広島の森下暢仁投手(29)が、今季取得した国内FA権を行使する方針を固めたと、11月4日にスポーツニッポンや日刊スポーツなどが報じた。4日に球団へ申請書類を提出し、正式に表明する見通しだ。巨人、ソフトバンク、DeNAなどが獲得調査を進めているとされ、今オフのFA市場で最大の目玉になるとみられている。
この記事では、広島が提示した条件、今後の日程、人的補償のルールを整理したうえで、年度別成績と3球団の先発事情から、森下の加入がそれぞれのチームに何をもたらすのかを分析する。今季の登板別・月別の詳しい成績は、巨人が森下暢仁の獲得調査へ|通算60勝右腕の年度別成績と2026年の投球を徹底分析で確認できる。
森下暢仁がFA権行使へ 報道の内容
スポーツニッポンによると、森下がFA権を行使する意向を固めたことが3日に分かった。広島は一貫して残留を求めており、推定年俸2億円からの増額と4年契約を提示しているもようだ。もっとも、代理人を立てた交渉のため、話し合いの中身はほとんど表に出ていない。
日刊スポーツは、7年間プレーした広島への愛着もあり、本人が悩み抜いたと伝えている。2日にマツダスタジアムで自主トレを行った際には「簡単に決められるものではない」と話していた。
注意したいのは、FA権の行使がそのまま移籍を意味するわけではないことだ。かつての広島は宣言後の残留を認めない時期があったが、今オフは森下らの宣言残留を認めている。鈴木清明球団本部長は10月に「宣言をしたとしても残ればいい」と話しており、森下は他球団の評価を聞きながら、広島とも交渉を続けることができる。将来的なメジャー挑戦の希望も伝えられており、契約年数も判断材料の一つになりそうだ。
今後の日程 他球団との交渉は11月11日から
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 11月3日 | FA権行使の方針が判明 |
| 11月4日 | 球団へ申請書類を提出する見通し |
| 11月9日 | FA権行使の申請期限 |
| 11月10日 | 「FA宣言選手」として公示 |
| 11月11日 | 他球団との交渉が可能に |
中国新聞によると、10日に「FA宣言選手」として公示され、11日から他球団との交渉が可能になる。同じく国内FA権を持つ床田寛樹、坂倉将吾に先駆けての決断となる。
Aランクの補償 人的補償があるのは今オフが最後の見込み
森下は推定年俸2億円で、補償が必要なAランクとみられている。Aランクは、外国人選手を除く球団内の年俸順位が1~3位の選手だ。初めてのFA移籍の場合、移籍先の球団は広島に対して次のいずれかの補償を行う。広島がどちらかを選ぶ形になる。
- 人的補償+金銭:プロテクト28人から外れた選手1人に加え、旧年俸の50%(推定年俸2億円なら約1億円)
- 金銭のみ:旧年俸の80%(同約1億6000万円)
人的補償をめぐっては、NPBと日本プロ野球選手会が10月30日に撤廃で合意したと伝えられている。ただし、撤廃されるのは2027年オフからで、今オフは現行の仕組みが残る。今オフから補償が免除されるのは、翌年4月1日時点で35歳以上の選手だけで、29歳の森下は対象外だ。獲得する球団はプロテクトリストを組む必要があり、資金面だけでなく、若手を含む戦力の流出リスクも負うことになる。
森下暢仁の年度別成績 7年間で規定投球回到達5度
| 年度 | 登板 | 勝 | 敗 | 投球回 | 防御率 | 奪三振 | 与四球 | 被本塁打 | 規定到達 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 | 18 | 10 | 3 | 122 2/3 | 1.91 | 124 | 32 | 6 | ○ |
| 2021 | 24 | 8 | 7 | 163 1/3 | 2.98 | 132 | 52 | 16 | ○ |
| 2022 | 27 | 10 | 8 | 178 2/3 | 3.17 | 133 | 44 | 13 | ○ |
| 2023 | 20 | 9 | 6 | 131 2/3 | 3.01 | 94 | 36 | 10 | |
| 2024 | 23 | 10 | 10 | 151 2/3 | 2.55 | 98 | 29 | 6 | ○ |
| 2025 | 22 | 6 | 14 | 152 1/3 | 2.48 | 92 | 37 | 6 | ○ |
| 2026 | 23 | 7 | 11 | 137 2/3 | 3.60 | 112 | 51 | 15 | |
| 通算 | 157 | 60 | 59 | 1038 | 2.84 | 785 | 281 | 72 | 5度 |
森下の最大の魅力は、毎年安定してイニングを投げてきたことだ。1年目から7年連続で120回以上を投げ、規定投球回に5度到達。150回以上も4度記録している。通算防御率は2.84で、2020年の新人王、2021年の東京五輪金メダル、2022年のゴールデングラブ賞と実績も十分だ。2025年には初の開幕投手も務めた。
一方で、通算成績は60勝59敗と勝敗はほぼ五分だ。昨季は防御率2.48で6勝14敗、今季は防御率3.60で7勝11敗。この2年間の防御率は3.01ながら、13勝25敗と大きく負け越している。日刊スポーツによると、昨季は22試合で19度のクオリティスタート(QS、6回以上を自責点3以内)を記録した。投球内容と勝ち星が釣り合っていないのは、数字からも明らかだ。
今季は前半に苦しんだものの、8月と9月の8試合は55回で自責点12、防御率1.96と立て直した。10月の最終登板を含めても、8月以降の防御率は2.40だ。ただし、昨季6本だった被本塁打が今季は15本に増え、与四球も37から51に増えた。この点は、獲得を検討する球団にとって確認したい材料だろう。
3球団の先発事情 森下はどこでも先発2番手級
| 球団 | 順位 | 成績 | チーム防御率 | 得点 | 1試合平均得点 | 規定投球回到達 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 巨人 | セ2位 | 76勝64敗3分 | 2.80 | 486 | 3.40 | 井上温大 |
| DeNA | セ3位 | 71勝69敗3分 | 3.27 | 557 | 3.90 | 東克樹 |
| ソフトバンク | パ1位 | 91勝49敗3分 | 2.88 | 707 | 4.94 | 大津亮介 |
| 広島 | セ4位 | 61勝78敗4分 | 3.39 | 431 | 3.01 | 床田寛樹 |
まず目を引くのは、4球団とも規定投球回に到達した投手が1人しかいないことだ。森下の今季137回2/3は規定投球回の143回に届かなかったが、巨人、DeNA、ソフトバンクのどの球団に当てはめても、投球回はチーム2番手にあたる。昨季の152回1/3なら、巨人とソフトバンクではチームトップの数字だ。
広島の得点はリーグ最少の431で、1試合平均は3.01点。森下の登板試合に限ると、さらに少ない2.78点だった。3球団はいずれも広島より得点が多く、移籍すれば援護の面では上積みが期待できる。
巨人 右の先発に実績を加えたい
| 投手 | 登板 | 勝 | 敗 | 投球回 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 井上温大 | 23 | 10 | 8 | 147 | 2.02 |
| 竹丸和幸 | 22 | 11 | 9 | 126 2/3 | 3.27 |
| ウィットリー | 14 | 3 | 4 | 81 2/3 | 2.31 |
| 戸郷翔征 | 14 | 5 | 3 | 80 | 2.48 |
| 田中将大 | 13 | 4 | 4 | 68 1/3 | 3.42 |
| 小笠原慎之介 | 11 | 5 | 4 | 66 1/3 | 2.31 |
| 森下暢仁(広島) | 23 | 7 | 11 | 137 2/3 | 3.60 |
巨人はセ・リーグ2位で、チーム防御率2.80はリーグ2位。ただ、100回以上を投げたのは井上温大と竹丸和幸の左腕2人だけだった。エースの戸郷翔征は14試合で80回にとどまり、山﨑伊織は6試合で1勝1敗、防御率4.59に終わった。右の先発の柱が欠けたシーズンだったことを考えると、29歳の右腕である森下は補強ポイントに合う。
今季の森下は巨人戦に5試合登板し、2勝3敗、防御率2.97、被本塁打1本。相性は悪くない。ただし、巨人は床田寛樹やエスピノーザの調査も伝えられており、複数の候補をどう評価するかが焦点になる。本塁打が出やすいとされる東京ドームが本拠地になる点も、被本塁打が増えた森下には不安材料だ。
DeNA 東克樹に続く先発を求める
| 投手 | 登板 | 勝 | 敗 | 投球回 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東克樹 | 25 | 12 | 6 | 161 1/3 | 2.40 |
| 石田裕太郎 | 20 | 5 | 8 | 120 2/3 | 2.91 |
| 平良拳太郎 | 21 | 5 | 8 | 106 1/3 | 3.30 |
| 尾形崇斗 | 18 | 7 | 3 | 87 2/3 | 3.29 |
| 篠木健太郎 | 13 | 5 | 2 | 71 2/3 | 4.65 |
| 深沢鳳介 | 10 | 5 | 1 | 54 2/3 | 2.96 |
| 森下暢仁(広島) | 23 | 7 | 11 | 137 2/3 | 3.60 |
DeNAはセ・リーグ3位からクライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズに進出した。チーム得点557はリーグ最多で、1試合平均3.90点。広島と比べて、1試合あたり約0.9点多い援護が見込める。
課題は投手陣で、チーム防御率3.27はリーグ3位ながら、巨人より0.47悪い。今季の開幕からローテーションを守り抜いたのは東克樹だけと指摘されており、規定投球回到達も東1人だった。森下は今季DeNA戦で3試合0勝1敗ながら防御率2.25と抑えており、東に次ぐ先発として計算できる存在になる。巨人と同様、打者有利とされる横浜スタジアムでの被本塁打は注意点だ。
ソフトバンク 12球団最多得点の援護が魅力
| 投手 | 登板 | 勝 | 敗 | 投球回 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大津亮介 | 22 | 12 | 5 | 144 1/3 | 2.68 |
| 上沢直之 | 22 | 10 | 4 | 135 1/3 | 2.39 |
| 松本晴 | 22 | 12 | 3 | 125 1/3 | 2.66 |
| 前田悠伍 | 19 | 12 | 1 | 111 2/3 | 2.10 |
| スチュワート・ジュニア | 14 | 6 | 5 | 63 2/3 | 5.23 |
| 大関友久 | 10 | 3 | 4 | 57 1/3 | 5.34 |
| 森下暢仁(広島) | 23 | 7 | 11 | 137 2/3 | 3.60 |
※救援との兼任で91回を投げた上茶谷大河(36試合8勝3敗)は除いた。
ソフトバンクは91勝49敗3分でパ・リーグを制し、大津亮介、上沢直之、松本晴、前田悠伍の4人が2桁勝利を挙げた。巨人やDeNAと比べれば、先発の補強が差し迫っているようには見えない。それでも規定投球回到達は大津1人で、4人に次ぐ先発のスチュワート・ジュニアと大関友久は防御率5点台だった。先発の層をさらに厚くする狙いはありそうだ。
森下にとっての魅力は、チーム得点707という12球団最多の打線だ。1試合平均4.94点は、広島より約1.9点多い。勝ち星が最も伸びやすい環境といえる。一方で、今季のパ・リーグ球団との対戦は交流戦の3試合だけで、リーグを移ることになれば、対戦経験の少ない打者と向き合うことになる。
森下が抜ければ広島は大きな痛手
広島は今季61勝78敗4分でセ・リーグ4位。チーム防御率3.39はリーグ5位、得点はリーグ最少だった。そのなかで森下の137回2/3は、床田の143回1/3に次ぐチーム2位の数字だ。
同じく国内FA権を持つ床田の去就も注目されており、巨人や阪神が調査しているとされる。2人の投球回を合わせると281回で、チーム全体の1282回2/3の約22%を占める。2人以外で今季100回以上を投げたのは栗林良吏(121回1/3)と岡本駿(101回2/3)だけで、2人とも流出すれば先発陣の立て直しは避けられない。坂倉将吾捕手も国内FA権を持っており、ロッテが調査を進めていると報じられている。主力3人の去就は、広島の来季を大きく左右する。
まとめ
- 広島・森下暢仁が国内FA権の行使へ。4日に申請書類を提出する見通しで、11月11日から他球団と交渉が可能になる
- 広島は推定年俸2億円からの増額と4年契約を提示したもようで、宣言残留も認めている
- Aランクとみられ、移籍先は人的補償+旧年俸の50%、または旧年俸の80%の補償が必要。人的補償は2027年オフから撤廃される
- 通算60勝59敗、防御率2.84。規定投球回に5度到達し、7年連続で120回以上を投げてきた
- 今季の137回2/3は、巨人、DeNA、ソフトバンクのいずれでもチーム2番手にあたる
- 課題は今季増えた与四球と被本塁打。流出すれば、広島は床田の去就次第で投球回の約2割を失う可能性もある
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出典
・広島・森下暢仁がFA権行使決断 今オフ市場最大の目玉にソフト、巨人など大争奪戦か|スポーツニッポン
・【広島】森下暢仁がFA権行使を決断!4日にも書類提出、宣言残留認める広島含め国内争奪戦へ|日刊スポーツ
・カープ森下暢仁、FA権行使へ 他球団との交渉可能に|中国新聞
・【広島】森下暢仁「簡単に決められるものではない」国内FA権行使は熟考続く|スポーツ報知
・広島・森下 FA行使熟考「変わらないです」申請期限9日まで|デイリースポーツ
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・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム投手成績
・NPB.jp 2026年度 パシフィック・リーグ チーム投手成績