更前に悲願の甲子園初出場へ
山梨2位の帝京三は、1回戦で専大松戸に13-5の8回コールド勝ち。準々決勝では茨城1位の水城を3-1で下した。4番の大町健琉(2年)が4回に先制の2ランを放ち、エースの本間湧大(2年)が1失点で完投している。
準決勝では横浜に0-2で敗れたが、ほかの3試合で2桁得点やコールド勝ちを重ねた横浜打線を2点に抑えた。打線は福井、小林の継投に1安打に封じられたものの、優勝校と最後まで競った内容は評価できる。4強入りで、春夏を通じて初めての甲子園出場が確定的となった。
帝京三は2027年4月から校名を「帝京大学青峰高等学校」に変える予定で、来春のセンバツは今の校名で甲子園に立つ最初で最後の機会になる。投打のバランスを見れば、初出場でも十分に勝ち上がれる力がある。
センバツ関東・東京の残り1枠は?山梨学院が有力
4強の4校が当確となったため、関東の5校目は準々決勝で敗れた4校の中から選ばれる。この1校が東京の2番手と比べられ、上回れば関東から5校、下回れば東京から2校となる。
| 学校 | 県順位 | 準々決勝の結果 | 勝った相手のその後 |
|---|---|---|---|
| 山梨学院 | 山梨1位 | 1-2 慶応(延長10回サヨナラ) | 慶応は4強、準決勝で健大高崎と延長 |
| 水城 | 茨城1位 | 1-3 帝京三 | 帝京三は4強 |
| 樹徳 | 群馬2位 | 2-9 横浜(7回コールド) | 横浜は優勝 |
| 霞ヶ浦 | 茨城2位 | 0-7 健大高崎(8回コールド) | 健大高崎は準優勝 |
試合内容では山梨学院がリード
準々決勝で敗れた4校のうち、もっとも内容が良かったのは山梨学院だ。慶応に延長10回の末1-2のサヨナラ負けで、主将の先発・渡部瑛太が9回1/3で12三振を奪う好投を見せた。10回表には1死満塁のチャンスを作ったが、併殺で勝ち越せなかった。
その慶応は準決勝で健大高崎と延長タイブレークの接戦を演じている。さらに慶応は神奈川大会の決勝で、関東大会を制した横浜にも勝っている。優勝校に勝った慶応と延長まで競った山梨学院は、5番手として高い評価を受ける可能性が高い。山梨1位という県大会の順位も、選考では有利な材料だ。
不安材料は「山梨から2校」の地域性
一方で、同じ山梨の帝京三がすでに4強で当確となっている。山梨学院が選ばれると、関東・東京の出場校のうち2校が山梨に集まる。選考では地域のバランスも考慮されるため、偏りを避けたいと判断されればマイナスに働く。
ここで比べられそうなのが、茨城1位の水城だ。準々決勝で帝京三に1-3の2点差で敗れており、内容も悪くない。茨城からは4強に1校も入っていないため、地域性を重く見れば水城が浮上する。樹徳と霞ヶ浦はいずれもコールド負けで、試合内容では山梨学院と水城に及ばない。
東京大会の決勝の内容にも左右される
最後の1枠は、関東の5番手と東京の2番手の比較で決まる。東京大会はまだ決勝が終わっていない。決勝が接戦になれば、東京の準優勝校の評価が上がり、東京から2校が選ばれる可能性が高まる。逆に大差の試合になれば、関東の5番手が有利になる。
山梨学院の内容は関東の5番手として十分に高いが、地域性と東京の決勝という2つの条件次第で結果は変わる。センバツの出場校は来年1月の選考委員会で決まる。
まとめ
- 秋季関東大会は横浜(神奈川2位)が決勝で健大高崎(群馬1位)を10-6で破り、2年ぶり5回目の優勝。明治神宮大会に出場する。
- 横浜はコールド勝ち2試合、2-0の投手戦、10-6の乱打戦と、さまざまな展開で勝ち切った。まだ伸びしろも残し、福井那留と小林鉄三郎の2枚看板でセンバツの優勝候補に挙がる。
- 健大高崎は決勝で敗れたが、エースの石垣聡志は登板せず。夏の甲子園準優勝メンバーも残り、センバツでも優勝候補だ。
- 慶応は神奈川大会決勝で横浜に勝ち、関東大会でも健大高崎と延長タイブレークで互角に戦った。湯本琢心、渡辺らタレントがそろう。
- 帝京三は4強入りで、校名変更前に春夏通じて初の甲子園出場が確定的。横浜にも0-2と接戦を演じた。
- 関東の5校目は、慶応に延長で敗れた山梨学院が有力。ただし山梨から2校となる地域性と、東京大会決勝の内容次第では水城や東京の2番手にも可能性がある。
出典
・2026年10月27日 横浜vs.健大高崎 試合出場成績|スポーツナビ
・2026年10月27日 横浜vs.健大高崎 テキスト速報|スポーツナビ
・横浜が2年ぶり優勝 2年前と同カード、健大高崎破る 秋季関東|毎日新聞
・健大高崎が7年ぶり神宮切符逃す…両チーム2ケタ安打の乱打戦は横浜に軍配【関東】|高校野球ドットコム
・秋季関東大会準決勝 横浜-帝京三|高校野球ドットコム
・健大高崎が延長10回サヨナラ勝利!慶応との死闘制して2年ぶりの決勝進出【関東】|高校野球ドットコム
・慶応が逆転サヨナラ負け…08年以来の決勝進出ならずも来春へ収穫【関東】|高校野球ドットコム
・慶応がサヨナラ勝ちでセンバツ当確!山梨学院と延長戦の死闘制す エース湯本が10回1失点快投|デイリースポーツ
・山梨学院 延長サヨナラ負け 12奪三振 主将・渡部の好投実らず|YBS山梨放送
・秋季関東大会準々決勝 帝京三-水城|高校野球ドットコム
・秋季関東大会1回戦 横浜-西武台|高校野球ドットコム
・秋季関東大会準々決勝 横浜-樹徳|高校野球ドットコム
・令和8年度 第79回 秋季関東地区高等学校野球大会 大会データ|高校野球ドットコム