10月22日のプロ野球ドラフト会議に向けて、ヤクルトの補強ポイントがはっきりしてきた。池山隆寛監督が率いた今季は61勝80敗2分の5位。チーム本塁打83本はリーグ最少、チーム防御率3.68はリーグ最下位と、投打ともに課題を残した。
この記事では、ヤクルトの今季の成績、投手・野手の年齢構成、ポジション別のスタメン出場回数を表で確認し、チームの弱点を踏まえたドラフト戦略を考える。
今季の成績―本塁打と防御率がリーグ最下位
| 項目 | 成績 | リーグ順位 |
|---|---|---|
| 順位 | 5位 | - |
| 勝敗 | 61勝80敗2分 | - |
| 勝率 | .433 | 5位 |
| 得点 | 449 | 5位 |
| 失点 | 568 | 6位 |
| チーム打率 | .236 | 3位 |
| 本塁打 | 83 | 6位 |
| 盗塁 | 98 | 2位 |
| チーム防御率 | 3.68 | 6位 |
ヤクルトは首位の阪神から18ゲーム差の5位に終わった。チーム打率.236はリーグ3位、盗塁98はリーグ2位と、つなぐ攻撃はできていた。しかし本塁打83本はリーグ最少で、得点449はリーグ5位。長打で一気に得点する形を作れなかった。
投手陣は、チーム防御率3.68、失点568がいずれもリーグワーストだった。先発、救援ともに安定感を欠き、投打の両面で立て直しが求められる。
年齢・ポジション別の戦力構成
投手
| 年齢 | 投手(右) | 投手(左) |
|---|---|---|
| 〜20 | 鈴木蓮吾 | |
| 21 | ||
| 22 | 坂本 | |
| 23 | 中村優斗・山崎 | |
| 24 | ||
| 25 | 西舘・奥川・廣澤 | 石原 |
| 26 | 下川 | 荘司・増居 |
| 27 | 松本健吾・大道・飯田・阪口 | 山野 |
| 28 | 木澤・吉村・小澤・丸山翔大 | |
| 29 | 大西・ウォルターズ | 高橋 |
| 30 | 清水 | |
| 31 | リランソ | キハダ |
| 32 | 星・拓也 | |
| 33 | ||
| 34 | ||
| 35〜 | 石山・小川・高梨 | |
| 人数 | 23 | 8 |
野手
| 年齢 | 捕手 | 内野(右打) | 内野(左打) | 外野(右打) | 外野(左打) |
|---|---|---|---|---|---|
| 〜20 | 鈴木叶 | 田中 | モイセエフ | ||
| 21 | |||||
| 22 | 松川 | 西村 | |||
| 23 | 松下 | ||||
| 24 | 矢野 | 内山・石井・伊藤 | |||
| 25 | 長岡・武岡 | ||||
| 26 | 橋本 | 赤羽・北村 | モンテル | 澤井 | |
| 27 | 並木・増田 | 丸山和郁 | |||
| 28 | 古賀 | ||||
| 29 | 岩田 | ||||
| 30 | |||||
| 31 | 宮本 | ||||
| 32 | 茂木 | ||||
| 33 | 松本直樹・柿沼 | 塩見 | |||
| 34 | 山田・オスナ | サンタナ | |||
| 35〜 | 中村悠平 | ||||
| 人数 | 7 | 8 | 6 | 5 | 5 |
支配下選手を今季の年齢とポジション(投手は右左、野手は打席の右左)で分けたのが上の2つの表だ。野手は20代前半の内野手が多い一方、主力のサンタナとオスナがともに34歳。捕手は20歳の鈴木叶が出場機会を得ている。
野手の課題―内野の長打力不足
主な野手の今季成績
| 選手 | 年齢 | 守備・打席 | 試合 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 長岡秀樹 | 25 | 内野・左 | 126 | 533 | .248 | 8 | 39 | 5 | .665 |
| 岩田幸宏 | 29 | 外野・左 | 127 | 456 | .256 | 1 | 26 | 39 | .591 |
| サンタナ | 34 | 外野・右 | 126 | 447 | .251 | 17 | 45 | 0 | .815 |
| 増田珠 | 27 | 外野・右 | 123 | 445 | .293 | 9 | 40 | 4 | .740 |
| 内山壮真 | 24 | 内野・右 | 94 | 348 | .231 | 5 | 26 | 3 | .651 |
| 古賀優大 | 28 | 捕手 | 91 | 337 | .259 | 1 | 33 | 2 | .602 |
| 赤羽由紘 | 26 | 内野・右 | 109 | 326 | .241 | 6 | 30 | 9 | .666 |
| 武岡龍世 | 25 | 内野・左 | 98 | 291 | .223 | 4 | 27 | 1 | .614 |
| オスナ | 34 | 内野・右 | 78 | 283 | .220 | 8 | 29 | 0 | .634 |
| 鈴木叶 | 〜20 | 捕手 | 47 | 150 | .192 | 2 | 15 | 2 | .501 |
| 伊藤琉偉 | 24 | 内野・右 | 78 | 146 | .156 | 2 | 8 | 2 | .472 |
| 丸山和郁 | 27 | 外野・左 | 54 | 136 | .328 | 4 | 14 | 6 | .871 |
| 松下歩叶 | 23 | 内野・右 | 38 | 116 | .239 | 2 | 11 | 1 | .614 |
| 西村瑠伊斗 | 22 | 外野・左 | 41 | 113 | .276 | 1 | 15 | 0 | .690 |
| モンテル | 26 | 外野・右 | 53 | 103 | .278 | 3 | 9 | 7 | .744 |
| 田中陽翔 | 〜20 | 内野・左 | 37 | 101 | .223 | 2 | 9 | 1 | .576 |
最大の課題は、内野の長打力だ。100打席以上に立った内野手で、OPSが.700を超えた選手は1人もいない。遊撃の長岡秀樹が.665、赤羽由紘が.666、二塁の内山壮真が.651、一塁のオスナが.634、三塁の武岡龍世が.614。昨年のドラフト1位の松下歩叶も.614にとどまった。
打線を支えたのは外野手だ。サンタナがチームトップの17本塁打、OPS.815を記録し、増田珠も打率.293、OPS.740と結果を残した。限られた出場機会で丸山和郁(OPS.871)、モンテル(.744)も存在感を示したが、サンタナは34歳。数年先を考えれば、外野でも長打を担う打者の後継が必要になる。
ポジション別のスタメン出場回数
| ポジション | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 捕手 | 古賀(82) | 鈴木叶(34) | 中村悠(15) |
| 一塁 | オスナ(68) | 赤羽(17) | 山田(14) |
| 二塁 | 内山(79) | 伊藤(23) | 赤羽(14) |
| 三塁 | 武岡(51) | 赤羽(41) | 松下(29) |
| 遊撃 | 長岡(120) | 伊藤(9) | 石井(7) |
| 左翼 | サンタナ(108) | 西村(18) | 増田(10) |
| 中堅 | 岩田(103) | モンテル(18) | 並木(12) |
| 右翼 | 増田(92) | 丸山和(21) | 塩見(15) |
| 指名打者 | サンタナ(8) | 塩見(1) | - |
今季143試合のスタメンをポジション別に集計した。カッコ内はスタメンでの出場試合数だ。
- 固定できたポジション:遊撃の長岡(120試合)、左翼のサンタナ(108試合)、中堅の岩田幸宏(103試合)、右翼の増田(92試合)は、ほぼレギュラーとして固定された
- 一塁:オスナが68試合で最多だが、赤羽、山田哲人、宮本らが入れ替わった
- 三塁:武岡(51試合)、赤羽(41試合)、松下(29試合)と併用が続いた
- 二塁:内山の79試合が最多で、伊藤琉偉(23試合)、赤羽(14試合)らが続いた
打順を見ると、4番はオスナの45試合が最多で、増田(29試合)、サンタナ(26試合)、山田(12試合)と固定できなかった。3番でも捕手の古賀優大が31試合と最も多く、中軸を任せられる長距離打者がいないことが打順にも表れている。来季からはセ・リーグでもDH制が導入されるだけに、一塁、三塁、DHを担える強打者の補強は急務だ。
捕手―若手が育ちつつある
| 捕手 | 年齢 | 試合 | 打席 | 打率 | 本塁打 | 打点 | OPS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 古賀優大 | 28 | 91 | 337 | .259 | 1 | 33 | .602 |
| 鈴木叶 | 〜20 | 47 | 150 | .192 | 2 | 15 | .501 |
| 中村悠平 | 35〜 | 32 | 65 | .190 | 0 | 1 | .530 |
| 松本直樹 | 33 | 16 | 38 | .265 | 0 | 5 | .677 |
| 橋本星哉 | 26 | 13 | 16 | .143 | 0 | 1 | .402 |
| 矢野泰二郎 | 24 | 7 | 5 | .250 | 0 | 0 | .650 |
| 柿沼友哉 | 33 | 1 | 2 | .000 | 0 | 0 | .000 |
捕手は古賀(28歳)が91試合に出場し、正捕手としてチームを支えた。20歳の鈴木叶も47試合に出場し、スタメンでも34試合でマスクをかぶった。中村悠平が35歳以上となる中で、古賀と鈴木という若い捕手の軸ができつつあり、捕手の補強の優先度は他のポジションより低い。
投手の課題―山野・奥川に続く先発
| 投手 | 投 | 年齢 | 登板 | 勝 | 敗 | S | H | 投球回 | 防御率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 山野太一 | 左 | 27 | 25 | 12 | 4 | 0 | 0 | 162.1 | 2.33 |
| 奥川恭伸 | 右 | 25 | 23 | 7 | 11 | 0 | 0 | 156 | 2.88 |
| 吉村貢司郎 | 右 | 28 | 21 | 4 | 12 | 0 | 0 | 113.1 | 4.84 |
| 松本健吾 | 右 | 27 | 23 | 6 | 5 | 0 | 0 | 104.1 | 4.14 |
| 高橋奎二 | 左 | 29 | 19 | 5 | 7 | 0 | 2 | 95.2 | 4.33 |
| 高梨裕稔 | 右 | 35〜 | 15 | 6 | 3 | 0 | 0 | 86.2 | 2.60 |
| 星知弥 | 右 | 32 | 51 | 2 | 4 | 1 | 31 | 48 | 2.63 |
| ウォルターズ | 右 | 29 | 24 | 3 | 5 | 5 | 4 | 45.1 | 4.76 |
| 丸山翔大 | 右 | 28 | 40 | 0 | 2 | 0 | 7 | 43.2 | 3.71 |
| 清水昇 | 右 | 30 | 50 | 2 | 4 | 5 | 20 | 43.1 | 3.74 |
| 小川泰弘 | 右 | 35〜 | 8 | 1 | 5 | 0 | 0 | 41 | 5.49 |
| 廣澤優 | 右 | 25 | 43 | 3 | 2 | 0 | 8 | 41 | 2.85 |
| リランソ | 右 | 31 | 40 | 2 | 3 | 0 | 10 | 38 | 1.42 |
| キハダ | 左 | 31 | 41 | 2 | 7 | 21 | 2 | 37.1 | 3.86 |
| 増居翔太 | 左 | 26 | 8 | 1 | 2 | 0 | 1 | 37 | 3.16 |
| 阪口皓亮 | 右 | 27 | 34 | 0 | 1 | 0 | 4 | 30 | 3.30 |
先発では、左腕の山野太一(27歳)が12勝4敗、防御率2.33と大きく飛躍し、奥川恭伸(25歳)も156回を投げて防御率2.88と安定した。高梨裕稔も防御率2.60と好投したが、35歳以上だ。
一方、吉村貢司郎は防御率4.84で4勝12敗、松本健吾は4.14、高橋奎二は4.33と、山野と奥川に続く先発が安定しなかった。小川泰弘も35歳以上で防御率5.49と苦しんでいる。救援も、抑えのキハダが21セーブを挙げたものの防御率3.86と安定感を欠いた。リランソ(防御率1.42)、星知弥(31ホールド)らが踏ん張ったが、救援全体の底上げも必要だ。
報道されている候補選手
ヤクルトは1位候補を公表していないが、報道からは次のような動きが伝わっている。
- 菰田陽生(山梨学院高・投手/内野手):今秋のドラフト1位指名が確実視される二刀流。10月6日にはヤクルトと面談し、青木宣親GMから「大谷選手を目指して挑戦できる17歳なのではないか」と声をかけられたと、山梨学院の吉田洸二監督が明かしている
- 有馬伽久(立命館大・投手):最速151キロの左腕。ヤクルトの橿渕聡氏は「ストレートとスライダーのコンビネーションがいい。いいピッチャーには間違いない」と評価している
- 米沢友翔(関西大・投手):全日本大学選手権でMVPに輝いた左腕。橿渕氏は「だいぶスピードも戻ってきている。緩急もうまく使っていますしやっぱり良いピッチャー」と話している
ヤクルトのドラフト戦略
ここまでの分析を踏まえると、ヤクルトのドラフト戦略は次のように整理できる。
1位:長打力のある内野手か、即戦力の先発投手
最も手薄なのは、一塁・三塁を任せられる長打力のある内野手だ。リーグ最少の83本塁打に終わった打線を変えるには、中軸を担える打者が必要になる。その点で、ヤクルトとの面談の日の打撃練習で約12分間に10本の柵越えを放った二刀流の菰田は、打者としても大きな魅力を持つ。
一方、リーグワーストの防御率を考えれば、即戦力の先発投手を1位で狙う選択肢もある。報道で評価の声が伝わる有馬、米沢の大学生左腕は、山野に続く先発候補として当てはまる。どちらも他球団が上位で狙う可能性が高く、1位で確保するかどうかが分かれ目になる。
2〜3位:先発投手
1位で野手を指名した場合、2位以降は先発投手を優先したい。12球団のドラフト戦略の記事でも挙げた最速154キロの宮原廉(近畿大)、最速156キロの吉川凌平(千葉商科大)ら、大学生の本格派右腕は今年の候補に多い。吉村や松本健に続く、ローテーションを争える投手の獲得が求められる。
中位以降:内野手と救援投手
三塁や二塁もレギュラーを固定できなかったため、中位以降でも内野手の補強を続けたい。救援も底上げが必要で、勝ちパターンを担える投手を加えておくことが、投手陣の立て直しにつながる。捕手は古賀と鈴木叶がいるため、優先度は低い。
まとめ
- ヤクルトは61勝80敗2分の5位。本塁打83本はリーグ最少、防御率3.68はリーグ最下位
- 100打席以上の内野手にOPS.700超えは0人。4番も固定できなかった
- 外野はサンタナ(OPS.815)、増田らが打線を支えたが、サンタナは34歳
- 先発は山野・奥川に続く投手が安定せず、救援も底上げが必要
- 捕手は古賀と20歳の鈴木叶が育ちつつあり、優先度は低い
- 1位は長打力のある内野手か、即戦力の先発投手。2位以降で先発、中位以降で内野手と救援を補強したい
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出典
・山梨学院・菰田陽生選手と東京ヤクルトが面談|ドラフト会議ホームページ
・立命大・有馬伽久投手|ドラフト会議ホームページ
・関大・米沢友翔投手|ドラフト会議ホームページ
・ドラフト会議2026年東京ヤクルトスワローズ指名予想|球歴.com
・2026年 東京ヤクルトスワローズ|スタメンデータベース
・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム勝敗表
・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム打撃成績
・NPB.jp 2026年度 セントラル・リーグ チーム投手成績
・NPB.jp 2026年度 東京ヤクルトスワローズ 個人打撃成績