DeNAの筒香嘉智(34)が、海外フリーエージェント(FA)権の行使を検討していることが10月28日に報じられた。筒香は2024年4月に米球界からDeNAへ復帰し、その際に結んだ3年契約が今季で最終年を迎えた。日本シリーズ第4戦でソフトバンクに敗れて今季の全日程を終えた後、筒香は「チャレンジしたいって思うようなことを選ぶと思います」と話している。球団は残留を要請する方針だ。この記事では、報道の内容を整理したうえで、20本塁打を放った今季の打撃成績を分析し、DeNA復帰後3年間の成績を振り返る。
筒香嘉智が海外FA権の行使を検討
スポーツ報知によると、筒香は昨年7月に海外FA権を取得しており、今季が3年契約の最終年だった。10月28日の日本シリーズ第4戦(みずほPayPayドーム)でDeNAはソフトバンクに2-4で敗れ、4連敗でシリーズを終えた。試合後に取材に応じた筒香は、来季以降の決め手について次のように語っている。
「僕の今までのキャリア、人生の中で、失敗を恐れず、チャレンジするということを常に選んできた。チャレンジしたいって思うようなことを選ぶと思います」(スポーツ報知)
中日スポーツによると、この発言の直後に球団広報が「チャレンジすると言うことは移籍するということではない」と本人に確認したと説明した。FA権を行使するかどうか、筒香は明言していない。
球団の木村洋太球団社長は「今年1年キャプテンシーを発揮してくれて、存在感の大きさを改めて感じた。残ってほしいというコミュニケーションを引き続きしていきたい」と話し、残留を願った(中日スポーツ)。報知は、球団が複数年契約をベースに残留を要請していると伝えている。同じ記事では、戸柱恭孝捕手も契約のオプトアウト条項を使ってFA権の行使を視野に入れていると報じられた。
筒香嘉智のプロフィール
筒香は1991年11月26日生まれ、和歌山県出身の右投げ左打ち。横浜高校から2009年のドラフト1位で横浜(現DeNA)に入団した。2014年に打率.300、22本塁打でレギュラーに定着し、2016年には44本塁打、110打点で本塁打と打点の二冠に輝いている。主将も務めたチームの顔として、2019年までの6年間で185本塁打を放った。
2019年オフにポスティングシステムでメジャーリーグのレイズに移籍し、その後はドジャースやパイレーツなどでプレーした。米国で4シーズンを過ごした後、2024年4月にDeNAへ復帰した。今季は相川亮二監督の下で、自身2度目の主将を務めている。
DeNA復帰後3年間の成績
| 年度 | 試合 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 三振率 | 四球率 | 本塁打1本あたり打席 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 57 | 168 | 28 | 7 | 23 | 16 | 51 | .188 | .274 | .409 | .683 | 30.4% | 9.5% | 24.0 |
| 2025年 | 75 | 257 | 51 | 20 | 43 | 33 | 59 | .228 | .327 | .549 | .876 | 23.0% | 12.8% | 12.8 |
| 2026年 | 99 | 398 | 88 | 20 | 49 | 55 | 103 | .260 | .364 | .484 | .848 | 25.9% | 13.8% | 19.9 |
| 復帰後3年計 | 231 | 823 | 167 | 47 | 115 | 104 | 213 | .235 | .334 | .489 | .823 | 25.9% | 12.6% | 17.5 |
| (参考)2014〜19年計 | 794 | 3328 | 846 | 185 | 542 | 463 | 666 | .298 | .397 | .559 | .956 | 20.0% | 13.9% | 18.0 |
三振率と四球率は打席に対する割合で、「本塁打1本あたり打席」は打席数を本塁打で割った値。比較のため、メジャー挑戦前の2014〜2019年の合計も載せた。
2024年:57試合で7本塁打、OPS.683
復帰1年目の2024年は、シーズン途中からの合流で57試合に出場した。打率.188、7本塁打、OPS.683にとどまり、三振率は30.4%と3年間で最も高かった。
2025年:75試合で20本塁打
2年目の2025年は75試合の出場ながら20本塁打を放った。本塁打1本あたりの打席は12.8で、44本塁打を記録した2016年(12.8)と並ぶペースだ。打率は.228と低かったが、長打率.549、OPS.876と長打力の復活を数字で示した。
2026年:99試合で2年連続20本塁打
3年目の今季は3年間で最も多い99試合、398打席に立ち、打率.260、20本塁打、49打点、OPS.848を記録した。2年連続の20本塁打で、打率と出塁率(.364)は復帰後で最も高い。
復帰後3年間の合計は231試合で打率.235、47本塁打、115打点、OPS.823。メジャー挑戦前の2014〜2019年と比べると、四球率(12.6%と13.9%)と本塁打1本あたりの打席(17.5と18.0)はほぼ同じ水準を保っている。一方で三振率は20.0%から25.9%に上がり、打率は.300前後から.230台に下がった。四球を選ぶ力と長打力は維持しつつ、確実性が落ちたというのが復帰後3年間の姿だ。
2026年シーズンの成績分析
今季の基本成績
99試合、398打席、339打数88安打、打率.260、20本塁打、49打点、55四球、103三振、出塁率.364、長打率.484、OPS.848。得点圏打率は.273で、27打点を得点圏で挙げている。
月別成績:5〜6月の不振から夏に復調
| 月 | 試合 | 打席 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3・4月 | 9 | 35 | 28 | 11 | 2 | 5 | 6 | 8 | .393 | .514 | .679 | 1.193 |
| 5月 | 13 | 55 | 46 | 5 | 1 | 4 | 8 | 15 | .109 | .236 | .196 | .432 |
| 6月 | 18 | 66 | 58 | 13 | 0 | 3 | 8 | 15 | .224 | .318 | .259 | .577 |
| 7月 | 16 | 62 | 52 | 15 | 4 | 14 | 9 | 19 | .288 | .387 | .615 | 1.002 |
| 8月 | 19 | 82 | 72 | 21 | 8 | 13 | 10 | 25 | .292 | .378 | .667 | 1.045 |
| 9・10月 | 24 | 98 | 83 | 23 | 5 | 10 | 14 | 21 | .277 | .388 | .494 | .882 |
筒香は開幕から3・4月の9試合でOPS1.193と好スタートを切った。しかし、時事通信によると4月19日に出場選手登録を外れており、相川監督は「上半身のコンディションが悪化した」と説明している。5月に一軍へ戻った後は、5月が打率.109、OPS.432、6月が打率.224、OPS.577と苦しんだ。3〜6月の4か月で本塁打は3本だけだった。
7月からは一変した。7〜9月の3か月で17本塁打を放ち、7月はOPS1.002、8月は8本塁打でOPS1.045を記録した。今季20本塁打のうち17本は7月以降に打ったもので、後半戦の打線をけん引した。7月以降のDeNA野手陣の成績は、DeNA借金完済の立役者は誰か――牧秀悟・筒香嘉智を中心に7月以降の野手成績を徹底分析でも詳しく分析している。
カウント別:初球は打率.541、2ストライク後は.124
カウント別に見ると、初球を打った打席は37打数20安打、打率.541、7本塁打と高い数字を残した。2ストライクになる前の打数に限ると、145打数64安打、打率.441、15本塁打になる。
一方、2ストライクに追い込まれてからは194打数24安打、打率.124、5本塁打にとどまった。103三振はすべて2ストライク後で、2-2は65打数6安打(打率.092)、フルカウントは59打数5安打(打率.085)だった。ただし、フルカウントからは33四球を選んでおり、追い込まれても簡単には打ち取られない粘りが高い出塁率につながっている。
対左右投手:左投手も苦にせず
右投手には226打数58安打、打率.257、15本塁打、左投手には113打数30安打、打率.265、5本塁打だった。左投手相手でも打率と出塁率(右投手.361、左投手.371)はほとんど変わらず、本塁打は右投手からの方が多い。左投手が相手でも起用できることは、来季以降の評価でも大きな材料になる。
対戦チーム・球場別
対戦チーム別では、中日戦が打率.305、5本塁打、OPS1.101と最も良かった。広島戦は打率.197だったが、6本塁打と本塁打数は最多。ヤクルト戦も打率.310、4本塁打と好相性だった。
球場別では、本拠地の横浜スタジアムが48試合で打率.249、9本塁打、OPS.810と、全体の成績をやや下回った。ビジターでは166打数45安打、打率.271、11本塁打と、本拠地以外の方が数字は良い。マツダスタジアムでは11試合で打率.143と苦戦した。
守備の課題:自己最多の8失策
今季の失策は8で、NPBでのシーズン自己最多となった。これまでの最多は2012年と2014年の7失策で、2015〜2019年は年間0〜3失策だった。34歳の来季以降、どのポジションで起用されるかも契約交渉の焦点になる。
日本シリーズでの一発
ポストシーズンでも存在感を示した。報知によると、筒香は10月25日の日本シリーズ第2戦で一時逆転となる3ランを放っている。DeNAは2年ぶりの日本一を目指したが、ソフトバンクに4連敗で敗れた。シリーズの経過はDeNA、史上初の3試合連続延長負けで3連敗の記事でもまとめている。
筒香嘉智の年度別成績(NPB)
| 年度 | 球団 | 試合 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2010年 | 横浜 | 3 | 10 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | .143 | .400 | .571 | .971 |
| 2011年 | 横浜 | 40 | 160 | 35 | 8 | 22 | 13 | 51 | .241 | .306 | .476 | .782 |
| 2012年 | DeNA | 108 | 446 | 84 | 10 | 45 | 51 | 102 | .218 | .309 | .352 | .661 |
| 2013年 | DeNA | 23 | 56 | 11 | 1 | 3 | 3 | 13 | .216 | .286 | .294 | .580 |
| 2014年 | DeNA | 114 | 461 | 123 | 22 | 77 | 47 | 100 | .300 | .373 | .529 | .902 |
| 2015年 | DeNA | 138 | 568 | 157 | 24 | 93 | 68 | 98 | .317 | .400 | .522 | .922 |
| 2016年 | DeNA | 133 | 561 | 151 | 44 | 110 | 87 | 105 | .322 | .430 | .680 | 1.110 |
| 2017年 | DeNA | 139 | 601 | 143 | 28 | 94 | 93 | 115 | .284 | .396 | .513 | .909 |
| 2018年 | DeNA | 139 | 580 | 146 | 38 | 89 | 80 | 107 | .295 | .393 | .596 | .989 |
| 2019年 | DeNA | 131 | 557 | 126 | 29 | 79 | 88 | 141 | .272 | .388 | .511 | .899 |
| 2024年 | DeNA | 57 | 168 | 28 | 7 | 23 | 16 | 51 | .188 | .274 | .409 | .683 |
| 2025年 | DeNA | 75 | 257 | 51 | 20 | 43 | 33 | 59 | .228 | .327 | .549 | .876 |
| 2026年 | DeNA | 99 | 398 | 88 | 20 | 49 | 55 | 103 | .260 | .364 | .484 | .848 |
| NPB通算 | 1199 | 4823 | 1144 | 252 | 728 | 636 | 1046 | .276 | .374 | .521 | .895 |
NPB通算は1199試合で1144安打、252本塁打、728打点、打率.276、OPS.895。
今後の焦点:残留か、新たな挑戦か
筒香の選択肢は、DeNAへの残留、FA宣言による国内他球団への移籍、そして再びの海外挑戦が考えられる。報知は「FA宣言すれば国内の他球団が関心を寄せる可能性は高そうだ」と伝えている。2年連続20本塁打の長打力と高い出塁率に加え、主将としての存在感は、どの球団にとっても魅力になる。
一方で、DeNAは木村社長が「残ってほしい」と明言し、複数年契約をベースに残留を要請している。「失敗を恐れず、チャレンジすることを選んできた」と語る筒香が、来季どの道を選ぶのか。FA権行使の判断に注目が集まる。
まとめ
- 筒香嘉智が海外FA権の行使を検討していると報じられた。2024年途中に結んだ3年契約は今季で満了し、DeNAは複数年契約をベースに残留を要請している。
- 今季は99試合で打率.260、20本塁打、OPS.848。4月に上半身のコンディション不良で登録を外れ、5〜6月は不振だったが、7月以降の3か月で17本塁打を放った。
- 初球打ちは打率.541と強く、2ストライク後は打率.124と課題が残った。左投手を苦にせず、四球も55個選んだ。
- DeNA復帰後3年間は231試合で47本塁打、OPS.823。全盛期と比べて三振率は上がったが、四球率と本塁打ペースはほぼ同じ水準を保っている。
出典
・【DeNA】筒香嘉智、海外FA権行使検討 戸柱恭孝もFA行使視野|スポーツ報知
・DeNA・筒香嘉智、3年契約満了で今後語る「チャレンジしたいと思うようなことを選ぶ」 球団広報は「移籍ではない」と即座に説明|中日スポーツ
・「残ってほしい」DeNA球団社長、3年契約満了の筒香嘉智の残留願う「存在感の大きさを改めて感じた」|中日スポーツ
・DeNA・筒香 FA言及「何かにチャレンジしたいと思うようなことを選ぶと思います」球団は残留要請へ|デイリースポーツ
・筒香が登録抹消へ=プロ野球・DeNA|時事通信
・筒香 嘉智(DeNA)成績|スポーツナビ