広島の坂倉将吾捕手(28)が11月5日、今年7月に取得した国内FA権を行使すると表明し、マツダスタジアムで申請書類を提出した。スポーツ報知や日刊スポーツによると、地元・千葉に本拠地を置くロッテのほか、西武などが獲得調査を進めている。広島の捕手がFA宣言するのは初めてだ。
この記事では、本人の発言と補償の条件を整理したうえで、年度別成績と今季の守備位置別の出場から坂倉の現在地を確認し、ロッテと西武の野手事情から移籍した場合の起用を考える。
坂倉将吾がFA宣言 報道の内容
坂倉は取材に「10年間カープで、すごく感謝もある。自分で頑張ってきたものが、どのような評価をしてもらえるのか気になります」と話した。判断の基準を問われると「まだはっきりしない。心が動くか動かないか。カープでという思いになるのか、挑戦したい気持ちになるのか」と答えている。
注目したいのは、起用法への言葉だ。「ある程度ポジションが固まった中でプレーしたいなと思います」「一番は必要とされるところでやりたいな」と話しており、来季どこを守れるのかが、大きな判断材料になりそうだ。
広島は必要不可欠な戦力として、宣言後も残留交渉を続ける方針で、宣言残留も認めている。坂倉は鈴木清明球団本部長から「残ってほしい」と強く伝えられたことを明かし、「すごくうれしい言葉」と話した。一方のロッテは、スポーツニッポンによると、交渉解禁となる11日にも動き出す方針だ。
今後の日程 他球団との交渉は11月11日から
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 11月5日 | FA権行使を表明し申請書類を提出 |
| 11月9日 | FA権行使の申請期限 |
| 11月10日 | 「FA宣言選手」として公示 |
| 11月11日 | 他球団との交渉が可能に |
Bランクの補償 人的補償があるのは今オフが最後の見込み
坂倉は推定年俸1億4000万円で、補償が必要なBランクとみられている。Bランクは、外国人選手を除く球団内の年俸順位が4~10位の選手だ。初めてのFA移籍の場合、移籍先の球団は広島に対して次のいずれかの補償を行う。
- 人的補償+金銭:プロテクト28人から外れた選手1人に加え、旧年俸の40%(推定年俸1億4000万円なら5600万円)
- 金銭のみ:旧年俸の60%(同8400万円)
人的補償は2027年オフから撤廃される見込みで、今オフが最後になるとみられている。28歳の坂倉は、今オフから始まる35歳以上の補償免除の対象にはならない。
坂倉将吾の年度別成績 通算打率.273、自己最多の74打点
| 年度 | 試合 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 四球 | 三振 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2017 | 3 | 4 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | .250 | .250 | .250 | .500 |
| 2018 | 9 | 9 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | .125 | .222 | .250 | .472 |
| 2019 | 51 | 64 | 14 | 1 | 7 | 3 | 19 | .230 | .266 | .344 | .610 |
| 2020 | 81 | 228 | 60 | 3 | 26 | 17 | 36 | .287 | .346 | .411 | .757 |
| 2021 | 132 | 484 | 133 | 12 | 68 | 51 | 60 | .315 | .390 | .467 | .857 |
| 2022 | 143 | 599 | 155 | 16 | 68 | 46 | 81 | .288 | .352 | .421 | .773 |
| 2023 | 120 | 448 | 105 | 12 | 44 | 47 | 67 | .266 | .347 | .410 | .757 |
| 2024 | 121 | 462 | 119 | 12 | 44 | 31 | 80 | .279 | .328 | .412 | .740 |
| 2025 | 104 | 399 | 82 | 5 | 37 | 43 | 72 | .238 | .327 | .362 | .689 |
| 2026 | 140 | 576 | 127 | 15 | 74 | 62 | 117 | .251 | .335 | .390 | .725 |
| 通算 | 904 | 3273 | 797 | 76 | 371 | 301 | 533 | .273 | .345 | .410 | .755 |
※OPSは出塁率と長打率の合計。
坂倉は千葉県酒々井町の出身で、日大三高から2016年のドラフト4位で広島に入団した。2021年に打率.315を記録し、首位打者の鈴木誠也に次ぐリーグ2位に入ると、2022年は全143試合に出場した。通算成績は904試合で打率.273、76本塁打、371打点だ。
昨季は打率.238、5本塁打、OPS.689と落ち込んだが、今季は巻き返した。140試合に出場し、打率.251、15本塁打で、74打点は自己最多。62四球も自己最多で、出塁率.335を残した。121試合で4番を務め、得点圏打率.323はDeNAの牧秀悟、巨人の松本に次ぐリーグ3位だ。一方で、117三振も自己最多になっている。
捕手登録で一塁と三塁が中心 今季の守備位置
| 守備位置 | 出場 | 先発 | 失策 | 守備率 |
|---|---|---|---|---|
| 一塁 | 83 | 56 | 1 | .998 |
| 三塁 | 66 | 65 | 11 | .922 |
| 捕手 | 20 | 16 | 0 | 1.000 |
※先発はスポーツ報知の報道による。
登録は捕手だが、先発マスクは16試合だけで、最後は4月18日のDeNA戦だった。5月以降は一塁と三塁が主戦場となり、広島の捕手は持丸泰輝(99試合)と石原貴規(70試合)が担っている。坂倉の「ポジションを固めたい」という発言の背景には、こうした事情がある。
打撃を考えれば、一塁か三塁で固定する選択肢は十分に現実的だ。ただ、三塁は66試合で11失策、守備率.922と安定感を欠いた。守備位置によって評価が変わる可能性はある。
ロッテと西武の野手事情 坂倉はどこで使えるか
| 球団 | 順位 | 成績 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | 得点 | 本塁打 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ロッテ | パ5位 | 63勝77敗3分 | .236 | .295 | .361 | 492 | 131 |
| 西武 | パ2位 | 79勝60敗4分 | .244 | .302 | .364 | 503 | 109 |
| 広島 | セ4位 | 61勝78敗4分 | .223 | .288 | .322 | 431 | 91 |
獲得に動くとされる2球団は、どちらもパ・リーグだ。2027年からはセ・リーグでもDH制が導入されるため、広島に残っても打撃を生かす起用の幅は広がるが、パ・リーグの球団ならDHを含めた起用にすでに慣れている。
ロッテ 地元球団、一塁と三塁に打撃の上積み
| 選手 | 主な守備 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ソト | 一塁66 | 115 | .221 | 17 | 47 | .698 |
| 池田来翔 | 一塁66 | 86 | .222 | 0 | 1 | .539 |
| 安田尚憲 | 一塁32・三塁27 | 76 | .257 | 6 | 29 | .719 |
| 寺地隆成 | 三塁100 | 105 | .224 | 5 | 30 | .593 |
| 佐藤都志也 | 捕手128 | 132 | .225 | 18 | 57 | .710 |
| 松川虎生 | 捕手50 | 50 | .188 | 0 | 6 | .437 |
| 坂倉将吾(広島) | 一塁83・三塁66・捕手20 | 140 | .251 | 15 | 74 | .725 |
ロッテは今季パ・リーグ5位で、チーム打率.236と出塁率.295はいずれもリーグ最下位だった。スポーツニッポンは、一塁と三塁が固定できていないと指摘している。実際に、一塁は池田来翔とソトが66試合ずつ、安田尚憲が32試合を守り、三塁で100試合に出た寺地隆成はOPS.593だった。
坂倉のOPS.725は、ロッテの300打席以上の打者なら山口航輝、西川史礁に次ぐ3番目で、左打者では最も高い。捕手も佐藤都志也が128試合で出場しているが、2番手の松川虎生は打撃に課題を残している。地元・千葉の出身という点も含め、補強ポイントとの一致は大きい。
西武 チーム防御率1位、打線に左の強打者を
| 選手 | 主な守備 | 試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ネビン | 一塁83 | 103 | .265 | 21 | 48 | .825 |
| 平沢大河 | 一塁40・三塁29 | 91 | .250 | 3 | 19 | .664 |
| 渡部聖弥 | 三塁105 | 129 | .255 | 12 | 48 | .676 |
| 小島大河 | 捕手85 | 99 | .267 | 9 | 40 | .686 |
| 古賀悠斗 | 捕手78 | 91 | .266 | 4 | 27 | .724 |
| 坂倉将吾(広島) | 一塁83・三塁66・捕手20 | 140 | .251 | 15 | 74 | .725 |
西武は今季パ・リーグ2位で、チーム防御率2.87はリーグ1位。課題は打線で、チーム得点503は日本ハムの591に88点及ばず、ソフトバンクの707とは200点以上の差がある。ただ、一塁にはネビンがOPS.825で座り、捕手も小島大河と古賀悠斗が打撃面で結果を残している。入り込む余地があるとすれば、三塁かDHだろう。
坂倉のOPS.725は、西武の300打席以上の打者ならネビン、長谷川信哉に次ぐ3番目で、左打者では最も高い。小島(OPS.686)を上回る左の主軸候補として、打線の厚みを増すことはできそうだ。
流出すれば広島は4番を失う
広島は今季、チーム得点431とチーム打率.223がいずれもセ・リーグ最下位だった。坂倉の74打点はチームトップで、2位のモンテロ(42打点)に32点の差をつけた。チーム全体の406打点のうち18%を坂倉が挙げたことになる。300打席以上の打者ではOPSもチーム最高だ。
投手では森下暢仁が国内FA権の行使を表明し、床田寛樹も行使する見込みで、広島は主力3人の流出危機を迎えている。スポーツニッポンによると、3人とも国内の他球団へ移籍すれば史上初のケースになる。投手陣には東浜巨の獲得が報じられているが、4番打者の穴を埋める補強はまだ見えていない。
まとめ
- 広島・坂倉将吾が11月5日に国内FA権の行使を表明。広島の捕手のFA宣言は初めてで、11月11日から他球団と交渉が可能になる
- 地元・千葉のロッテのほか、西武などが獲得調査と報じられ、広島は宣言残留を認めて交渉を続ける
- Bランクとみられ、移籍先は人的補償+5600万円、または8400万円の補償が必要になる
- 今季は打率.251、15本塁打、自己最多の74打点。121試合で4番を務めた
- 先発マスクは16試合で、一塁と三塁が中心。「ある程度ポジションが固まった中で」という希望がカギを握る
- ロッテ、西武ともに、坂倉のOPSは300打席以上の打者で3番目、左打者で最も高い水準だった
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出典
・【広島】国内FA権行使の坂倉将吾、判断基準は「心が動くか動かないか」|スポーツ報知
・【広島】坂倉将吾がFA権行使を決断、球団捕手では初のFA宣言|日刊スポーツ
・ロッテ FA権行使表明の広島・坂倉将吾に即日アタックへ|スポーツニッポン
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・【プロ野球】FAの人的補償とは?ランク条件はなに?|TEAMS ONE
・坂倉将吾 個人年度別成績|NPB.jp
・NPB.jp 2026年度 広島東洋カープ 個人打撃成績
・NPB.jp 2026年度 千葉ロッテマリーンズ 個人打撃成績
・NPB.jp 2026年度 埼玉西武ライオンズ 個人打撃成績
・NPB.jp 2026年度 広島東洋カープ 個人守備成績