プロ野球

青学大バッテリー・鈴木泰成&渡部海がプロ志望届 4年連続ドラ1輩出、30年ぶりの投手・捕手W1位もあるか

青山学院大学の鈴木泰成投手と渡部海捕手が、9月14日にプロ志望届を提出したことが分かった。ともに今年のドラフト1位候補の筆頭格に挙げられる逸材で、もし2人がそろって、あるいはいずれか1人でも1位指名を受ければ、青山学院大は2023年から続く「ドラフト1位輩出」を4年連続で達成することになる。さらに、投手と捕手がともに1位指名されれば、同一大学からの"投手・捕手W1位指名"としては実に1996年以来30年ぶりの快挙となる。

しかも、その30年前の前例もまた青山学院大学自身が成し遂げたものだった。今回の話題は、単に「近年強い大学」というだけでなく、「30年周期で同じ快挙を繰り返す大学」という、より大きな歴史のスケールで語れるテーマでもある。ここでは青学の近年の実績を振り返りつつ、鈴木泰成・渡部海両選手のプロフィールと大学での成績を詳しく見ていきたい。

鈴木泰成・渡部海のプロフィール比較

まず両選手の基本プロフィールを一覧で比較しておこう。

項目 鈴木泰成 渡部海
ポジション 投手 捕手
投打 右投右打 右投右打
身長/体重 187cm/92kg 180cm/88kg
出身地 茨城県ひたちなか市 大阪府大阪市
出身高校 東海大菅生高 智弁和歌山高
学年 4年生 3年生
最速 154キロ ―
強み 速球+フォークの二本柱、支配力 強肩・リード力、勝負強さ

投手と捕手という異なるポジションながら、ともに高校時代から実績を積み、大学でもチームの中心として活躍してきた点は共通している。それでは、それぞれの選手について詳しく見ていこう。

青山学院大学、"ドラフト1位工場"としての近年の実績

まず、青山学院大学がここ数年でどれだけの1位指名選手を輩出してきたかを確認しておこう。

年度 選手名 指名球団 ポジション
2023年 常廣羽也斗 広島東洋カープ 投手
2023年 下村海翔 阪神タイガース 投手
2024年 佐々木泰 広島東洋カープ 投手
2024年 西川史礁 千葉ロッテマリーンズ 投手
2025年 中西聖輝 中日ドラゴンズ 投手
2025年 小田康一郎 横浜DeNAベイスターズ 野手

驚くべきは、2023年から2025年までの3年間、いずれも1年に2人ずつ、合計6人の1位指名選手を輩出している点だ。同一大学から3年連続で複数の1位指名選手を出すのは史上初の快挙とされている。今年、鈴木泰成・渡部海のいずれかが1位指名を受ければ、この記録は4年連続に更新されることになる。

2023年は、最速153キロを誇った常廣羽也斗が広島から、下村海翔が阪神から、いずれも投手として1位指名を受けた。青山学院大はこの年、実に33季ぶりとなるリーグ優勝を果たし、その原動力となったのがこの2投手を含む投手陣だった。翌2024年は佐々木泰(広島)・西川史礁(ロッテ)の投手2人が1位指名され、2025年には投手の中西聖輝が中日、野手の小田康一郎がDeNAから、それぞれ1位指名を受けている。中西聖輝は明治神宮野球大会決勝で17奪三振の完封勝利を挙げ、大学野球生活を有終の美で締めくくったことでも話題になった選手だ。

こうして見ると、青学の"1位輩出"は投手中心ではあるものの、年によって野手も含まれており、単純に「良い投手が偶然重なった」というだけでは説明しきれない、組織的な強さの積み重ねがあることがうかがえる。

鈴木泰成のプロフィール

鈴木泰成は2004年5月28日生まれ、茨城県ひたちなか市出身。東海大菅生高から青山学院大へ進学した右投右打の投手だ。身長187cm・体重92kg(2026年4月時点)という恵まれた体格を誇る。高校時代に右肘の手術歴があるとされ、この点はメディカルチェックの結果次第でドラフト評価に影響する可能性がある要素として指摘されている。

高校時代は東京都西部の強豪・東海大菅生高でプレーし、すでにその頃から将来を期待される存在だった。大学進学後は決して順風満帆だったわけではなく、右肘の手術歴を乗り越えながら4年間で徐々に頭角を現していったという意味で、鈴木もまた"苦労を経て開花したタイプ"の投手と言えるだろう。4年生である鈴木は、大学野球での実績を着実に積み上げ、2026年春季の東都大学リーグでは最優秀投手(MVP)に輝いた。本人は2026年4月の取材で「プロ一本」と明言し、ドラフト1位を目標に据えていることを公言している。高校時代に負った右肘の手術歴を乗り越え、大学4年間で着実に球速・スタミナともに向上させてきたことも、彼の評価を後押しする要素になっている。

東都大学野球連盟は、青山学院大・中央大・東洋大・亜細亜大・駒澤大などが所属する大学野球の名門リーグであり、この舞台で最優秀投手のタイトルを獲得したという実績自体が、すでに全国レベルの実力を証明していると言えるだろう。

鈴木泰成の成績分析

大学通算成績は41試合登板・12先発、投球回150.1回、防御率2.04、被安打97、奪三振135、与四球35、与死球14。被打率は.185(対右打者.180、対左打者.192)、WHIPは0.88という、支配力の高さを示す数字を残している。

2026年春季リーグでは、7試合すべてで先発を務め、いずれの試合でも7回以上を投げ切るという安定感を見せた。57.2回を投げて54奪三振、防御率1.87、被打率.196。1試合平均8回超という高い登板負荷を維持しながら、奪三振と制球を両立させている点は、プロでもすぐに先発ローテーションを担える計算力の証と言えるだろう。

配球面では、追跡された852球のうち直球が580球で、直球の空振り率は9.5%。フォーク系の球種は69球で空振り率20.3%を記録しており、決め球としての完成度も高い。フォークは落差の大きい変化球で、空振り率20%超という数字は、追い込んだ場面での"決め球"として十分に機能していることを示している。一方で、打者有利のカウントでは直球依存率が87.6%に達しているというデータもあり、この場面での球種の使い分けが今後さらに磨かれれば、より隙のない投手に進化できる可能性がある。

これらのデータをまとめると、鈴木の投球スタイルは「速球で押し込み、フォークで仕留める」というシンプルながら再現性の高いパターンに支えられていることが分かる。最速154キロの速球を軸に、複数の有効な球種を持つ本格派右腕として、現時点で2026年ドラフトの大学生右投手トップと位置づけられている。

渡部海のプロフィール

渡部海は大阪府大阪市出身、右投右打の捕手。身長180cm・体重88kg。智弁和歌山高から青山学院大へ進学した。高校では1年夏からベンチ入りし、1年秋にはサードを守っていたが、2年春から捕手に転向。その2年夏の甲子園では、実に21年ぶりとなる優勝捕手としてチームを頂点に導いている。

このとき、渡部とバッテリーを組んでいた投手が、他でもない中西聖輝――そう、2025年ドラフトで中日から1位指名を受けた、同じ青山学院大の先輩投手だ。高校時代に甲子園優勝を共に果たした名バッテリーが、大学でも同じチームに進み、片方はすでにNPB入りを果たし、もう片方が今、その後を追う形で1位候補に名を連ねている。この巡り合わせは、今年のドラフトを語る上で欠かせないエピソードと言えるだろう。

青山学院大では1年生の春から捕手としてベンチ入りし、以降チームをリーグ戦6連覇に導いてきた。ファンからは「優勝請負人」と呼ばれるほどの勝負強さと統率力を持つ正捕手だ。なお渡部は現在3年生であり、鈴木泰成(4年生)とは異なり、大学4年目を残して早期にプロ入りを目指す決断をしていることも付け加えておきたい。1年生から正捕手としてチームを支え続けてきた実績を考えれば、あえて4年目を待たずにプロ入りを決断したこと自体が、渡部自身の"仕上がり"への自信の表れとも見ることができる。

渡部の捕手観を形作ったのは、智弁和歌山時代の中谷仁監督(元NPB捕手)からの指導だ。「『打たれたらキャッチャーの責任』ということはずっと言われていて、その点は凄く厳しかった」と渡部は振り返る。さらに中谷監督からは「配球で100点はとれないけれど、リードでは100点はとれる」という言葉を授けられたという。渡部はこの教えについて、リードとは単純な球種選択(配球)とは異なり、「サインの出し方や構え方、ジェスチャー、目線など色んな要素が含まれている」ものだと理解し、短い時間で投手に意図を伝える技術を磨いてきたと語っている。

青山学院大では安藤監督の下、「やるべきことを徹底してやるという姿勢」を掲げるチーム作りの中心を担ってきた。少人数体制で全員が同じ目標に向かって取り組める環境が、渡部の"勝てる捕手"としての成長を後押ししてきたと言えるだろう。なお、史上初の7連覇が懸かった直近のシーズンでは惜しくも優勝を逃し、入学後初めてリーグ制覇を逃す結果となったが、それでも1年生から主戦捕手を務め続けてきたこと自体が、彼の実力と信頼の証と言えるだろう。

渡部海の成績分析

大学通算成績は70試合出場、打率.247、58安打、8本塁打、32打点。長距離砲としての数字はまだ発展途上だが、捕手としての評価は「攻守ともに光る正捕手」というのが定評だ。

守備面では、2塁への送球タイムのベストが1.85秒という数字を記録している。捕手の盗塁阻止能力を測る上で送球タイムは重要な指標の一つで、2.0秒を切れば十分に高いレベルとされる中、1.85秒という数字はトップクラスの強肩・スローイングの速さを示している。ある評論家は、渡部の守備力について「昨年ドラフト1位で西武に入団した捕手よりも長けたものを持つ」と評しており、守備面での評価の高さがうかがえる。

打撃面の打率.247という数字だけを見れば、全国トップクラスの野手と比較すると平凡に映るかもしれない。しかし、これはNPBでも共通する話だが、捕手というポジションは打撃成績だけで評価されるものではない。守備・リード・投手陣とのコミュニケーションといった、数字に表れにくい部分での貢献度こそが、正捕手としての本当の価値を決める。70試合で8本塁打・32打点という数字は、決して非力ではないパンチ力を示すデータでもあり、今後の伸び次第でさらに上積みが期待できる部分でもあるだろう。

実際、1年生から正捕手としてチームを支え続け、リーグ制覇に大きく貢献してきたという実績そのものが、彼の"勝負強さ"を何よりも物語っている。NPBのスカウトが捕手を評価する際、多くの場合真っ先に見るのは打撃力よりも守備力・リード力であることを踏まえれば、渡部の評価の高さは十分に納得できるものだ。

もし2人そろって1位指名なら―30年ぶりの快挙

今回最も注目したいのが、鈴木泰成(投手)・渡部海(捕手)がともに1位指名を受ける可能性だ。これが実現すれば、同一大学から投手と捕手がそろって1位指名されるのは、実に1996年以来30年ぶりの快挙となる。バッテリーを組む投手と捕手が同時に、しかも同じ大学から最上位指名を受けるというのは、NPBドラフト史においても極めて稀有なケースだ。

そして、この1996年の"前例"こそが、今回の話をさらに特別なものにしている。1996年のドラフト会議で投手・捕手のバッテリーそろって1位指名を受けたのは、澤崎俊和投手(広島1位)と清水将海捕手(千葉ロッテ1位)――他でもない、青山学院大学のバッテリーだったのだ。つまり、鈴木・渡部のバッテリーが1位指名を受ければ、30年前に同じ大学が成し遂げた快挙を、同じ青山学院大学が再現することになる。歴史が一巡りして同じ場所に戻ってくるかのような、運命的な巡り合わせと言えるだろう。

さらに、この2人が1位指名されれば、青山学院大は2023年からの「1年に複数の1位指名選手を輩出」という記録を4年連続に更新することになる。3年連続の時点で史上初とされていたこの快挙が、4年連続、しかも投手・捕手のダブル受賞という形でさらに歴史的な意味を持つことになるわけだ。

もちろん、ドラフトの指名順位は12球団それぞれの戦略や補強ポイントによって決まるものであり、現時点で2人の1位指名が確定しているわけではない。他球団の視察状況を見ても、DeNAが6人、阪神が4人のスカウトを派遣したと報じられるなど、複数球団が高い関心を寄せていることは間違いない。今後の交流戦や視察の動向次第で、指名順位の予想はさらに具体化していくだろう。

投手と捕手の"バッテリー"がそろって1位指名されるという事象がなぜこれほど稀なのかを考えると、そもそも大学生投手・大学生捕手の両方が同時に「1位級」と評価される年自体が少ないことに加え、同一大学から2人以上の1位候補が出るケース自体が稀有だからだ。青学の場合、2023年からの3年間で毎年投手2人という組み合わせが続いていたが、今年は投手(鈴木)と捕手(渡部)という異なるポジションの組み合わせになる点も、過去3年とは一味違う注目ポイントと言える。

各球団の動向―阪神はバッテリーそろって候補入り

指名予想の段階ではあるが、複数球団の動きも報じられている。阪神は鈴木泰成・渡部海の"バッテリーそろって"1位指名候補としてリストアップしていると報じられており、即戦力バッテリーでの一気の補強を狙っているとみられる。楽天は捕手陣の立て直しを課題としており、司令塔となれる渡部海に注目しているという見方がある。一方、巨人は右の本格派先発投手の補強を課題としており、鈴木泰成が本命候補の一人として挙がっているようだ。

ドラフト会議は10月22日に予定されている。複数球団が同じ選手を1位で指名した場合は抽籤(くじ引き)で交渉権が決まるため、鈴木・渡部のいずれか、あるいは両方に指名が競合する可能性も十分に考えられる。青学バッテリーがどの球団に進むのか、そして果たして2人そろって1位の座を掴めるのか、当日まで予想が入り乱れることになりそうだ。

なお、指名予想の傾向を見ると、両選手が"別々の球団"から1位指名を受ける可能性の方が、実際には高いように見える。阪神のように2人セットでの獲得を狙う球団がある一方、楽天は捕手、巨人は投手という具合に、それぞれ単独でのニーズに基づいて名前が挙がっているためだ。バッテリーがそろって同じ球団に進むのか、それぞれ別の球団でプロのキャリアをスタートさせるのか――高校時代からの名バッテリーの行く先も、今回のドラフトの見どころの一つになるだろう。

まとめ

鈴木泰成・渡部海の両選手は、それぞれ投手・捕手として異なるタイプの魅力を持つドラフト候補だ。鈴木は187cmの長身から最速154キロを投げ込み、大学通算WHIP0.88という支配力を誇る本格派右腕で、2026年春季には7試合すべてで7回以上を投げる安定感とともに東都リーグ最優秀投手のタイトルを獲得した。渡部は智弁和歌山時代からの"優勝請負人"としての勝負強さと、2塁送球1.85秒という強肩、そして中谷仁監督から受け継いだ"リードで100点を取る"という捕手哲学を兼ね備えた正捕手だ。

高校時代に甲子園優勝を共にした中西聖輝と渡部海のバッテリーが、大学でも同じチームに進み、片方が先にNPB入りし、もう片方がその後を追うという巡り合わせも含め、今年のドラフトは青山学院大にとって特別な意味を持つシーズンになりそうだ。2023年から続く1位輩出の記録が4年連続に伸びるのか、そして投手・捕手の同時1位という30年ぶりの快挙が実現するのか、10月22日のドラフト会議まで注目していきたい。

また、今回2人が同時に注目される背景には、青山学院大というチーム自体の強さの積み重ねがある。安藤監督の下での「やるべきことを徹底する」指導方針、そして中谷仁監督のような実績ある指導者を経て入学してくる高校球界のトップクラスの選手たちが集う環境――こうした要素が組み合わさることで、単発のスター選手輩出ではなく、毎年のように複数の1位候補を生み出す"仕組み"が青学には出来上がっているのかもしれない。

2023年の常廣羽也斗・下村海翔から始まった青学の1位ラッシュは、2024年の佐々木泰・西川史礁、2025年の中西聖輝・小田康一郎と続き、今年の鈴木泰成・渡部海でついに4年目を迎える。そして1996年の澤崎俊和・清水将海というさらに古い前例までさかのぼれば、青山学院大学という一つの大学が、30年という長い時間軸の中で繰り返し球界の宝を送り出し続けてきたことが分かる。

高校球界屈指の逸材が集まり、実績ある指導者のもとで鍛え上げられ、大学野球の頂点で結果を出してからNPBへ送り出される――この一連の"型"が青山学院大学には確立されているように見える。単年の当たり年というだけでは説明できないこの継続性こそが、今の青学野球部の強さの本質なのかもしれない。10月22日のドラフト会議で、この歴史的な記録がどのような結末を迎えるのか、スタジアム通信でも続報を追っていきたい。

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