巨人が、ドラフト1位で指名した横浜高の織田翔希投手(18)に、11月10日に指名あいさつを行うことが8日に決まった。織田は10月15日にNPBを経ずに米球界へ挑戦する意向を表明し、現在はMLB球団との面談を進めている。11月2日の時点では巨人との面談は未定とされていたが、ドラフトから約3週間で、両者が初めて対面することになった。この記事では、指名あいさつが決まるまでの経緯とMLB球団との面談の状況、米国で契約する場合のルールを整理する。あわせて、これまでにNPBを経ずにアマチュアから米球界へ渡った主な選手と、MLBデビューできたかどうかを一覧にした。
10日に指名あいさつ:2日時点では「未定」
巨人は10月22日のドラフト会議で、米球界挑戦を表明していた織田を1位で指名した。他球団の入札はなく、単独での強行指名だった。織田は指名直後のテレビ中継のインタビューで「非常に光栄な指名をいただきましたが、アメリカに挑戦する気持ちは全くブレません」と話している。
11月2日には、巨人のスカウト陣が3位で指名した池田聖摩の指名あいさつのために横浜高を訪れたが、織田との面談はなかった。村田浩明監督は「今日は池田の指名あいさつのみという形で。本人はまだ米国のことしか考えてないので。未定です」と説明していた。指名あいさつを求められた場合も、MLB球団との面談があるため控えたいと話していたと報じられている。
MLB球団との面談は17日まで予定されていたため、その途中で巨人との対面が決まったことになる。中日スポーツは、急きょ方針が変わった可能性もあると伝えている。
ドラフト前後からの経緯と今後の日程
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 10月上旬 | 渡米し、MLBの試合や大学の環境を視察 |
| 10月15日 | 会見で、NPBを経ずに米球界へ挑戦する意向を表明(MLB球団とのマイナー契約、米大学への進学も選択肢) |
| 10月22日 | ドラフト会議で巨人が1位で単独指名。織田は「アメリカに挑戦する気持ちは全くブレません」 |
| 10月23日 | 松井秀喜監督が就任会見で「彼の気持ちを第一に考えていきたい」 |
| 11月2日 | 巨人のスカウト陣が3位・池田聖摩の指名あいさつで横浜高を訪問。織田との面談はなし |
| 11月4日 | MLB球団との面談が始まる(最初はレンジャーズ) |
| 11月6日 | ブルージェイズ、カージナルスと面談し、3日間で5球団に |
| 11月7日 | 2027年の国際アマチュア選手契約の対象選手として、MLB各球団に公示されていたことが判明 |
| 11月8日 | 巨人の指名あいさつが10日に決定 |
| 11月10日 | 巨人が指名あいさつ(予定) |
| 11月17日 | MLB球団との面談の最終予定日(最大12球団) |
| 12月1日 | MLBの労使協定が失効(新協定がまとまらなければロックアウトの可能性) |
| 2027年1月15日 | 国際アマチュア選手のMLB球団との契約が解禁 |
| 2027年3月末 | 巨人の交渉期限 |
MLB球団との面談:6日までに5球団
織田は11月4日から17日まで、最大12球団と面談する予定だ。会場は横浜市内の同校で、8日までにレンジャーズ、フィリーズ、メッツ、ブルージェイズ、カージナルスの5球団との面談を終えている。今後はドジャースやヤンキースなどとの面談も予定されていると報じられている。
最初に訪れたレンジャーズは、総勢8人で約2時間にわたって話し合った。ジョニー・クラム国際スカウト部長は織田を「唯一無二の投手」と評価し、「いろいろと質問もあった。非常にいい会話ができた」と振り返っている。6日に訪れたブルージェイズは、元日本ハムの加藤豪将アナリストらが同席した。加藤は米国の高校からMLBドラフトで指名され、マイナーを経てメジャーに昇格した選手で、自身の経験を伝えたとみられる。
米国で契約する場合のルールと懸念
織田は、2027年の国際アマチュア選手契約の対象選手として、MLB各球団に公示されていることが7日にわかった。国際アマチュア選手としてMLB球団と契約できるのは、毎年1月15日からだ。その前年の11月1日までに、MLBのコミッショナー事務局へ登録を済ませておく必要がある。25歳未満の選手はマイナー契約からのスタートとなり、契約金も球団ごとに上限が決まった枠の中で決まる。
懸念されているのが、MLBの労使協定が12月1日に失効することだ。新しい協定がまとまらなければ、オーナー側が選手を締め出すロックアウトに発展する可能性がある。スポニチアネックスによると、マイナー契約は原則としてロックアウトの対象外となる見込みだが、MLB側が導入を求める国際ドラフトを含む交渉の行方によっては、国際アマチュア選手の契約が凍結される可能性もある。米国の大学へ進む道もあるが、入学は来年9月になり、投球から離れる期間が生じかねない。
NPBを経ずに米球界へ渡った主な選手とMLBデビュー
織田のように、NPBを経ずにアマチュアから米球界へ渡った日本人選手は、これまでにもいる。主な選手は次のとおりだ。米国の高校や大学に進んでからMLBドラフトで指名された選手も含めている。
| 選手 | 日本での経歴 | 米国での入団 | MLBデビュー | その後 |
|---|---|---|---|---|
| マック鈴木 | 滝川二高(中退) | 1992年に渡米 マリナーズとマイナー契約 | ○ 1996年7月 通算117試合16勝 | 2002年ドラフト オリックス入り |
| G.G.佐藤 | 桐蔭学園高-法政大 | 大学卒業後 フィリーズとマイナー契約 | × | 2003年ドラフト 西武入り |
| 多田野数人 | 八千代松陰高-立教大 | 2003年 インディアンスとマイナー契約 | ○ 2004年4月 通算15試合 | 2007年ドラフト 日本ハム入り |
| 田澤純一 | 横浜商科大高-新日本石油ENEOS | 2008年12月 レッドソックスとメジャー契約 | ○ 2009年8月 通算388試合21勝 | NPBには入らず 台湾などでプレー |
| 鷲谷修也 | 駒大苫小牧高-米デザート短大 | 2009年MLBドラフト ナショナルズ14巡目 | × | - |
| 加藤豪将 | 米ランチョバーナード高(米国育ち) | 2013年MLBドラフト ヤンキース2巡目 | ○ 2022年4月 通算8試合 | 2022年ドラフト 日本ハム入り |
| 結城海斗 | 河南リトルシニア(中学卒業) | 2018年7月(16歳) ロイヤルズとマイナー契約 | × | 2021年6月に 自由契約 |
| 吉川峻平 | 関西大-パナソニック | 2018年 ダイヤモンドバックスとマイナー契約 | × | 3Aまで昇格 2023年引退 |
| 西田陸浮 | 東北高-米短大-オレゴン大 | 2023年MLBドラフト ホワイトソックス11巡目 | ○ 2026年5月 通算12試合 | - |
| 森井翔太郎 | 桐朋高 | 2025年1月 アスレチックスとマイナー契約 | 未 | マイナーで二刀流 |
| 佐々木麟太郎 | 花巻東高-スタンフォード大 | 2026年MLBドラフト マーリンズ8巡目(7月に契約) | 未 | 2025年NPBで ソフトバンク1位 |
| 野上龍哉 | 大産大(準硬式) | 2026年10月 パドレスとマイナー契約 | 未 | - |
| 織田翔希 | 横浜高 | MLB球団と面談中 契約は2027年1月15日以降 | - | 巨人が1位指名 |
MLBデビューは5人、NPBを経ずに日本から直接契約して昇格したのは3人
NPBを経ずにメジャーデビューした日本人は、マック鈴木、多田野数人、田澤純一、加藤豪将、西田陸浮の5人だけだ。このうち、日本の高校、大学、社会人から米国の球団と直接契約して昇格したのは、マック鈴木、多田野、田澤の3人にとどまる。加藤は米国育ちで、西田は東北高を卒業後に米国の短大とオレゴン大を経て、MLBドラフトで指名された。
メジャーで長く活躍したのは田澤だけだ。社会人の新日本石油ENEOSからレッドソックスとメジャー契約を結び、通算388試合に登板した。2013年にはワールドシリーズ制覇も経験している。マック鈴木は通算117試合で16勝を挙げたが、多田野は15試合、加藤は8試合でメジャーを離れた。西田は今年5月にデビューし、12試合で打率.241を記録した。その後は3Aに戻り、再昇格を目指している。
メジャーに届かなかった選手も多い
一方で、メジャーに昇格できなかった選手も多い。パナソニックからダイヤモンドバックスと契約した吉川峻平は、3Aまで昇格したもののメジャーには届かず、2023年限りで現役を退いた。中学卒業後の16歳でロイヤルズと契約した結城海斗は、2021年6月に自由契約となった。G.G.佐藤のように、マイナーから帰国してNPBで主力になった選手もいる。
田澤の渡米をきっかけに、NPBのドラフトを拒否して海外のプロ球団と契約した選手は、退団後も一定期間NPB球団と契約できないという申し合わせ、いわゆる「田澤ルール」が設けられた。このルールは2020年に撤廃されている。
近年は高校・大学から渡る選手が増えている
ここ数年は、高校や大学から米国へ渡る選手が続いている。2025年1月には、桐朋高の森井翔太郎が契約金151万500ドル(約2億4000万円)でアスレチックスとマイナー契約を結んだ。今年7月には、花巻東高からスタンフォード大に進んだ佐々木麟太郎が、MLBドラフト8巡目で指名されたマーリンズと契約している。佐々木は昨秋のNPBドラフトでソフトバンクから1位指名を受けていたが、米国でのプロ入りを選んだ。10月には、大産大の準硬式野球部でプレーしていた野上龍哉がパドレスとマイナー契約を結んだ。
NPBの1位指名を受けながら米国の球団に進んだ例としては、昨年の佐々木がある。織田が米国を選べば、2年続けて1位指名の選手が米国へ渡ることになる。
織田翔希のプロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 2008年6月3日(18歳) |
| 出身 | 福岡県北九州市 |
| 身長・体重 | 186cm・81kg |
| 投打 | 右投右打 |
| 経歴 | 足立中(軟式)-横浜高 |
| 最速 | 157キロ |
| 主な実績 | 1年秋の明治神宮大会優勝、2年春のセンバツ優勝、U18日本代表 |
| ドラフト | 2026年 巨人1位(単独指名) |
織田は北九州市出身で、足立中では軟式野球部に所属していた。横浜高では1年秋の関東大会準々決勝で公式戦初完投、初完封を記録し、同年の明治神宮大会でも準々決勝で明徳義塾を2安打で完封した。2年春のセンバツでは、奥村頼人(現ロッテ)との二枚看板で優勝に貢献している。3年夏は神奈川大会で自己最速の157キロを計測し、甲子園でも大会最速の156キロを記録した。
10日の指名あいさつの焦点
巨人の水野雄仁編成本部長は、ドラフトで指名した際に「これからゆっくり織田君も考えていただいて。われわれは誠意を尽くしていくだけ」と話していた。ドラフトの翌日に就任した松井秀喜監督は、織田を「世界一の投手になる可能性のある選手」と評価する一方、自身が交渉に出向くことには「私が行くことによって、もしかして逆に迷惑になる場合もあるかもしれない。そこは慎重に、彼の気持ちを大事に考えていきたい」と慎重な姿勢を見せている。
村田監督は、松井監督の発言について「松井さんのお気持ちは凄くありがたいですが(球団の)本心は違うんじゃないかなと。(獲得への強い)思いがあるからこそ指名していただいたのかなと」と、1位指名を使った巨人の立場を思いやる発言もしている。
10日は、ドラフト後に巨人と織田が初めて直接話す場になる。MLB球団との面談が続く中で、巨人が育成の方針や将来のメジャー挑戦への道筋をどこまで具体的に示せるかが焦点だ。巨人の交渉期限は来年3月末まであり、MLB球団と契約できるのは1月15日以降になる。指名あいさつは、両者の交渉が始まる最初の一歩になる。
まとめ
- 巨人が、ドラフト1位で指名した横浜高の織田翔希に、11月10日に指名あいさつを行うことが決まった。11月2日の時点では未定とされていた。
- 織田は11月4日から17日まで、MLBの最大12球団と面談する予定で、8日までにレンジャーズ、フィリーズ、メッツ、ブルージェイズ、カージナルスの5球団と面談した。
- 2027年の国際アマチュア選手としてMLB各球団に公示されており、契約できるのは1月15日以降。12月1日の労使協定失効によるロックアウトの影響が懸念されている。
- NPBを経ずにメジャーデビューした日本人は、マック鈴木、多田野数人、田澤純一、加藤豪将、西田陸浮の5人。日本のアマチュアから直接契約して昇格したのは3人にとどまる。
- 近年は森井翔太郎、佐々木麟太郎、野上龍哉と、高校や大学から米国へ渡る選手が続いている。
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出典
・【巨人】ドラ1・織田翔希に10日指名挨拶! 急きょ方針転換⁉当初は17日までメジャー面談優先も…|中日スポーツ
・巨人が横浜・織田翔希と対面へ 10日に指名あいさつ決定|スポーツ報知
・【巨人】ドラ1横浜・織田翔希に10日指名あいさつへ 米挑戦表明しMLB5球団と面談終える|日刊スポーツ
・巨人 ドラフト1位強行指名の横浜・織田に10日に指名あいさつ 当初は未定も…|スポニチアネックス
・巨人ドラ1・織田翔希へ10日指名あいさつ決定 待望の初対面で交渉前進なるか|デイリースポーツ
・巨人、10日に織田にあいさつへ 強行の1位指名で|共同通信
・横浜高・織田翔希をMLB契約可能選手として公示 27年の「国際アマチュア選手契約」|スポーツ報知
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