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巨人が森下暢仁の獲得調査へ|通算60勝右腕の年度別成績と2026年の投球を徹底分析【広島】

巨人が、広島・森下暢仁投手(29)の獲得調査に乗り出すことが分かった。スポーツニッポンが10月12日に報じたもので、森下が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使した場合に備え、獲得に向けた調査を進めるという。来季、3年ぶりのリーグ優勝を目指す巨人にとって、先発投手の補強は最大のテーマのひとつだ。

森下はプロ1年目の2020年に10勝を挙げて新人王に輝き、7年間で通算60勝を積み上げてきた広島の先発の柱だ。この記事では、森下の年度別成績と通算成績を振り返ったうえで、今季2026年の成績を登板別、月別、対戦球団別に分析し、巨人が獲得を目指す理由と課題を整理する。

巨人が森下暢仁の獲得調査へ

報道によると、巨人は森下が国内FA権を行使した場合、獲得調査に乗り出す方針だという。狙いは先発陣の層を厚くすることにある。

今季の巨人の先発陣は、ドラフト1位ルーキーの左腕・竹丸和幸がチームトップの11勝、井上温大が10勝を挙げ、左腕2人が台頭した。6月に加入した小笠原も5勝をマークしている。一方で、エースの戸郷翔征は不振と左太もも裏の肉離れによる離脱で5勝にとどまり、開幕投手の最有力候補だった山﨑伊織も右肩のコンディション不良でシーズンを通して万全とはいかず、1勝に終わった。さらに、ウィットリー(3勝)、ハワード(3勝)、マタ(2勝)の外国人投手もそろって故障で途中離脱している。

長いシーズンを戦い抜くには、計算できる先発投手が何人いても足りない。毎年のように規定投球回前後を投げてきた右腕は、巨人にとってまさに求めている人材といえる。

もっとも、森下本人はシーズン終了後に「シーズンが終わったばかりなので、これからじっくり考えたい」と話しており、FA権を行使するかどうかはまだ決まっていない。今季は同じ広島の床田寛樹、坂倉将吾も国内FA権を取得しており、3人とも熟考の構えを見せている。森下が権利を行使すれば、複数球団による争奪戦になる可能性もある。

森下暢仁のプロフィール

  • 生年月日:1997年8月25日(29歳)
  • 経歴:大分商高-明治大-広島(2020年~)
  • 投打:右投右打
  • ドラフト:2019年ドラフト1位(広島)
  • 主な実績:新人王(2020年)、東京五輪金メダル(2021年)
  • 通算成績(7年):157登板 60勝59敗 防御率2.84

森下は明治大から2019年のドラフト1位で広島に入団した。2021年の東京五輪では侍ジャパンのメンバーに選ばれ、決勝の米国戦に先発して5回無失点。金メダル獲得に大きく貢献した。大舞台での経験が豊富なことも、森下の大きな武器だ。

年度別成績と通算成績

まずは森下のプロ入りからの年度別成績を見ていく。

年度登板勝敗完投完封投球回被安打被本塁打奪三振与四球防御率WHIP
20201810321122 2/31026124321.911.09
2021248711163 1/314416132522.981.20
20222710832178 2/319513133443.171.34
2023209631131 2/31271094363.011.24
202423101021151 2/3137698292.551.09
20252261430152 1/3140692372.481.16
20262371121137 2/312115112513.601.25
通算15760591671038966727852812.841.20

1年目の2020年は、新型コロナウイルスの影響で120試合制となったシーズンで18試合に登板し、10勝3敗、防御率1.91。規定投球回にも到達し、新人王を獲得した。2年目の2021年は8勝にとどまったものの、163回1/3を投げて防御率2.98。3年目の2022年にはキャリア最多の178回2/3を投げ、2度目の2ケタ勝利となる10勝をマークした。

2023年は規定投球回に届かなかったが9勝を挙げ、2024年には151回2/3を投げて10勝10敗、防御率2.55と安定感を取り戻した。2025年は防御率2.48と自己2番目の好成績を残しながら、6勝14敗と大きく負け越している。投球内容に対して勝ち星が伸びないシーズンが続いていることは、森下の成績を語るうえで欠かせないポイントだ。

7年間の通算成績は157試合で60勝59敗、防御率2.84。規定投球回に到達したのは5度(2020、21、22、24、25年)で、2ケタ勝利は3度(20、22、24年)。7年間で防御率が3点台だったのは2022、23、26年の3度だけで、毎年のように一定以上の投球回と防御率を計算できる投手であることが数字からも分かる。

直近4年間(2023~2026年)を合計すると、森下は88試合に登板して32勝41敗、573回1/3を投げて防御率2.89。防御率は2点台を保ちながら、勝敗は9つの負け越しとなっている。1年あたりに換算すると、およそ22試合に登板して143イニングを投げてきた計算で、ローテーションの一角として毎年しっかりと仕事を果たしてきたことが分かる。

投球指標の推移

続いて、奪三振率、与四球率、被本塁打率(いずれも9イニングあたり)とK/BB(奪三振÷与四球)の推移を見ていく。

年度奪三振率与四球率被本塁打率K/BB
20209.102.350.443.88
20217.272.870.882.54
20226.702.220.653.02
20236.432.460.682.61
20245.821.720.363.38
20255.442.190.352.49
20267.323.330.982.20
通算6.812.440.622.79

森下はもともと、四球が少なく本塁打を打たれにくい投手だった。2024年と2025年は与四球率が1点台~2点台前半、被本塁打率は0.35~0.36と、走者をためずに長打も許さない投球で好成績を残している。一方で、奪三振率は2020年の9.10から年々下がり、2025年には5.44まで落ちていた。三振で打ち取るタイプから、打たせて取るタイプへと投球スタイルが変化していたことがうかがえる。

ところが今季は、この傾向が大きく変わった。奪三振率は7.32と2020年以来の高い数字に戻った一方で、与四球率は3.33、被本塁打率は0.98と、いずれもキャリアワーストを記録している。三振を奪える力が戻った代わりに、四球と本塁打が増えたシーズンだったといえる。

2026年の成績を分析

今季の森下は23試合に登板し、7勝11敗、防御率3.60。投球回は137回2/3で、規定投球回には届かなかった。プロ入り後では最も悪い防御率で、数字だけを見れば物足りないシーズンに映る。しかし、登板ごとの内容を見ていくと、違った姿が見えてくる。

登板別成績

日付相手勝敗投球回被安打奪三振与四球自責点チーム得点
3/31ヤクルト敗435123
4/7巨人勝6 1/364325
4/14中日敗473142
4/21ヤクルト勝743212
4/29巨人敗463042
5/8ヤクルト敗585121
5/16阪神敗554231
5/23中日勝677135
5/30ソフトバンク-558522
6/6オリックス勝7 1/385347
6/13楽天勝927102
6/20ヤクルト-443248
7/2DeNA-674433
7/10中日敗566551
8/7DeNA敗757121
8/14阪神勝855216
8/21巨人敗866210
8/28ヤクルト敗653431
9/4巨人敗642321
9/11DeNA-746101
9/18阪神敗748421
9/24巨人勝656113
10/3阪神-552246

後半戦は防御率1点台の安定感

月登板勝敗投球回防御率WHIP奪三振与四球被本塁打
3月10勝1敗44.501.00511
4月42勝2敗21 1/34.641.361360
5月41勝2敗214.291.622493
6月32勝0敗20 1/33.540.981563
7月20勝1敗116.552.001094
8月41勝3敗292.171.032191
9月41勝2敗261.731.002291
10月10勝0敗57.201.40222

月別に見ると、今季の森下はシーズン序盤に苦しんだ。3月から5月までの9試合は3勝5敗で、防御率は4点台。4月14日の中日戦と4月29日の巨人戦はいずれも4回4失点で降板し、5月はWHIPが1.62と走者を背負う場面が目立った。7月も2試合で4本塁打を浴び、防御率6.55と調子を崩している。7月10日の中日戦を最後に、次の登板は8月7日まで約1か月空いた。

しかし、8月以降の森下は別人のような投球を見せた。8月と9月の8試合で投げた55回の自責点はわずか12で、防御率は1.96。8試合すべてで6回以上を投げ、3自責点以内に抑えている。8月14日の阪神戦では8回1失点、8月21日の巨人戦でも8回1自責点と、試合終盤までマウンドを守る投球が続いた。

今季の23試合のうち、6回以上を投げて自責点3以内に抑えたクオリティ・スタート(QS)は13試合。シーズン全体の防御率は3.60だが、試合をつくる能力は依然として高い水準にある。

イニングを稼げる先発

森下の持ち味のひとつが、1試合で長いイニングを投げられることだ。今季の23試合の投球回を合計すると137回2/3で、1試合平均ではほぼ6イニング。7回以上を投げた試合は8試合あり、6月13日の楽天戦では9回2安打無失点の完封勝利を挙げた。100球以上を投げた試合も14試合を数え、8月21日の巨人戦では125球を投じて8回を投げ抜いている。

先発投手が長いイニングを投げれば、それだけリリーフ陣の負担は軽くなる。シーズンを通してローテーションを守り、毎試合6回前後を計算できる先発は、どのチームにとっても欠かせない存在だ。今季は前半戦に4回で降板する試合が4度あったものの、後半戦は8月以降のすべての登板で5回以上、8月と9月に限れば6回以上を投げており、イニングイーターとしての役割を十分に果たしている。

援護に恵まれず7勝11敗

森下が今季7勝11敗と負け越した最大の理由は、打線の援護に恵まれなかったことにある。森下が登板した23試合で、広島打線が挙げた得点は合計64点。1試合平均では2.78点で、広島のシーズン全体の1試合平均(3.01点)を下回った。23試合中14試合はチームの得点が2点以下だった。

特に、11敗のうち8試合はチームの得点が1点以下。8月7日のDeNA戦は7回2失点、8月21日の巨人戦は8回1自責点、9月18日の阪神戦は7回2失点と好投しながら、いずれも黒星がついた。8月と9月に防御率1点台を記録しながら2勝5敗に終わったのも、こうした援護の少なさが大きく影響している。昨季の6勝14敗に続き、今季も勝ち星と投球内容が釣り合わないシーズンとなった。

昨季と今季の2年間を合わせると、森下は290回を投げて防御率3.01という成績を残しながら、勝敗は13勝25敗と大きく負け越している。投手個人の力だけではどうにもならない部分が、勝敗の数字には表れている。移籍によって打線の援護が増えれば、勝ち星が大きく伸びる可能性は十分にある。

与四球と被本塁打の増加は課題

一方で、援護の少なさだけでは説明できない課題もある。今季の与四球51は2021年の52に次ぐ多さで、被本塁打15も2021年の16本に次ぐ多さだった。投球回あたりで見ると、どちらもキャリアワーストの水準だ。昨季はわずか6本だった被本塁打が、今季は2倍以上に増えている。

月別に見ると、被本塁打は5月から7月にかけての9試合で10本と集中しており、特に7月は2試合で4本を浴びた。後半戦は8月、9月ともに被本塁打1本と立て直したが、シーズン最終登板となった10月3日の阪神戦では再び2本塁打を許している。奪三振が増えたことで、ストライクゾーンで勝負する場面が増え、甘く入った球を長打にされるケースもあったとみられる。移籍先で再び先発の柱として期待されるのであれば、四球と本塁打をどこまで減らせるかが、来季以降のポイントになる。

対戦球団別成績―巨人戦は防御率2.97

相手登板勝敗投球回防御率WHIP奪三振与四球被本塁打
巨人52勝3敗30 1/32.971.192191
阪神41勝2敗253.601.1619103
DeNA30勝1敗202.251.101763
ヤクルト51勝3敗264.151.3119103
中日31勝2敗157.201.801673
ソフトバンク10勝0敗53.602.00851
オリックス11勝0敗7 1/34.911.50531
楽天11勝0敗90.000.33710

対戦球団別では、今季の森下はヤクルトと並んで巨人と最も多い5試合で対戦し、2勝3敗、防御率2.97だった。30回1/3を投げて被本塁打はわずか1本。4月29日の対戦では4回4失点と打ち込まれたが、それ以外の4試合はいずれも6回以上を投げ、自責点2以内にまとめている。巨人にとっては、何度も苦しめられてきた相手を味方に加えることにもなる。

一方、中日戦は3試合で防御率7.20と苦戦した。ヤクルト戦も5試合で1勝3敗、防御率4.15と相性はよくなかった。交流戦では6月13日の楽天戦で9回2安打無失点の完封勝利を挙げている。

巨人の先発陣と比べると

ここで、今季の巨人の主な先発投手の成績を確認しておく。

投手登板勝敗投球回防御率WHIP
井上温大2310勝8敗1472.020.98
竹丸和幸2211勝9敗126 2/33.271.27
ウィットリー143勝4敗81 2/32.311.03
戸郷翔征145勝3敗802.481.03
田中将大134勝4敗68 1/33.421.42
小笠原慎之介115勝4敗66 1/32.310.98
西舘勇陽142勝4敗573.001.26
ハワード73勝3敗37 1/31.931.15
山﨑伊織61勝1敗33 1/34.591.47

今季の巨人で100イニング以上を投げたのは、井上(147回)と竹丸(126回2/3)の2人だけだった。ウィットリーや戸郷、小笠原らは防御率2点台と内容は悪くなかったものの、故障や途中加入の影響でいずれも80イニング前後にとどまっている。開幕投手の有力候補だった山﨑は、6試合の登板で1勝1敗、防御率4.59に終わった。

森下の今季の137回2/3は、巨人の投手陣に当てはめれば井上に次ぐチーム2位の数字になる。シーズンを通してローテーションを回り続けられる投手が少なかったことこそ、今季の巨人の先発陣が抱えた最大の課題だった。森下が加われば、井上、竹丸の左腕2人に実績のある右腕が加わり、戸郷や山﨑が本来の調子を取り戻せば、リーグ屈指の先発陣を形成できる可能性もある。

なお、デイリースポーツによれば、巨人は同じく今季国内FA権を取得した広島の床田寛樹、今季パ・リーグ最多勝のオリックス・エスピノーザについても調査を進めているという。先発投手の補強に向けて、複数の候補を並行して調べている状況だ。

巨人が森下を求める理由

巨人が森下に注目する最大の理由は、計算できる先発投手としての安定感にある。7年間で規定投球回到達が5度、通算防御率は2.84。今季は苦しんだ時期もあったが、8月以降は防御率1点台と、シーズン終盤にしっかりと調子を上げてきた。規定投球回前後のイニングを毎年のように投げてきた実績は、故障者が相次いだ今季の巨人の先発陣にとって大きな魅力だ。

また、巨人の先発陣は今季、竹丸、井上と若い左腕が中心となって勝ち星を積み上げた。右の先発で実績のある戸郷と山﨑が不本意なシーズンに終わったことを考えれば、29歳と脂の乗った時期を迎える右腕の森下は、ローテーションのバランスという点でも補強のポイントに合致する。

さらに、東京五輪の決勝で先発を任された経験は、優勝争いやポストシーズンといった重圧のかかる場面でも生きるはずだ。セ・リーグで7年間戦ってきたことで、リーグの打者の特徴を熟知している点もプラスに働く。

獲得に向けた課題

ただし、獲得までの道のりは簡単ではない。まず、森下本人がFA権を行使するかどうかが決まっていない。広島は森下にとってプロ入りから7年間過ごした球団で、残留の可能性も十分にある。

また、権利を行使した場合には、他球団との争奪戦になることが予想される。実績十分の29歳の先発右腕となれば、先発投手の補強を目指す球団は少なくないはずだ。巨人は床田やエスピノーザの調査も進めているとされ、どの投手にどれだけの条件を提示するかも注目される。

森下自身にとっても、今季増えた与四球と被本塁打をどう改善していくかは来季に向けた課題だ。本塁打が出やすいとされる東京ドームを本拠地とする場合、被本塁打の多さはより大きなリスクになり得る。

まとめ

巨人が獲得調査に乗り出した森下暢仁は、通算60勝、防御率2.84を誇る広島の先発の柱だ。今季は7勝11敗、防御率3.60と数字の上では苦しんだが、8月以降は防御率1点台と本来の投球を取り戻し、負けが先行した背景には打線の援護の少なさがあった。一方で、与四球と被本塁打が投球回あたりでキャリアワーストの水準に増えたことは、来季に向けた課題として残る。

森下がFA権を行使するのか、それとも広島に残留するのか。権利を行使した場合、巨人をはじめとする各球団がどのような条件を提示するのか。今オフのFA市場の大きな焦点のひとつになりそうだ。

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